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知床にオオカミ再導入ができない理由
「世界遺産 知床とイエローストーン」
デール・R・マッカロー 梶光一 山中正実編著より日本側の意見
 
日本側意見を整理してみます。反対の論拠は、以下の10項目です。
 
① とにかく予算がない、人がいない
② 組織が一元化されていない バラバラにそれぞれの思惑で動く
③ 環境省上席担当者は1〜2年で交代し、政策の継続性がない
④ どこがイニシアチブを持っているかわからない
⑤ 人々のオオカミに対する意識は100年の間に悪化している
⑥ 畜産業の反対があるにちがいない
⑦ 多すぎるシカが減らせるかどうかわからない
⑧ 環境改変によって、環境収容力が増加しているかもしれない
⑨ 野生動物による被害補償制度は制度的概念さえない
⑩法律が整備されていない)
 
【本文より】
<マイナス面>
エゾシカの植生への影響許容できるかどうかは管理の目的による。
オオカミが有蹄類の個体数密度をおさえることができるのは低密度の場合であるので、現在の知床のような高密度のシカを減少させることは期待できない。
狭い知床にオオカミを留めおくことはできない。
オオカミの復元の実現には多くの人々がそれを望むという時代の到来を待つ必要がある。
すぐに実現できる情勢にはないこともまた事実である。
人為的な環境の変化が草食獣の環境収容力を高めてしまっている場合、自然調節の機能だけでは十分でない場合もありえる。
十分な野生動物保護管理システムや人的・予算的体制が欠落していること自体が大きな問題である。
100年を超える北海道のオオカミ不在は、現代の人々のオオカミへの理解を困難にしている。赤ずきんちゃん物語などによる西欧的オオカミ観の影響から、オオカミに対する考え方は悪化してしまっている。人々の間に定着した考え方を変えていくためにはまだ大変な努力が必要である。
再導入の是非は、科学的検討だけですまされるものではなく、最終的には社会全体が判断するべきものであろう。
再導入を支えるべきわが国の野生動物の保護管理体制は、きわめて脆弱である。
わが国では2005年度で、環境省自然環境局全体の予算でさえ2368千万円。公園施設の建設の公共事業関係費を除く日本全国の国立公園など自然公園の維持管理費がわずか34千万円、鳥獣保護行政の経費が18千万円に過ぎない。国の財政赤字が数百兆円に膨らむ中、自然環境の保全に関する予算も今後増える見込みはない。さらに、今でさえ乏しい職員体制も充実できるはずもないのである。トキやコウノトリに比べて莫大な財源と管理体制を要することが予想されるオオカミの再導入について、今の日本は国家プロジェクトとして取組むことができる環境にはないといえるだろう。
人身事故に対する誤解や恐怖が消えたとしても、家畜に対する被害は間違いなく発生する。北海道でもイエローストーンと同様に畜産業界からの反発は強いだろうと考えられる。
問題を起こす個体を速やかに駆除する体制もなければ地域社会の理解はえられない。そのような多大な労力を投入できる公的な保護管理組織は日本には存在しない。
わが国には野生動物の被害補償については、その制度的概念さえない。再導入にはまだ課題は多いと判断せざるを得ないだろう。
わが国においては、多様な行政機関がバラバラの目的と意思をもって公園管理に携わっている。管理権限や法的位置づけは複雑を極め、誰が公園管理のイニシアチブをとっているのか不明瞭である。主要な管理機関の一つである環境の上席の公園管理担当者は1〜2年で転勤を繰り返し、一貫した政策実現努力ができない。利害や管理権限からむ問題は常にあいまいな妥協としてしか終結せず、根本的な解決にはならない。
わが国の国立公園、野生動物保護管理が先進国にふさわしい水準に達するためには、管理体制や制度の充実と管理権限の整理または一元化が不可欠であろう。
 
 
本文では、肯定的な面にも触れています。もちろん、この文章の後には「しかし」から、上記の反対論が続きます。
<プラス面>
オオカミはヒグマなど他の捕食者との組み合わせで、有蹄類個体群を捕食者不在の場合と比較して低密度に維持できる可能性がある。
オオカミ導入は知床国立公園において生態的プロセスを復元することには正当性を求めることができる。
本来の生態系の構成要素を復元し、生態的プロセスの保全と維持のために自然調節にまかせることは、目指すべき方向性ではあるが、すぐに実現できる情勢にはないこともまた事実である。
十分な野生動物保護管理システムや人的・予算的体制が整えられて初めて、まず先決である現存の野生動物群集の基本的な保護管理の実行が可能となろう。その結果として、将来的にオオカミ再導入も可能な体制を作るための土台が構築されうると考える。
オオカミによる人身事故はほとんど問題にならないことが多くの研究から近年明らかになってきているが、
ヨーロッパと比較すれば、イタリアの例を見れば同国ではオオカミが生息する国立公園の奥深くでも伝統的に馬や牛が粗放的に林間放牧されており、オオカミの捕食に最も脆弱な羊の放牧も盛んに行われている。羊の飼養密度は、なんと北海道の936倍にも上る。これらの現状を見ると、様々な状況が整えば知床半島周辺地域あるいは、北海道でオオカミと共存することはできない話ではないと思える。
牛を中心として飼養密度も低く、しかも粗放的な放牧は少ない北海道の畜産は、オオカミとの共存がしやすい環境にあるとはいえるが、
 
 
⑩に関しては、「提言を受けて」の中では記述がありませんが、第28節p87で亀井明子氏が法律の問題に触れています。
●日本ではこれまで絶滅した動物種を再導入した事例がないため、その行為について言及した法律は日本には存在しない。
●仮に「特定外来生物対策法」によってオオカミが特定外来生物として定められた場合は、他の国で捕獲したオオカミを日本に運び放獣する行為は禁止されることになる。
(実際には特定外来生物には指定されていない。国際自然保護連合(IUCNの定める外来種の定義は「自然の分布域外に人為的に持ち込まれた生物」。日本はオオカミの自然分布域内なので、外来種にはなりません

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とてもやくにたちました★

ありがとう 削除

2011/4/1(金) 午後 5:08 [ 優歌 ] 返信する

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