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先日よりニュースで騒がれている「盲導犬が通勤中にフォーク(のようなもの)で刺された」という事件ですが、 実は獣医師の中では、事件が報道された当初から、 「あれ、皮膚病じゃないの?」 という意見は出て来ていました。 上の画像は"事件当日"の傷口の画像です(共同通信より)。 実際に診た訳ではないので、もちろん断定はできないのですが、 違和感を感じる原因としては、 「事件当日の傷口としては、炎症反応が周りに広がりすぎている」ということがあります。 新鮮創であれば、ここまで炎症は広がっていなさそうなものですが、 周りに炎症の赤い色が広がっていることを考えると、 この画像だけを見ると、 「皮下に膿瘍が溜まっていて、それが破裂して血膿(ちうみ)が出て来たんじゃないの?」と思ってしまいます。 気になったので、獣医師のコミュニティで他の獣医師に尋ねてみた所、 皮膚病だと思うという意見の方が多数でした (※数字の使用の許可を得ていなかったので削除させていただきました)。 フォークと考えている人がもうちょっといるかなと思ったのですが、 大半の獣医師はあの画像を見て、皮膚病の可能性を考えたということです (「何とも言えない」は、フォークの可能性を含んでいます)。 本来、実際に症例を診ていない獣医師が、 実際に診た獣医師の診断についてとやかく言うことはできないのですが (皮膚病は特に、画像だけではわからない部分があります)、 もしもあれが皮膚病だったとしたら、 いるはずのない犯人を捜そうとして大騒ぎになっているということになってしまいます(この記事で言いたいのはこれが全てです)。 先日も、朝日の子ども新聞で、 「オスカー、かわいそうだね、よく頑張ったね」 という記事が第一面になっていましたが、 もしも皮膚病だったとしたら、 すべての報道が大きな誤解の元に行われ、大騒動になっているとなってしまいます。 もしかしたら獣医師も、「これって虐待じゃないんですか」と詰め寄られて、 うっかり「そうかもしれないですね〜」とか言ったら、 大騒動になってびっくり、ということなのかもしれません。 傷口が本当にフォークの可能性があるのかどうかは、 詳しくは法医学の専門家の意見が必要だろうとは思いますが、 服をまくり上げた状態で、何度も同じ所を刺す、 というのは、僕としては難しいのではないかと思います (必要条件は、犯人がよほど強く素早い力の持ち主であることと、 犬がまったく微動だにしないこと、です)。 大型犬の皮膚は相当分厚いですので、 フォークで貫通させようとしたら(やったことないですが)、 よほど高く振り上げないといけないと思います(片手は服をまくり上げていますので、刺したのは片手一本です)。 それほどの力であれば、皮膚を貫通した後、 筋肉を突き抜けて骨にあたってもおかしくないですし (組織の抵抗は、皮膚>筋肉です)、 何度も刺そうとしたら、場所がずれて違う場所に傷口ができそうです。 一本の尖った錐(きり)状のものを刺すのと比べ、 フォーク(かどうかは分かりませんが)を刺すというのは、 圧力が3-4つに分散される上、先端が尖っていませんので、 それを貫通させると言うのは、よほどの力でないとできません。 それほどの力を生み出すべく腕を振り上げているのに(しかも何度も)、 誰も見ていないというのも不自然です。 素朴な感想としては、 数日前から皮下に膿瘍が溜まっていて、 それが破裂して複数の穴を形成したので、 たまたまフォークで刺されたように見えたのでは?と、考えています(あくまで想像です)。 傷口の下がひとつの空洞になっていたか (大きなひとつの空洞なら膿瘍があったということ)、 それとも穴がそれぞれ独立だったか (独立していれば膿瘍ではなく、刺し傷を示唆)、 傷口からの排液が血膿だったか (白血球が多数混じっていたのなら新鮮創ではない)、 それとも新鮮な血液だったのか (赤血球ばかりなら新鮮創)、 というのが鑑別点だと思います。 それは実際に診た獣医師にしか分からない所です。 いちゃもんを付けようという意図はないのですが、 あまりに大きな騒動になっているので、 そういう可能性もあって、獣医師の中ではそういう話も出ていますよ (そしてそう考えている獣医師の方が多い・・)、 ということを、記事とさせていただきます。 「盲導犬が突然、意味もなく傷つけられた!」 ということで、報道も報道を見た人も、かなり感情的になるのは分かるのですが、 今一度、冷静に報道を見てみる必要があると思います。 ※今後も同じようなコメントが寄せられることが予想されますので、 今一度お伝えしておきます。 この傷に関しては、外傷、皮膚病、どちらの可能性もあります。 そして、どちらかは僕には分かりません。 外傷ではないと言っている訳でもなく、 皮膚病だと決めつけている訳でもありませんので、その点ご了承ください。 ※転載・リンクはご自由にどうぞ
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目撃者もいて、証拠もあって、疑いようがなければ異論を挟む必要もないと思うのですが、奇妙な点が多くあり、多くの獣医師の間で「あれって・・」と言われ続けていて、まったく事件に進展がないですので、違う視点からの見解もあっても、そう間違いではないと思うのです。
繰り返しになりますが、僕は刺し傷ではないと言っている訳でもなく(その可能性もあると言っています)、皮膚病だと断言している訳でもなく、ひとつの可能性として、そういうのもあるのではないでしょうかと言っているだけです。
誰も見ておらず、不可解な点が多いのに、他の可能性をまったく除外して良いのか、というのが感じていることです。
2014/9/21(日) 午前 8:21
飼い主さんの知り合いの方が皮膚病説否定してますね。
ttp://ameblo.jp/doggylabo/entry-11927563268.html
でも、本当に刺されたのでしたら、皆さんが言っているように不可解な点が多すぎて身内以外に犯行は難しいのでは?と思いますが…
その辺どう思ってらっしゃるのか、この知り合いの方に教えて頂きたいですね。
2014/9/21(日) 午後 4:03 [ ひろ ]
ひろさん、診断も断定もしてなどいないのですが・・。
ひとつの見解に対して、批判などはあっても当然だとは思いますが。
まさか皮膚病だと困るわけでもないとは思うのですが。
もしも皮膚病であれば、犯人はいない訳ですし、誰が悪かった訳でもなくなりますし、ここまで目撃証言がないこと、オーナーも気付かず、犬も吠えず、ということの全ての説明がつくとは思います。
刺し傷と考えたときの方が、腑に落ちない点が多すぎるんですね。
もちろん、事実は小説よりも奇なり、という言葉もありますが。
2014/9/22(月) 午前 7:51
ところで、ずっと考えていたのですが、ただの細菌性皮膚炎ではこんな傷にはならず、口の跡が残るということもないかと思います。
狭い範囲に傷が集中し、赤い血膿がたまる膿瘍を形成し、複数の開口部ができ、治った跡に、4時と8時の方向に皮膚を掻いたような跡がある(そう見えるだけかもしれませんが)、ということを考えると、数日前に何か小動物に咬まれた出来事がなかったか、というのは気になる所です(以前ヘビという話がありましたが)。
犬だと口が大きいのでこんな500円玉の範囲に傷が集中するということもないでしょうし、ヘビだと穴は2つだけです。
2014/9/22(月) 午前 7:58
もちろん、これも断定でも診断でもなく、可能性として考えただけですよ。
2014/9/22(月) 午前 7:59
>「皮下に膿瘍が溜まっていて、それが破裂して血膿(ちうみ)が出て来たんじゃないの?」
血膿(ちうみ)は流石に素人でも見分けられるんじゃないですか?
獣医が診ていることを考えると皮膚病説は無理があると思います。
先生が腑に落ちない点を唯一解決できるのか、飼い主による虐待ですな。
2014/9/22(月) 午前 10:59 [ ふうりん ]
ふうりんさん、「感染>出血」だと、いわゆる膿でクリーム色の液体ですが、「出血>感染」だと、血様になるかと思います。
オーナーが狭い範囲に何度も外傷を負わせた、とも思いにくいのでそんなことないとは思うですが。
2014/9/22(月) 午後 1:46
オスカーちゃんを治療した獣医さんによると、500円玉くらいの面積に三か所の刺されたような穴と二か所の打ち身のような傷があったそうです。
ちなみに、オスカーちゃんの飼い主さんの職場はペットショップに併設されてます。
色んな動物がいるようですが、ワンちゃんが歩き回ってるようです。
ですから、咬まれた可能性も否定できませんね。
2014/9/22(月) 午後 9:28 [ ひろ ]
ひろさん、猫の咬傷などだとしょっちゅう見ることなのですが、ケンカで他の猫に噛まれた場合、鋭い牙が皮膚に刺さっても、刺さった所自体は外から見て分からず(刺さった牙が抜けると傷は一旦ふさがります)、その後、皮下に膿瘍を形成して、それが破裂してから、そこが傷口だったことに気付くことがよくあります。
歯は鋭く刺さりますので、皮下まで細菌を埋め込まれます(動物の歯というのはとても細菌が多いです)。
血膿を形成する膿瘍の破裂にしても、その原因というのは不可解だったのですが、小動物に咬まれる可能性があった環境、というのであれば、かなり真実味のある仮説が浮かんできますね。
2014/9/23(火) 午後 10:51
当日の傷です。
ttp://shinshu.fm/MHz/01.12/images/KY0fKwUD.jpg
咬傷でしたら上下の歯形が付きませんか?
しかも、こんな風に綺麗に規則的に穴が出来ますか?
どうでしょうか?
2014/9/24(水) 午前 7:43 [ なお ]
なおさん、動物に噛まれた傷は、大きく以下の3つに分かれます。
・貫通して化膿
・貫通はしないが、ダメージは大きく、跡が残る
・貫通せず、ダメージも小さく、跡も残らない
23日後の写真で跡が残っているのは、貫通していないもののある程度のダメージがあった名残が考えられます。
また、咬む攻撃にも、顎の力で咬んで絞め殺す動物と、首を振り回してダメージで殺す動物がいますが、噛み付いた後首を振り回すような動物だと、力のかかり具合が歯によって異なって来ますし、皮膚を引っ掻いたような跡が残っているのが説明しやすいかと思います。
2014/9/24(水) 午前 9:50
獣医師です。私達のグループもぽこ先生らとまったく同意見です。
今回の事件は、
1、診察治療した獣医師が「ナイフまたはフォークでの創」
と言い切ってしまったのがダメ。
人間の監察医でもないのにどうこう鑑別できるわけがない。
皮下膿瘍や咬創の可能性ありとも言わなければダメ。
2、それを鵜呑みにして事件性ありと判断した警察もダメ。
なぜ別の獣医師のセカンドオピニオンを求めなかった?
3、「刺されても耐えた!」とか美化し、また、警察同様に
「刺された」と鵜呑みにしたマスコミもダメ。
4、経験のあるベテラン獣医師でも、メス創はもちろん見て
いるが、ナイフでの創とかフォークのような鈍性なもの
で突かれた創など、ほぼ見た事が無いはず!
今回も「多分、そんなモノで刺されたらこのような状態に
なるのではないか?」と診断してしまったゆえの事件と考
えます。
2014/9/24(水) 午前 11:20 [ kum*ta* ]
kum*ta*先生、僕も全く同意見です。
他の獣医師の診察にとやかく言いたくもないですし、本来なら診ていない獣医師がどうこう言うべきでもないのだと思います。
ただ、この件がそのまま行けば、
・報道などでずっと、「盲導犬が刺される事件がありましたが・・」と、引き合いに出され続ける(そしてその度に、多くの獣医師が、うーん・・と思い続ける)
・様々なキャンペーンに旗頭として使われ続ける
という、社会的な影響がありますので、"もうひとつの可能性"として、考えられることを述べる、ということは、意味があることだと思いました(どう触れるかは再考の余地があったと思います)。
僕もここまで拡散されるとは思ってもいなかったのですが、多くの獣医師にとっても、気になる事案であることは間違いないと思います。
2014/9/24(水) 午後 4:37
お久しぶりです。
何も続報出なくなったなぁ・・・と思ってたらこんな記事が出ました。
ttp://www.sankei.com/premium/news/141017/prm1410170004-n1.html
2014/10/18(土) 午後 9:55 [ なお ]
なおさん、これだけ調べても何も出てこないとなると、警察が一番疑問に思っていそうですね。
これだけ世間を騒がせたのですから、なんらかの見解は出して欲しいとは思いますが。
2014/10/20(月) 午前 10:52
やっぱり皮膚病みたいで(⌒□⌒*)
オスカーは痒くて痛いけど
事件じゃなくてよかったですねっ!
2014/11/18(火) 午前 11:43
おぶすさん、印象としては、ほぼこれで決まりということだと思います。
報道を広げたマスコミが、自己反省の特集を組んでもしかるべきだと思います。
2014/11/18(火) 午後 0:05
ヤフーニュース見ました。
やはり犯罪でない様ですね〜。
犯人も手がかりも何もない。
報道やマスコミ、警察のあり方を考えさせられました。
でも フォークでなくて、良かったです。安心しました。
2014/11/18(火) 午後 0:14
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6138954
2014/11/18(火) 午後 0:15
むーちゃんさん、警察は悪くないと思います。
被害届が出されたら、捜査をするのはもちろんだと思いますので。
飼い主さんも悪くないし、この案件での一番の被害者だと思います。
2014/11/18(火) 午後 5:18