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不景気が続く世の中ではありますが、 先日もちょっと考えさせられる状況がありました。 一ヶ月ほど前に診察に来て、 初診で診察をして1万円ほどになり、会計の段階になって、 「お金持って来てません」 と言う話になった人がいました。 一応念書は書いてもらったものの、 それ以来なしのつぶてで、 「ダメかもしれないけれどそろそろ電話をするか・・」 と思っていたところ、飼い主さんだけが病院にやって来ました。 「先日のお支払いなのですが・・。」 「・・はい。」 「ちょっと払えないので待ってもらっていいですか。 今払えないんです。」 「・・はい・・。」 今日も支払いはゼロのようですが、 一応、踏み倒して逃げてやろうという姿勢ではないようです。 「それで、あの子なんですが。」 「あれからまた痩せて来ているんですが、 診ていただけないでしょうか。」 うーん、どうしたものか・・。 高齢の動物で、ちょっとずつ痩せて来ている動物ですので、 検査をするとなると検査もお金がかかりますし、 治療するとなると、またさらにお金がかかります。 ぱっと治療をして良くなってくれると分かっている病気であれば、 僕も 「今治療しないと治らないので、お金は後からでも良いので治療をしましょう!」 と言うこともあるのですが、今回の症例は、 長い経過を経てなって来ているもののようで、 どうやらぱっと治療して治るものではなく、 ずっと治療が必要になるか、もしくは簡単には治らなさそうな気配です。 治療をするという事はお金がかかるという事を意味していますし、 お金がかかるという事は、今の時点で未払金が出ていますので、 未払金がどんどん増えて行くという事を意味しています。 本人が払えないと言っている状態で、 払うことのできない額が増えて行くと言うのは、 飼い主さんにとっても病院にとっても良い事ではなさそうです。 クレジットカードもないか聞いてみましたが、 どうやらカードはお持ちでないようです。 動物病院としては、できることとできないことがありますので、 それを説明した上で、どうするか相談するしかありません。 「申し訳ありませんが、うちでは「ツケ」はしていません。 検査をするにしてもお金がかかってしまいますし、 治療をするにしてもお金がかかってしまいます。 状態を考えると、簡単に治癒する事はなさそうなので、 治療を続けて行くとなると、それなりの治療費がかかりそうです。 今の時点でお支払いが難しいということであれば、 どこまで検査と治療を行うかも考えて行かなければいけません。 お支払いの出来る範囲の中で、してあげられることをする方が良いかもしれません。」 というと、飼い主さんは、 「ちょっと相談してみます」 と言って帰って行かれました。 実際、医療というものは原価がかかっている分、 無償で行うわけにもいきません。 お金がかかったら、かかった分飼い主さんにお支払いいただかなければいけません。 したらした分だけお金がかかってしまうと言うのは、 やむを得ない現実の事です。 動物のためだからと無料でするわけにもいきませんし、 無料でしたりすると、そういう話は広まりますので、 「うちも無料でしてくれ」 「あそこは無料だったじゃないか」 ということにもなりかねません (それで病院がつぶれた獣医師もいるそうです)。 ドラマのドリトル先生であれば、 「金も払えないような奴が動物なんか飼うな!!」 と怒鳴るのかもしれませんが、 飼い主さんだって、好きで金銭的に苦しいわけではないですから、 そんなこともしたくはないところです。 急性期疾患でぱっと治り、今しかタイミングがないような、 椎間板疾患や骨折だったりすると、 「お金は後で良いから!」 と治療をした事もありますが(正直、痛い目も見ていますが)、 慢性疾患でそれをすると、とんでもない事になるのは目に見えていますので、 それはしたくてもできません。 動物を飼うという事はお金がかかるという事であり、 治療をするという事はお金がかかるという事なのですが、 金銭的に余裕がない人の動物が病気になったときは、 どうにも難しい事になってしまいます。 動物病院の側にあふれるほどの余裕があれば、 ばんばん無償で見てあげれば良いのでしょうけれども、 それをすれば、間違いなくうちがつぶれる事になってしまいますので、 どうにも難しいところです。 かかった分は請求するしかありませんので、 できることは、 「いくらかかるか」ということをだいたいで告げて、 どこまでしてあげるかを飼い主さんと相談して決めて行くという事だけかもしれません。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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飼い主さんに思う
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飼い主さんたちに思うこと、言いたいこと
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ハムスターと言うのは、なぜか腫瘍の良くできる動物です。 ウサギなどではたまにしかみないのですが、 ハムスターは体表のしこりが出来て来たという症例を良く見かけます。 ところで、ハムスターの腫瘍のときは、 早い目の手術を勧める事が多いのですが、 そこで聞かれるのは、手術代の事です。 ハムスターの腫瘍でも、麻酔をかけて手術を行いますので、 手術代はそこそこかかります。 犬猫の手術よりは格段に低い値段ではあるのですが、 それでも正直、ハムスターを買って来た値段と比べると、 何倍〜何十倍もする値段であるのは事実です。 手術代を告げると、結構な確率で、 "ハムスターにそんなにお金かける事になるのか・・" という飼い主さんの苦笑いの表情が浮かびます。 ハムスターを飼っている家庭のほとんどは、 小学生くらいのお子さんが飼い主で、 何かしこりが出来たと言われて、親御さんが一緒に付き添って来る、 というパターンがほとんどです。 飼い始めた場合も、 「動物を飼いたいと言われたけど、 ハムスターならまぁ良いか。」 と、そんなに深くない気持ちで、 数百円〜千円くらいのハムスターを購入して来た、 という場合が多いかもしれません。 しこりが出来たと言われて病院に連れて行ったら、 思いもかけず手術と言われて、 思いもよらない費用を言われたという事で、 "こんなはずでは・・" と思われる親御さんもいらっしゃるかもしれません。 と、ここでハムスターにかかる費用の話をされて、 選ぶ選択肢はふたつです。 ひとつは、 ・手術をしないよう子供に説得する もうひとつは ・手術をする という選択肢です。 ハムスターの手術はリスクは犬猫よりも高いのは事実ですが、 ハムスターだからといって麻酔をかけられない、ということもありません。 手術をしないよう説得すると言うのは、 ビックリされるかもしれませんが、実際あります。 「この子の寿命だよ、あきらめよう」 とか、 「手術なんてリスクあるからさ。」 とか言って、診察室で子どもさんに手術を止めるよう説得する親御さんというのも、 時折見かけます。 もうひとつの、手術をするという選択肢は、 子どもさんがなんとかしてあげて、と言って、 親の方が、 「まぁ、この子がそう望むのであれば・・」 と手術を決断するという感じの事が多いようです。 この間も、子供さんと一緒にやって来た飼い主さんのハムスターの腫瘍の手術がありましたが、 その時も術後引き取りにきたお父さんが、 「まぁ、子供の手前、"ダメ"って言うわけにもいかないですからね。」 とつぶやくように言っていました。 実際、動物を飼うという事は、 子供の情操教育、という意味合いも持っていると思うのですが、 動物が病気になってしまったときに、 治療しなかったり、治療しないように子供を説得すると言うのは、 場合によっては、最初から飼っていないというよりも、 教育上よくない可能性もあります。 もしそれで子どもさんが心に引っかかるものを持ったりして、 そのまま大きくなった時に、親御さんが病気になった時に、 「でもパパ、あのとき、ハムスター治療してくれなかったよね」 なんてことになったら、 お父さんは後悔する事になるかもしれません (実際にあるかどうかは分かりませんが)。 もしかしたら、手術をしようと言う家族の場合、 「いいかい、大切な家族に何かあるときは、 きちんと面倒を見てあげないといけないんだよ」 と言う言葉の裏には、 "だから、お前もオレの事、頼むよ・・" というメッセージが込められている場合もあったりするかもしれません。 子どもさんが大きくなり、親御さんが老後を迎えた時に、 その昔ハムスターを手術した事を、 覚えていてくれるかと言うのは何とも言えませんが、 情操教育と言うのは、選択肢が出て来た時に、 どういう思いを持って、どういう選択肢を取るか、 ということが、ひとつの大切な事であると思います。 中にはハムスターの手術を断る飼い主さんもいますが、 将来、自分が老後を迎えた時に、 「あのときパパは・・」 と言われないよう、願うばかりです。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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最近は動物病院でHPを持っているところも多いですが、 HPの中で掲示板を持っているところもしばしばあります。 僕も自分のHPにcgiを置いて、 掲示板を開設しているのですが、 動物病院の掲示板でしばしばありがちなのが、 「掲示板が相談コーナーになってしまいがち」 ということです。 一般の飼い主さんからすると、獣医師に気軽に聞きやすく、 費用もかからないということで、 質問も書き込みしやすいのだと思います。 飼い主さんと獣医師のコミュニケーションの場ということで設置しているのですが、 どうしても、飼い主さんが、 「しこりがあるのですがなんでしょうか」 「足を痛がっているのですが様子を見ていてはいけないでしょうか。」 「毛が抜けているのですが病院で診てもらった方が良いでしょうか。」 など、病気の相談の内容を書き込みして来る事が多いです。 僕としては、掲示板に書き込みをいただいた場合は、 言えるところまではなるだけ丁寧に返事をさせていただいているのですが、 「それは実際に診てみないと何とも言えないですよ」 という質問も多く、そんな時には考えられる可能性の話とともに、 「気になるようであれば、早めに動物病院で診てもらって下さい。」 と、いつもの返事になってしまう事も多いです。 ネットの掲示板では、診ていないと分からない事も多く、 責任も取れませんのであまり深くまでは書けない事も多いです。 だいたいの人は礼儀正しい文章で、 アドバイスをした場合はお礼の返事を返して来てくれる事が多いのですが、 中には、「はじめまして」といった挨拶もなく、 いきなり相談内容だけを書いて、 僕が返事をしても、それに対しての返事も何もなしでそれっきり、 ということもしばしばあったりします。 それはそれで、ネットの事ですので仕方ないとは思っているのですが、 こちらとしては、それなりに一生懸命考えて書き込んだ返事だったりしますので、 なんだかなぁ、という気分になったりもします。 最近はいろんなところのHPや掲示板などで、 獣医師に相談すれば、無料で書き込みを返して来てくれるところもあったりしますが、 書き込みをする時には、ある程度の礼節を持って書き込みをしていただければと思います。 アドバイスをした結果、病院に行って診察してもらった場合には、 その結果も教えていただければ、 書き込みをした方としては、 「あぁ、アドバイスをして良かったな。」 と思いますのでお願いいたします。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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命ある限り、いつかは命の終わりを迎える事があると言うのは、 命を持つものの宿命ではあります。 家で飼っているペットがなくなった時、 相談される事の一つが、 「今後どうすれば良いか」 ということです。 一般的には、なくなった後は霊園を紹介して、 そちらにお連れいただいて火葬をしてもらう、 ということをお勧めしているのですが、 たまにあるのが、 「今後どうするかなんですけれども・・。」 と言った時に、 「連れて帰って山に埋めます。」 という答えが返って来る事です。 地方の都市ということもあるのか、 特に町のはずれの方にすんでいる人だったりすると、 自分の山を持っているとか、 自分の庭が山だ、という人もちらほらいたりして、 「うちは代々、動物は山に埋めて来た」 という人もいたりするようです。 人間であれば、勝手に遺体を山に埋めたりすると、 「死体遺棄」として法に触れてしまうのですが、 動物では、私有地に埋めるのであれば、 特に法に触れる事はないようです。 ただ、公園や他人の土地に埋めたりすると、 違法になってしまうと考えられますので、 埋めるなら自分の土地に、とはアドバイスしています。 ただ、埋めるにしても、浅かったりしたら野生動物に掘り起こされてしまう可能性がありますので、 土に埋めるのであれば、出来るだけ深く(1メートル以上?)掘って、 埋める方が良いと思います。 「土に還す」 という言葉もありますが、 自然に土に還してあげたいと思う人も少なくないようですね。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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寒くなって来た影響もあるのか、 最近、なじみの患者さんの動物が、 ちらほら虹の橋を渡っています。 心臓が悪い動物や腎臓が悪い動物、高齢の動物などでしたので、 仕方がないと言えば仕方がないのですが、 もうこれから来なくなるのかと思うと、 何とも言えず寂しいものです。 犬猫の平均寿命はだいたい15年くらいですので、 よくよく考えると、15頭ほど犬猫がいれば、 そのうちの1頭は毎年なくなってしまうという計算になります。 なくなる子達と入れ替わりに、 あたらしく子犬子猫が生まれて来ますので、 総数としてはそれほど変わらないのでしょうけれど、 生まれて来る命があればなくなる命もあるという事で、 今まで来ていた子が来なくなると言う事は寂しいことではあります。 もちろん、みんながみんな15才でなくなるというわけでもなく、 がんばってくれれば20才くらいまで生きてくれる子も多いですので、 それぞれずっと元気な顔を見せて欲しいものです。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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