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動物病院に行くと、診察室あたりに結構な確率で置いてあるのが、 「フィラリアの標本」です。 僕の病院にも、その昔手術して摘出したフィラリアの標本が置いてあるのですが、 標本があると、 「こんなものが感染するとえらいことだ」 とイメージを持ってもらいやすいと思います。 あとは、寄生虫でも、 「便から虫が出て来ました」 という場合に、 「こんな虫でしたか」 と標本を見せると、 「ああ、そうそう。 こんなんでした。」 と、何の虫なのか一目瞭然ということになりやすいです。 ところで、回虫などであれば、 腸の中にいた姿のまま、一匹まるまるごそっと出て来ますので、 標本にもしやすいのですが、 標本にしにくいのは、マンソン裂頭条虫などの、 "ぶちぶちちぎれて出て来る"ような虫です。 条虫類は、体が節状に分かれていて、 節が新しく出来て行くように体がのびて行きます。 ある程度のびた虫は、途中でちぎれて動物の体外に出て行きますので、 通常虫が出て来た場合、それは体の全体が見られているわけではなく、 ちぎれた体の一部を見ているだけのことがほとんどです。 一番多い条虫である瓜実条虫では、 「米粒のような虫が出て来ました」 とおっしゃることが多いですが、 実際には、あのつぶつぶがくっついた、もっと長細い姿をしています (僕もつぶつぶの形でしか見たことがないですが)。 マンソン裂頭条虫でもきしめんのような、 たくさんの長方形の節が連なったような姿の寄生虫が出て来るのですが、 それも体の一部であることが多いです。 だいたいは10センチ未満で出て来ることが多いので、 それでは"身震いさせるような"標本にはなかなかなってくれません。 以前まであった標本は、それでもまあまあ長い方だと思っていたのですが、 それでもごっそりというほどでもありませんでした。 と、先日飼い主さんから、 「お茶碗一杯ほどの塊が出ました」 と言われ、 「見てみれば何の虫か分かりますし、 たくさんあれば標本にしたいくらいなのでもってきてもらえますか。」 と話をしていました。 その次の日くらいに、飼い主さんが、 「こんなんなんですけど」 と行って持って来たものを見て、 僕自身おったまげました。 たしかに茶碗一杯のごっそりだったので、 なかなかお目にかかれない大物を堪能させていただきました。 ちょっと時間がたっていたので、少し溶けつつある部分もありましたが、 洗ってみるとけっこうそのまま標本に出来そうな感じでしたので、 さっそくホルマリンに浸け、病院の標本ライブラリーに加えさせていただきました。 これだけ大物であれば、眺めているだけでほれぼれしてしまいそうではありますが、 「こんなのがお腹の中に入ると大変ですよ」 というと、説明にも説得性が強まりそうです。 大物が取れたら、動物病院に教えてあげると、 けっこう喜ばれるかもしれませんので、 もしも飼い主さんで 「こんなん出た!」 と言う方は、早めに動物病院に教えてあげると良いかもしれません。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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動物病院、ちょっとした話
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動物病院の、ちょっとした話です。
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注射器と針は、普段診察の中でもっともよく使う医療器具のひとつです。 動物に注射をうつ時に使うのはもちろん、 飼い主さんに薬を出す時に、薬の量を計測したりするときなどにも使うこともあります。 注射器だけでは薬を吸う事も注射する事も出来ませんので、 注射する時には注射器の先に針を付けて用いる事になります。 このときに気をつけないといけない事は、 「針をぎゅっと注射器に接続しておかなければいけない」 ということです。 なぜかと言うと、針と注射器の接続が緩かったりすると、 注射器を押して中の圧力が高くなった瞬間、 つなぎ目のところが"爆発"してしまう可能性があるからです。 少量の液ではうつときの圧力も知れていますので、 そうそう起こる事もないとは思いますが、 皮下輸液など、そこそこ大量の液体を注射するときには、 注射器をぐっと押して内圧も上がりますので、起こる可能性があります。 もしも接続が緩くて、注射器を押している時に、 バーン!! と破裂してしまうと、針が外れた瞬間、 そこから注射器内の液が出てしまいますので、 どれだけ注射が入ったから分からなくなってしまいます。 また、大きな注射器に両手で圧力をかけて皮下注射していたときなどは、 外れた瞬間、けっこうな勢いで液がはじけることがありますので、 飼い主さんはおろか、注射している本人にとっても、 何が起こったのか理解できない状況になりかねません。 また、投薬のための液剤を調合するために、 注射器を用いて液を調合しているときなどは、急いでいたりすると、 ついつい強く注射器を押して液をビンに入れようとする事がありますが、 そんなときに針の接続が甘かったりすると、 高まった圧力がつなぎ目から吹き出て、"爆発"が起こる可能性があります (注射よりもこちらの方が可能性は高いです)。 飲み薬の調合では、単シロップと言うべたべたした液体を扱う事も多いのですが、 単シロップを扱っている時に焦って勢いよく注射器を押していて、 そんなときにバーン!と破裂させてしまうと、 針が吹き飛ぶのと同時に、周りにけっこう派手に単シロップがまき散らされてしまう事があります (経験者もいるかと思いますが、この状況は最悪です)。 だいたいそんなことをしてしまうのは急いでいるときが多いのですが、 急いでいる時に余計な仕事を増やしてしまうと、 ますます気持ちも焦りますし、仕事場がネバネバになってしまうしで困った事になってしまいます。 したがって、注射器と針を用いるときは、 「針をしっかり注射器に接続する」 ということと、 「左手で針を持っておく」 ということを気をつけておかなければいけません。 左手で針を持ってさえいれば、針が吹き飛ぶ可能性も減ります。 もしくは投薬ビンに入れるのであれば、 針は先にはずしておくというのもひとつの手ですし、 それプラス、急いで圧力をかける事を避け、 内圧をあまり高くしないように心がける事も大切な事です。 破裂させていい事は何もないのですが、 ちょっとした事に気をつけておかなければ、 忘れた頃にやってしまいかねません。 あせらず、ひとつひとつをていねいに、 というのが一番の近道ですね。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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外注シリーズ第3弾ですが、今日の話題は、 送るときの品名を何と書くかです。 病院では、検査をして送るとき、 検体を宅急便で送る事になりますが、 その時に品名を何で書くかと言うのは、 今でも悩むところです。 検査を送る場合、多くは「病理組織検査」か「血液検査」に分かれます (その他、スライドガラスなどもありますが)。 病理検査だと、ホルマリンに入れた臓器を送る事になりますが、 「ホルマリン」と書くのも、こぼれないかどうか心配されるでしょうし (ビニールに入れて、三重以上に包装していますが)、 「臓器」というのもおどろおどろしいです。 まして、「腫瘍」とか書くのも品名としてどうかと思いますし、 「手」なんて書いた日には、警察に通報されそうです。 今のところ、「検体」と書いていますが、 これで合っているのか合っていないのか、 いまだによく分からないところです。 問題なく送れているので良いのかもしれませんが、 品名「検体」と書かれているのを見て、 宅急便の人がどう思うのか、気になるところではあります。 血液の場合も「検体」と書いていますが、 代診をしていた頃の病院は、宅急便に突き返されないように、 「薬品」と書くようにと言われていました。 実際、「ホルマリン容器」と書いたら突き返された事があったそうですが、 どう書けば良いのか難しいところです。 薬品ではないと思うので、今のところ「検体」と書いているのですが、 他の病院の先生は、どう書いているんでしょうね。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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僕は、代診時代、外注検査があまり好きではありませんでした。 正確に言うと、外注検査が嫌いなわけではありませんでしたが、 外注を出すとなった時に、宛先の紙を書かされるのが、 とても面倒くさかったのです。 ところで今でも外注検査は時折お世話になっていますが、 今はとても快適でストレスもありません。 というのも、外注検査となったとき、 宛先の紙を書き込む必要はなく、 こちらの住所・氏名と宅急便の宛先まで書きこまれた紙が、 すでに用意されているからです。 別にスタッフに「書いて」と言っているわけでもなく(それでも良いのですが)、 うちの病院の引き出しには、こちらの依頼主の住所と名前、 およびよく出す届け先のぞれぞれの住所と名前がすべて印字された用紙が、 ごそっと入っています。 開業してから知ったのですが、実は、 宅配便会社に頼むと(うちはクロネコです)、 宛先や依頼主の住所・名前を印字した用紙を、 もらう事が出来ます。 そこで、うちの病院では、よく送る検査会社それぞれの分に、 印字済み用紙を用意してもらっています。 外注検査を出すとなったら、 用紙を引き出しから出せば、それですみます。 こちらがその時書くのは、 「品名」と「冷蔵・冷凍」のところだけです。 その昔、宛先と住所をちまちまと書いていた時代に比べると、 月とスッポンほどに快適です。 知っている人は知っているけれども、 知らない人は案外知らない事かもしれません。 宅急便の印字をしてもらってない人がいたら、 頼んでつくっておいてもらうと、とても楽ですのでおすすめですよ。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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この時期はフィラリアと狂犬病の注射で病院にやって来る人が多いです。 データは取っていませんが、体感的には 全体の来院のうちの、7割くらいがそうかもしれません。 この時期は、診察室に入ってもらったら、 体重を量って、採血をして、血液検査をして、 健康診断をして狂犬病をうって、フィラリアの薬の出す回数を聞いて、 診察室を出て、AHTさんにカルテを渡し、さあ次の人へ、 というパターンが多いです。 カルテが受付に並んでいても、フィラリアと狂犬病の用件であれば、 一件あたりにかかる時間はそれほどでもありません。 ところで、もちろん動物病院にやって来る動物がみんな、 狂犬病とフィラリアでやって来るわけでもなく、 病気だったり、体調が悪かったりしてやって来る人もいます。 そうすると、診察時間はどうしても長めになりますので、 あまり悠長に構えていると、カルテが立て込んできて、 駐車場と待合室がえらい事になってしまいます。 診察はしっかりしなければいけませんが、 かと言ってカルテも立て込ませずにさばいて行かなければいけませんので、 レントゲンを撮ったら、現像時間に次に人に入ってもらったり、 血液検査の間にまた次のカルテを見たりと、 診察の順番を考えながら、 要領よく仕事をこなして行かなければいけません。 カルテが並んでいても、たいていはこの時期は狂犬病とフィラリアですので、 待ってもらっている間に一件こなせば、 ちょうど検査結果が出て来る頃合いになっています。 病気の診察が並んでいたりすると、カルテがさばけなくて、 大変な状況になって来たりもするのですが、 この時期はそういう時期ですので、 気力と体力を振り絞って、なんとか根性で乗り切るしかありません。 とは言っても、バタバタしていると、 一件あたりにじっくり腰を据えるのがむずかしいこともしばしばです。 病気できている患者さんだと、 しっかりインフォームドコンセントをして欲しい、 というのはもちろんなのだと思いますが、 一方で次のカルテが何枚も並んでいたりすると、 じっくりゆっくり落ち着いて説明もしていられない状況もあったりします。 他の人をあまり待たせるわけにもいかず、 説明もしっかりしたいとなれば、 ”これはしっかり説明しておかなければ!” というときは、診察時間後に改めて時間をとらせてもらって、 落ち着いて話をさせてもらうというのもひとつの手です。 繁忙期もいよいよ佳境に入って来ますが、 うっかり気を抜いて足下がおろそかにならないように、 気を引き締めて仕事をしていきたいところです。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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