|
動物病院と言うのは、雨が降ると患者さんも来なくなってしまうものですが、 患者さんが来ない時こそ、できることというものもあります。 中でも、ちょこっとした工作などは、 雨の時ほど集中できて、インスピレーションがわいたりするものです。 先日は、台風に関係した雨で、 工作に取り組む時間が取れましたので、 前から考えていたアイデアをもとに、 ひとつの工作をしてみました。 今回作ったものは、 「自動プレパラート乾燥器」です。 血液や細胞を染色して検査する時は、 「細胞塗抹→乾燥→染色→洗浄→乾燥」 という行程が必要です。 そのときに、乾燥の行程ではドライヤーを用いて、 プレパラートに風を当てないといけないのですが、 通常は、片手にドライヤーを持って、 片手にプレパラートを持って乾燥を行うことになります。 僕も今までそうやってきましたし、それで大きな問題はないのですが、 ひとつだけ問題があるとすれば、 乾かしている間は、一人の手がそれでふさがってしまうという事です。 他にもヘマトクリット管を処理したり、 ヘパリンチューブに血液を入れたりとしなくてはいけない手技が残っているのに、 一人の人員がドライヤーを持っているだけで取られてしまいます。 急いでいる時はドライヤーの乾かす時間がつい短めになってしまいがちになりますが、 最初にドライヤーで乾かすと言うのは、 細胞内の水分をしっかりと飛ばし、 染色液が入りやすくするという意味がありますので、 乾燥作業は、一件地味ながらも実はとても大切な行程です。 そのため以前から、 「何かに固定させておいて、 勝手にドライヤーをあてておいてもらえれば、その間に他の作業にかかれるのに」 と思っていました。 放置している間にしておいてくれれば、 時間を気にする事もなく、長く乾燥することができます。 そこで、アルミ棒を用いて、ドライヤーの固定台と、スライドの固定台を作ってみました。 洗面台のちょうどデッドスペースに作ったので、 特に邪魔にもならず、いい感じで収まりました。 ひとつのポイントは、 「ドライヤーの保管場所が、そのまま作業台になる」 ということです。 作業をするときに、わざわざドライヤーをそこに設置しなければならないとなると、 それで手間がかかって面倒ですので、 普段からドライヤーを設置しておいて、 染色のときにはスライドガラスをおいてドライヤーのスイッチを押すだけで、 作業が出来るようにしました。 もちろん着脱可能ですので、ドライヤーを使いたい時は、 普通に取り外して使えます。 アルミ棒の形はドライヤーに合わせて成型しましたので、 このドライヤー専用の台ですが、使ってみると想像以上に便利で、 染色を行うのがちょっと楽しみになりました。 アルミ棒は柔らかくて成型しやすい反面、曲がりやすいのでデリケートに扱わなければいけないのですが、
急いでいるときにガン!と乱暴においたりしないように、 やさしく取り扱いたいものです。 |
発明品
[ リスト | 詳細 ]
|
今回は、医療関係者にしか分からない記事かも知れません。 僕の病院では、薬を分包するのに自動分包器を使っています。 粉の薬でも、全体量を量って、 粉薬の目盛りを包数に合わせて、 入れた薬をハケで均一にならせば、 スイッチを押すだけでガチャンガチャンと薬を分包してくれる便利な機械です。 手分包だと、どうしてもきちんと分包するのが難しく、 手間もかかるのですが、自動でしてくれれば助かります。 ところで、自動分包器で粉薬を分包する際、 一番のキモの部分になって来るのが、 "きれいにハケでならす" ということです。 枠の中を均一にならしておかなければ、 出来上がりの時に分包される薬の量がまちまちになりますのでよろしくありません。 薬をならす手技は、ハケのような器具を用いて行います。 使った人なら分かると思いますが、通常は、 ハケでならした後、微妙な量の調整をするために、 ハケを斜めにしたりして角度を変えつつ、 微調整をして行って、細かい技術が必要となります。 分包器に付属しているハケはサイズも限られていますので、 サイズが合わない場合は、かなり斜めにしたり、 細かい調節が必要だったりします。 薬の分包は、きれいにするためにはかなりの熟練が必要な職人技です。 ところで、僕のモットーのひとつは、 「誰にでも簡単にできないようなシステムは、 システムとして問題がある」 ということです。 分包を誰にでもうまく出来ないのであれば、 誰でも簡単にできるやり方でない中に問題があるのであって、 誰にでもうまく出来るように工夫した方が良いです。 自動分包器で一番の問題は、 「ハケをうまく使わないといけないというところに問題がある」 ということですので、 ハケを改良するべく考えて自分で作成して使っています (かねてから記事にするつもりで忘れていました)。 作成方法ですが、アクリルの板を幅を一定にして切り出し、 薬をならす部分の幅を1mmごとに長さを変えつつ、 幅4mmから13mmまでそろえて作ってみました。 普通のハケはもっと薄いのですが、しなると逆にやりにくいので、 もっと肉厚にしました。 これにより、壁にくっ付いているのをこそげ落とせるようになり、 そのまま水平に移動させることによって、 "斜めに傾けて移動させる"という必要がないようになりました。 かつ、肉厚にしておけば、摩耗で先がちびる速度も遅くなると期待できます。 基本は、とりあえず適当なサイズで、 慣らして行きながら、ちょうどあったサイズになるまで、 サイズを変更しつつ、ならしていきます。 ある程度水平にならしたら、 そのサイズのハケをやや立てて水平移動させ、微調節を行います。 変に斜めに傾ける必要をなくした事で、 手技の難易度は激減しました。 何も考えなくても、サイズを変更しつつ、 最後にちょっと傾けて微調整すれば良いとなったことで、 今は薬の分包はとても楽です。 何事も創意と工夫が大切だと思います。 「ないのなら、自分で作ろう」 ですね。 分包の様子です ※傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。
転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |
|
ハムスターにも時折麻酔をかける事がありますが、 ハムスターにぴったり合う麻酔マスクというのがなかなかなく、 なにか良さそうなものがないかと、以前から探していました。 この間100円ショップに行った折り、 何か良さそうなものはないかと物色していたところ、 「化粧水入れ用の小さな容器」というものを見つけ、 "これだ!"とピンと来て、喜び勇んで購入しました。 さっそく、これを加工してハムスター用に麻酔マスクを作る事にしました。 まずは、先端部分をヤスリで削り、 麻酔のラインにつながるように調節です。 しばらく削っていると、ちょうどすっぽりつながるようになりました。 先端を若干根元の部分よりも若干細くしておき、 押し込むとぴったり固定されるようにしたのがポイントです。 続いて、筒の部分をちょうど良さそうな長さで切断します。 切り口はまっすぐになるように、ヤスリで微調整です。 断端がきれいになったら、 手術用の手袋を断端に張り付けます。 アロンアルファでくっつける前に、手袋の真ん中には、 ハムスターの口がすっぽり入るくらいの小さな穴をあけておきます。 断端に張り付けたら、周りをトリミングして大きさを調節し、 アロンアルファでサイドに折り返します。 その上をテープで固定して、出来上がりです。 大した工作ではないのですが、 これで「ハムスター用の麻酔マスク」の完成です。 費用は、容器の100円ぽっきりです。 ラインにつないでみると、 けっこういい感じで接続できました。 ハムスターの麻酔マスクは、横から酸素が漏れていると、 電気メスの火花で発火、という危険もあるのですが、 これなら危険性も低そうです。 けっこういいのができましたので、 またハムスターに麻酔をかける機会が来たら、 また使用してみようと思います。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |
|
ここしばらく天気の悪い日が続いていますが、 動物病院では、天気の悪い日はそれなりに暇だったりします。 とはいえ、暇なら暇で、できることというのもありますので、 暇な時間を利用して、またJavaScriptで新しいのを作ってみました。 左は薬の計算のスクリプトですが、 体重に合わせて、薬の計算をするためのスクリプトです。 薬の計算と言うのは、どこの動物病院でも電卓を叩いて使用量を計算します。 薬の量の式は、 投薬量×体重÷錠剤中の薬剤含有量です。 薬を複数使う場合、それぞれの薬の分電卓で叩かないといけないので、 なかなかに手間のかかる作業です。 ただ、薬の計算と言うのは絶対に間違えてはいけないので、 電卓を叩く時には、間違いの起こらないように、 神経を集中してしています。 それもスクリプトを作っておけば、 間違いを起こさずに計算をする事が可能です。 打ち込むのは「体重」「投薬量」「錠剤中の薬剤含有量」の3つですが、 タブキーで移動しつつ、数字を打ち込んで行く事で、 自動に計算が行われて行きます。 さらに、よく使う薬の分ボタンを作っておき、 自動的に投薬量と含有量が入力されるようにしておけば、 体重さえ打ち込んでボタンを押せば、 一発でそれぞれの薬剤の使用量が表示される、 というようにしておきました。 ボタンを押した後で投薬量を変更しても、再計算は可能です。 問題は、自分で電卓を叩くのと、 パソコンでページを出してそこを操作するのとどちらが手間がかかるか、 ということですが、とりあえずは使いながら、 自動入力のボタンの種類を増やしたり、使い勝手を考えながら、 またいじって行こうと思っています。 右の画像は、心臓病の薬の計算するためのスクリプトですが、 これは前にもざっと作っていたものを、 再度レイアウトを作り直して書き直しました。 こちらは体重を打ち込んで、 「最低用量で計算」のボタンを押せば、 一発でそれぞれの薬の計算が可能になっています。 心臓病の薬は種類も多く、計算も大変なのですが、 スクリプトを作っておけば、楽に計算が可能です。 こちらも、ざっと計算してから、 投薬量を打ち込み直して再計算する事が可能です。 絶対に間違ってはいけない計算も、 スクリプトを使えば、迅速、かつ確実に計算する事が出来ますので、 これはけっこう使えるものになっていると思います。 また例によって例のごとく、スクリプトは自分のHPに載せていますので、 誰でもアクセスして使えるようになっています。 特に、他の人に使ってもらうためというわけではなく、 自分で使うために作って、自分で使うためにHPにリンクさせているだけなのですが、 HPに載せてしまっているものだから、 結果として誰でも使えるようになってしまっている、というものです。 獣医師の人にしか関係のない記事ではありますが、 興味がある方は良かったらどうぞ。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |
|
ごそごそするのが好き、という獣医師にとって、 ホームセンターは宝の山だったりします。 診察や手術の時に、こんなのがあったら良いなとか考えた時、 ちょっとの工夫と工作で、思いのほか使い勝手の良いものが出来たりします。 頭の中でこんなものがあると良いなと考え、 試行錯誤しながら、ホームセンターで良さそうなものを探し、 作る作業と言うのは、けっこう楽しいものであったりします。 ホームセンターで物色しているときも、 ものを見ながら、 「うーん、これはもう少し違ってた方が・・。 これはどうかな、いや、これならさっきの方が・・。 よし、ここをこうするか!」 と、思いを巡らしながらしげしげとものを見ています。 以前も、猫を箱麻酔するための入れ物を買って来たのですが、 それに使用したのは、食品用の保存ケースでした。 これも絶妙な形と大きさのものを探しながら、 あれはどうか、これもどうかと、 目を皿のようにして、しげしげといろんなケースを物色していました。 ただいつも思うのは、いろいろ考えながら、 あっちを見てこっちを見てと繰り返している時に、 店員さんに不審に思われたら困るという事です。 しげしげと、あちこちを見ている客と言うのは、 何かを探しながらそれが見つかっていないという事なのですが、 店員さんがそういう人を見ると、 探すお手伝いをしに声をかけて来る可能性があります (ホームセンターなら低いですが)。 まさか、店員さんに、 「何をお探しでしょうか」 と尋ねられたからと言って、 「猫を眠らせるための箱を探しているんです」 と答えるわけにもいきません。 獣医師という事で納得してもらえれば、 もしかしたら、 「これくらいのサイズであればぴったり閉じ込められるんじゃないですか?」 などと、一緒に探してもらえるかもしれませんが、 おかしな人だと思われたら、動物虐待を疑われて警察に連絡されないとも限りません。 幸い、怪しまれる事もなく、ちょうど良いサイズの麻酔箱が見つかり、 いい感じでハコ麻酔をかける事が出来ていますが、 それには、そこに至るまでの試行錯誤があってのことであったりします。 これからも何かアイデアがあれば、 ホームセンターに通って、"いいモノ"を探す機会がたびたびあると思いますが、 あまり怪しまれない程度に、さりげなく物色する事にしようと思います。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |



