どうぶつ病院診療日記

動物病院の診察風景や、獣医師が日頃思っていることなど

しつけ・行動学

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猫は死に場所を探す?

「猫は死に場所を探す」
とは、よく言われる言葉です。

ところで、猫がどう思っているのかと言えば、
「死ぬ姿を飼い主さんに見せないようにしよう」
と考えているわけではありません(真実は猫のみぞ知るですが)。

猫は、自分の体調が悪いと感じた時には、
体力を回復させるために、安心して休めるところに移動し、
そこでゆっくり休もうと考えるようです。

ちょっとしたケガなどであれば、
休んでいる間に傷が癒えてまた元気になるのかもしれませんが、
重度の病気の場合には、そのまま体力が回復せず、
体力が尽きて死んでしまうことになります。

猫が一人でひっそりと休もうとする場所と言うのは、
えてして縁の下や屋根裏のように、
静かだけれども寒く、水や食料もないところが多いです。

そうすると、ふらふらの状態でそう言うところに行くと、
飲まず食わずでじっとしているうちに体力が低下して行き、
回復できなくなって死んでしまうことにつながります。

特に腎臓病だとかで弱っているときは、
寒いところに行ってしまうと余計衰弱と脱水が進行してしまい、
症状が急激に悪化して尿毒症となり死亡してしまうことになります。

本人は死に目を隠そうと考えているわけではなく、
元気になろうとして行動しているのだと思いますが、
実際には静かなところに行こうとすることが、
返って裏目に出てしまうことの方が多いようです。

猫が弱って来た時には、静かなところに行き、
逆に弱ってそのまま死んでしまう可能性がありますので、
猫の元気食欲が低下して来たような感じがありましたら、
そういうところに行ってしまう前に、
「病気でないかどうか」
を調べるために、早めに動物病院に連れて来ていただいた方が良いかと思います。

※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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動物病院で注射や検査など、嫌なことをする時に、
動物が抵抗したりすると、その時にしばしば、
「こらっ、こらっ!」
と動物を叱りつける飼い主さんを見かけます。

気持ちは分かりますが、だいたいの場合、
逆効果となって動物は余計興奮、となってしまうことが多かったりします。

むしろ、行動学的に考えると、
嫌なことをしたときほど褒めてあげた方が良い、
ということが言えると思います。

嫌なことをしている時に怒ってしまうと、
当然ながら動物は不快な思いをしてしまいますので、
よけいそのことが嫌になってしまいます。

これは「何かする」という刺激に対して、
罰則を同時に与えることを意味していますので、
学習としては逆効果です。

そうではなく、何かしないといけない時は、
興奮させないように注意しつつ行いながら、
お利口さんに出来た時に、
「お利口さんにしてくれたことにご褒美を与える」
という形で褒めてあげる方が良いです。

これは、「何かをされる」ということが嫌なものではないんだよと学習をさせつつ、
「お利口にしてくれた」行動に対し、ご褒美を与えるということです。

何かされるということと、お利口にしていることと、
その時に褒めてもらったことがワンセットで体験されれば、
それは不快なものではなく、むしろ好ましいものと学習してもらえます。

ただこの時注意しなければいけないのは、
暴れたり嫌がったりしてしまった時に褒めてしまうと、
嫌がったことに対して報酬が与えられたと捉えられてしまう可能性があるということです
(耳に入っていない状態かもしれませんが)。

暴れたり嫌がったりしたときは、怒る必要も褒める必要もありません。
体を動けないようにきっちり保定をしながら
(締め付けて不快な思いをさせないように)、
本人に
「暴れても無駄だ」
「動こうとしても動けない」
と思わせた上で、諦めて大人しくなったら、
大人しくしてくれたことに対して褒めてあげるということです。

褒める場合も、あまり興奮させるように言わない方が良いので、
静かになだめるように声をかけるようにして、
処置が終わった時に、うんと大げさに、
「よく頑張ったね!」
と褒めてあげるようにします。

「何かされたけど、褒めてもらって、うれしかった」
と感じてもらえれば、何かされることもそれほど不快ではなくなって行くと思います。

ただ、嫌なことは褒めながらでもやっぱりある程度嫌だと思いますので、
外耳炎になってからいきなり耳を見られると、
「耳を触られると痛くなるから触られるのは嫌だ」
となってしまう可能性があります。

したがって、普段の何もない時から、生活の中で、
耳を触って、口を開いて、目を剥いて・・、
と、動物病院でされるようなことをスキンシップとしてしながら、
大人しく触らせてくれたらうんと褒めてあげる、
ということを繰り返してあげるのがベストだと思います。

大好きな飼い主さんに、痛くないときからされて平気になっていれば、
何かをされることにもへっちゃらになって、
動物病院に来てされるのにも抵抗感が減っていると思います。

「ちょっと嫌なことを静かにさせてくれたら褒めてあげる」
を繰り返ししておくというのは、とても良いことだと思いますので、
ぜひ家でしてあげておいて下さい。

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 この文章は、多くの人に読んでいただけると良いかと思いますので、
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猫とボンネット

動物病院にはあまり医学的でない相談というのも時折かかって来るのですが、
その中でもたまにあるのが、
「猫が近所の車のボンネットに乗ってしまい、
 苦情を言われているんだけれど、なにか解決法はないのか」
と言った相談です。

車に乗って困る理由としては、車に足跡を付けられて不愉快だとか、
車に爪のキズ跡を付けられるので困る、車の上にウンチをされる、
という事が多いようです。

動物病院なら何か妙案を知っているのではと思って電話をして来るのでしょうけれども、
僕もうまい妙案と言うのは持ち合わせていません。

猫と言うのは、高いところに登ると安心するようで、
周りを見渡せる様な車の上で休んでいると、どうやら居心地が良いようです。

それに加えて、寒い中で、
車の上がエンジンや日光などで暖められていてぽかぽかとしていれば、
猫も温かくて居心地が良いのだと思います。

車の持ち主にしても、仮に猫が好きな人だとしても、
大切にしている車を汚されたり、傷を付けられてしまったりすれば、
不愉快に思う気持ちを抱くのも当然だと思います。

そもそものトラブルになぜなったかと言うところを考えれば、

猫を屋外に自由に出歩かせてしまったから

ということがまずあります。

猫は自由に歩いていれば、当然一番居心地の良いところで休む事を選びますので、
車の上が居心地が良いと感じてしまえば、
車の上で好んで寝そべるようになってしまう可能性も十分あります。

となると、根本的な解決の提案としては、
「猫を外に出さないようにしてはいかがですか」
ということになります。

ただ、口で言うのは簡単ですが、
飼い主さんはそれをできないからこそ相談をして来ているのではあります。

「家の中だけで飼った方が良いですよ」
と言った時に、
「そんな事言っても勝手に出て行ってしまうんです」
という答えが返って来た事は数知れずです。

最初から外に出さずに家の中だけで飼っていれば、
"外に行きたがりもしない"、"外に連れて行かれるのをむしろ嫌がる"、
という猫になる可能性が高いですが、
一旦外に行く楽しみというのを覚えてしまうと、
自分でドアを開けて出て行ってしまうということになってしまいがちです。

車に飛び乗った時に爪が当たるとか、
車で爪研ぎをしている(!)とか言うのであれば、
爪抜きの手術(積極的に勧めはしないですが最終手段です)をして、
爪が当たらないようにさせるという方法もあります。

ただそれでも車に飛び乗れば足跡はついてしまいますので、
苦情の軽減にはなっても、根本的な解決にはなりません。

それ以外には行動療法として「乗りたがらないように学習させる」
という方法も考えられます。

猫がテーブルに乗るのを防止するためには、
テーブルの端にガムテープを逆さまにしたものでブロックをしておいたり、
乗った刹那に水鉄砲や酢の霧吹き、音や光の刺激などで"こらしめる"という方法があります。

でも、ターゲットが車となると、ガムテープを使うわけにもいきませんし、
水鉄砲や霧吹き、音や光刺激というのも難しいかと思います。

金に糸目を使わないのであれば、
立派なガレージを寄贈するとか、
車のカラーリングを黒っぽいものから白っぽいものに変えてもらう
(日光でぽかぽかしないようにと足跡が目立たないように)
という方法もないではないですが、どうにも現実的ではありません。

というわけで、良いアイデアと言うのは思いつかないのですが、
最終的には車の持ち主さんと話をしながら、
折り合いを付けてもらうしかないと思います。

猫が原因で近所の仲が悪くなるのもよろしくないですし、
できれば猫を手放す事にもなって欲しくないです。

近所とのトラブルを考えても、猫の飼育においては、

「猫は室内だけで飼う」

ということの方が、やはり良いのだと思います。
トラブルになってから悩むよりも、
トラブルを引き起こさない様な飼い方を最初からした方が、
人間も猫も幸せでいられるのだと思います。

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世の中には、
「食べ過ぎて困ってるんです」
と、飼っている動物が肥満気味になる事で悩んでいる飼い主さんもいるようですが、
その一方で、たまに、
「食べてくれなくて困っているんです」
という飼い主さんもたまにいます。

病気だから食べないんじゃないかと心配して検査をしてみても、
血液検査でも健康診断でも何も引っかかっていない場合、
この子は食が細い子なんですねという話になることがあります。

食に対してのどん欲さが低い子では、なかなか食べつきが悪く、
カリカリのフードをそのままでは見向きもしてくれなくて困ることがあるようです。

なかなか食が細いのに困っている飼い主さんの中には、
ぱくぱくと食べてくれないのに困り果て、しょうがないからと、
今日はペディグリーチャムを混ぜ、
今日はハムとマッシュポテトのサラダを混ぜ、
また今日はカニカマボコを混ぜ、
と毎日手を替え品を替え、食べてくれる方法を試している人もいます。

いろいろ混ぜればそれなりに食べてくれるという事なのですが、
犬というものは困ったもので、
舌が肥えて来るとおいしいものが入っていないと食べてくれないようになり、
ますます飼い主さんが今日は何を混ぜようかと頭を悩ませているようになってしまうようです。

ある子では、当初、
「犬なんて、少々おいしくなくてもお腹が減れば仕方なしに食べますから」
なんて言っていたら(猫では死ぬまで我慢する子もいます)、
ぷいと食餌を無視しつづけてしまい、
ゴハンを食べないまま徐々に痩せて来て、
飼い主さんが根負けをして、
「このままじゃ死んじゃうので、何とか食べさせます」
と言ってしまい、いろいろと混ぜ物をするようになってしまいました。

それからは食餌を工夫しながらとっかえひっかえしているようですが、
同じメニューだとそっぽを向かれるという事で、
毎日何を混ぜようかと頭をひねっているとの事です。

基本ドライフードで、そこに混ぜ物をしているということであれば、
そこまで栄養バランスが崩れているわけではなさそうですが、
偏食が進むと中には、ビーフジャーキーしか食べない犬とか、
ササミしか食べない犬、なんてことになってしまいかねませんので、
そうなってしまわないように気をつけて欲しいところです。

それにしても、犬だったら喜んでご飯を食べてくれそうなものですが、
中には食に興味が少ない子とか、
おいしくないと食べてくれない子と言うのも中にはいるみたいですね。

病気かというと、そうでもなくただ食が細いみたいなので、
獣医師も飼い主さんもどうしたものかと悩んでしまうところです。

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動物病院にはいろんな動物が来て、時には苦労する事もあるのですが、
中でも、怖がりさんの動物のときは、なかなかに苦労させられる事があります。

犬の場合は、怖がりさんは最初から怖がる事が多いですが、
最初のワクチンをうつ時点で、
これは怖がりになりそうだな、と感じる事があります。

人間に対して恐怖心のない犬であれば、
こちらが触ろうとした時に、怖がる様なそぶりは見せず、
触られる時にこちらに鼻を寄せて来たり、
フレンドリーな様子を見せてくれます。

それが、さわろうとすると、引きつった様な表情になったり、
耳を下げて歯を向いたりすると、将来怖がりにならないか、
とても心配になります。

特に柴系の子犬でちらほら見るのですが、
小さいときから怖そうなそぶりを見せる犬は、
やっぱり大きくなっても怖がりさんになってしまうことが多いようです。

病院に連れてこられるたびに、注射をされたり、
嫌な思いをすると、病院の事が余計嫌いになってしまい、
怖がりが悪化してしまう可能性があります。

怖がりを治すには、怖くない思いをさせて、
状況にならして行くしかありません。

怖がりになりそうな場合は、ちょこちょこ病院に連れて来て、
獣医師になでてもらったり、クッキーをもらったりすると良いでしょう。

むしろ何もないときこそ、病院に連れて来て、
病院で楽しい思い、いい経験をすると、
病院というのは怖い所ではなく、来ると良い事がある楽しい所だ、
と感じてくれれば、病院を怖がらなくなってくれるかもしれません。

いったん、病院が嫌いになってしまい、
触られるのが大嫌いになってしまうと、
何かあった時に触る事が大変になってしまいますので、
怖がりさんになりそうな子犬の場合は、
早いうちから慣れてくれて、怖がりが和らいでくれるようご注意ください。

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