どうぶつ病院診療日記

動物病院の診察風景や、獣医師が日頃思っていることなど

してはいけない!

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獣医さんから見た、してはいけないことについてです
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傷の修復のために一番大切な事は、
「傷を乾燥させず、できるだけ不必要な消毒を避ける」
ということです。

湿潤環境に置き、良い組織が増えてくれれば、
それだけ早く、きれいに治ってくれます。

また、頻繁に消毒などしなくても、
きれいな肉芽というのは細菌感染に強い性質を持っていますので、
化膿などをしていない限り、消毒薬を頻用する必要はありません。

ところが、世の中には、現代の医学的知識をまるきり無視した、
傷の修復のために害でしかない商品が、
市場に堂々と出回っていたりします。

医師や獣医師の中で、もうずいぶん以前から問題視されているのが、
「キズドライ」という商品です。

この商品のコンセプトは、
「傷を乾燥させ、消毒剤をしっかりと傷口に浸透させる」
というものです。

大事な事なのでもう一度言いますが、
傷をしっかりと、早く治すためには、
乾燥を避け、消毒剤をむやみに使わない
ことが大切です。

傷を乾燥させてしまうと、
上皮細胞が周囲から侵入して来るのを阻止してしまいますし、
不必要な消毒剤を用い続けると、
せっかく入って来てくれた若い上皮細胞を、一緒に殺してしまいます。

そのため、キズドライの効能のコンセプトは、
傷を治すためには、まるきり間違っているということになります。

傷を乾燥させて、消毒剤を作用させ続けるという事には、

「傷の治りを悪くさせる」

という効果しかありません。
傷をきれいに早く治したい人は、キズドライを使うべきではありません。

キズドライは、傷に上皮細胞が侵入して、
きれいに治ろうとするのを阻害する商品です。

キズドライさえ使わなければきれいに治っていたのに、
間違って使ってしまってしまったために、
結合組織で傷口が埋められてしまい、
いびつな傷口になって治ってしまった、
となる可能性があります。

以前からけっこう有名な話ではあるのですが
(「キズドライ」でgoogle検索すると、「有害商品・キズドライ」
 というページが一番目に来たりします)、
中には知らない人もいるようです。

人間にも、動物にも、間違ってもキズドライを使ったりしないよう、
みなさまご注意ください。

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牛のヒヅメの話

犬に与えていけないもの、というのは結構あるのですが、
その中で、与えるべきではないのに、
ごく普通に店で売っている事がある、というものもあったりします。

特に、しばしば健康的に問題になり、それでもよく売っていることがあるもの、
というのが、「牛のヒヅメ」です。

牛のヒヅメは、けっこう普通に売っていることがよくあり、
その使用目的は、「噛ませて遊ばせる」ことです。
ですが、獣医師から言うと、牛のひづめを犬に与えると、
事故につながる事がしばしばありますので、
牛のヒヅメは、犬には与えるべきではないと思います。

なぜだめかと言えば、「硬すぎて歯が割れる」からです。
噛ませて遊ばせるものは、硬いゴムなど、
適度な弾力があった方が良いのですが、
ヒヅメは弾力が無く、硬すぎるために、しばしば歯が割れてしまいます。

特に多いのが、奥歯でガジガジ噛んでいる時に、
奥歯がパキンと斜め向きに欠けてしまい、歯随が見えてしまうという事故です。

特に、コーギーでよく起こると言われており、
僕の病院でも、過去に歯が割れた子がいました
(歯科の得意な病院に紹介して治療してもらいました)。

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噛ませて遊ばせるのであれば、犬用ガムやゴムのおもちゃ(コングなど)のような、
噛ませても問題のないおもちゃを与えるべきですが、
ヒヅメは、困った事に、ごく普通に、
「犬用おもちゃ」として売っているようです。

なぜそんな問題のあるものが普通に売っているかと言えば、
「買う人がいるから」です。
犬にとっていいものだから売っているわけではありません。

もちろん、みんながみんな歯が割れるわけではないですが、
いつ歯が欠けてもおかしくない様なものを、
「噛ませるおもちゃ」として売るのは、
社会的責任から言うと褒められたものではない事だと思います。

牛のヒヅメは、犬には与えてはいけないし、
犬用として売ってもいけないものだと思います。

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硬い綿棒は良くない

病院をやっていると、普段のケアのことを相談される事もよくあります。
その中でも多いのが、
「耳掃除はどんな風にすれば良いですか。」
という質問です。

なにやら、本によれば、
「コットンで耳の中を拭き取りなさい」
とか、
「綿棒で、耳の中をごしごしこすりなさい」
とか、書いてある事は本によって様々のようです。

中には、獣医師から見ると、
びっくりする様な事が書いてある事もしばしばです。

耳のケアはよく尋ねられるところではありますが、
一般的な答えとしては、
「汚れがなかったら、とくにいじらなくてよい」
ということになります。

人間であれば、耳垢が耳の中に溜まってきますので、
それを取る「耳掃除」をよくします。
でも、犬猫では、基本的に耳道がピンクで、汚れが出ていなければ、
触る必要はありません。

飼い主さんは、どういう風に耳をケアすればいいか、
と考えるようですが、実際には、耳を触りすぎる事によって、
耳道を傷つけ、二次的に外耳炎にしてしまっている事の方が多いです。

中でも良くないのは、硬い人間用の綿棒を用いて、
ごしごししてしまうことです。

耳の中の皮膚は、とてもデリケートで、
触られると、正常構造がダメージを受けます。
おまけに、人間の耳と異なり、
犬猫の耳は、横の耳道(水平耳道)に加え、
縦向きの耳道(垂直耳道)があります。

硬い綿棒を入れてごしごしすると、
垂直耳道と水平耳道の間ばかりがこすられて、そこがダメージを受けます。
したがって、硬い綿棒は、犬猫の耳掃除には使ってはいけません。
動物病院で硬い綿棒を耳の中に入れる時は、
耳の汚れを顕微鏡で見るために、検体を採取して来る時だけです。

犬猫の耳の中に黒っぽい汚れが出て、臭う時は、
通常外耳炎を起こしている時です。

外耳炎の状態になっていれば、耳は洗浄して、汚れを洗い流し、
抗生剤の点耳薬を入れる必要があります。

耳を洗浄した時、綿棒を入れて、汚れを拭い取りますが、
その時の綿棒は、芯に綿花を巻いて、先っぽをふわふわにさせた綿棒です。

硬い綿棒でごしごしと汚れをこすり取るという事は、
獣医療においては、"してはいけない"事です。
耳道の上にいる菌は、ごしごししたところでは取れず、
耳道は傷つき、よけい炎症がひどくなってしまいます。

"こすり取る"のではなく、"洗浄する"のが、
耳の汚れがある時のするべき処置です。

動物病院に、外耳炎の症例が来た時は、
耳の洗浄用液体で洗い、汚れを洗い出し、
最後に綿棒で汚れと残った液体を拭い取る、というのが基本です。

「拭いても拭いても、黒い汚れが出て来るんです。」
と飼い主さんから言われる事もありますが、
それはすでに外耳炎となっており、
病院で治療をする必要のある状態です。

その状態でごしごしとこすりまくれば、
よけいに炎症は悪化して、悪影響となるだけです。

そうでなく、汚れもなく、ピンク色できれいな場合は、
とくに触る必要もない状態です。

奥がきれいで、手前だけ茶色いのがついている、というくらいであれば、
コットンで軽く拭い取ってもいいと思いますが、
家では、耳の中は、極力触らない方がいいと思います。

気になる場合は、早めに病院に相談、
というのが、病気が悪くならないようにするための基本です。

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