どうぶつ病院診療日記

動物病院の診察風景や、獣医師が日頃思っていることなど

未払い問題

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動物病院でも多いんです。
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日曜にJ-CASTやヤフーニュースに載って以来、
あちこちで踏み倒しの記事の内容が話題となっているようです。

僕のブログに訪れてくれる人が増えるのは純粋にうれしいのですが、
「踏み倒しの事をブログで書いている獣医師」
と認識されそうな気もして、なんとも複雑な面もあります。

以前から来ていただいている人はご存知だと思いますが、
このブログで目指しているのは、
「獣医師と飼い主さんの喜びや悲しみを、文章で伝える事」
です。

いろいろと、書きたい事を書いている中で、
未払い問題というのはその一部のものです。

このブログで伝えたい事のメインではありませんので、
未払い問題が主だと思われてしまうと、
ちょっと困ってしまうところです。

ところで、先日、テレビ局の人から電話が問い合わせがかかって来て、
未払い問題の実際の症例の話や対処法、
周りの先生の話などをお話ししました。

テレビ局でもJ-CASTを見たようで、
そのうちもしかしたら番組で取り上げるかもしれないと言っていました。

番組的には、
「最近モラルの低い人が増えて来て、
 動物病院でもその例に漏れず、困っている」
という流れにしたいのかもしれませんが、
実際には、動物病院の未払い問題は、
大昔からあるもので、とくに今始まったというものではありません。

また、僕の病院では、最近増えているかと言うとそんなこともなく、
開業当初と比べて、むしろ最近はずいぶん減って来ています。

その理由はと言えば、時間外の留守電やクレジットカードの導入など、
未払いを発生させないように工夫をした
http://blogs.yahoo.co.jp/ponpoko6691535/17359073.html)、
ということ以外に、開業してある程度日にちがたって、
以前よりも患者さんが、"こなれて来た"、という事があると思います。

動物病院にとって、未払い問題というのは、
新規開業した病院がどこでも体験する、
ひとつの"試練"のようなものとして知られています。

その理由のひとつには、新しい病院がオープンすると、
周りの病院で未払いを作っていて、
そちらに行きにくいという状態の人が次から次へと順々にやって来る、
ということがあるようです。

また、新規開業のときは、
かかって来た電話にはすべて対応しようとする傾向がありますので、
時間外であろうが新患さんだろうがすべて来てもらい、
結果、踏み倒しをする人までたくさん来てしまう、
という面があるようです。

先日書いていた通り(http://blogs.yahoo.co.jp/ponpoko6691535/17260306.html)、
時間外の新患さんで、固定電話を持っていない、
カードを持っていない、という条件が揃っていると、
かなりアヤシくなって来るのは確かです。

そのため、時間外になったら、一度留守電に入れてもらってこちらからかけ直す、
つけはしないようにしてカード支払いをしてもらう、などの対処をすれば、
未払いをするような人を、ある程度事前にブロックする事が可能です。

条件成立のポイントの中でも、
時間外の初診の人というのがかなり要注意なのは間違いありません。

なぜなら、理由のひとつは、時間外の初診の人と獣医師の間には、
「信頼関係」がまだまるきり出来上がっていないからです。

動物と飼い主さんとの間に、互いを信頼しあう心の絆があるように、
飼い主さんと獣医師の間にも、互いを信頼しあう「心の絆」というものがあります。

僕が獣医療において一番理想としている状態というのは、
飼い主さんの「なんとかして欲しい」という思いに、
獣医師が「なんとかしてあげたい」という思いを持って向かい、
互いに思いをまっすぐぶつけあって治療をして行く事だと思います。

思いに対して思いで返すという事は、

「心と心のキャッチボール」

を、飼い主さんと獣医師の間でするという事です。

飼い主さんにしても、獣医師や動物病院に対する信頼感、安心感を持ち、
そこに心の間の溝が無い状態であれば、
そうそう、
「金が惜しいから、診療費なんて踏み倒してとんずらしてやれ」
なんてことは、頭に浮かびはしないと思います。

また、獣医師の側からしても、
電話をかけて来たのが以前来た事のある患者さんであれば、
時間外の電話だったとしても、
踏み倒しの心配など、最初からしたりはしません。

留守電の履歴だけが残っている状態で、メッセージが入っていなかったとしても、
かかりつけの人であると確認できた時点で、
「留守電が入っていたようですが、何かありました?」
と、こちらから電話をかけるようにしています。

それは、仕事だから仕方なしにする、などというものではなく、
何かあったのか、心配になる気持ちが前に出て来て電話をするものです
(ただし、携帯からでメッセージの無い場合は電話をしない事が多いです)。

飼い主さんに対してある程度の信頼感を持っていて、
なんとかしてあげたいと思う気持ちが強ければ、
お金が足りなかったとしても、
「お金は後でも良いから、治療してあげましょう。」
と言っています。

互いに信頼関係があった場合には、
心を傾けても、それが裏切られておしまいになってしまうというような事は、
そうそうはありません。

踏み倒しをする人が、信頼関係などないから傷つけても構わないやと思うのか、
それとも、信頼関係を構築する事など考えてもいないのか、
それは分かりません。

ただ、獣医師が精一杯治療した時に、
そこに踏み倒しで返して来る人というのは、
飼い主さんと獣医師の「心と心のキャッチボール」を否定し、
獣医師が飼い主さんに対して良いボールを投げようとする気力を奪ってしまいます。

それは、結局、普通のまじめな飼い主さんに対して、
獣医師の対応を硬化させ、診察へのエネルギーを奪う事で、
迷惑をかけているのだと思います。
だからこそ、踏み倒しと言うことをするのは止めて欲しいと、そう願います。

※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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 この文章は、多くの人に読んでいただきたいですので、
 転載、リンクはフリーとさせていただきます。
この記事は、『踏み倒しのフラグが立つとき』の続きです。




時間外の対応をどうするか、ということは、
どこの動物病院でも頭を悩ませるところです。

というのも、時間外の診察というのは、
獣医師にとって、精神と体力をすり減らすのみならず、
踏み倒しやヘンな飼い主に会う可能性も高く、
トラブルに巻き込まれる可能性もあるからです。

かといって、まるきり診なければ診なかったで、
緊急を要する病気の時に、それを診なかったために命を落とす、
という可能性もありますので、
それは診てあげたいところです。

救える命は救ってあげたいのですが、
全てを診ようとすると、必ずトラブルに巻き込まれ、
自身のリスクが増える事になります。

また、獣医師の精神力と体力が下がれば、
普通に診察時間にやってくる、
一般の飼い主さんに対してのパフォーマンスが低下し、
結果的に他の飼い主さんに迷惑をかけてしまう可能性もあります。

どこで線引きをし、どこまですることにするのか、
どこからはしないことにするのかを決めるのは、
難しい問題ではありますが、一生の仕事としてして行く以上、
自分なりに決めておかなければいけない事です。

僕自身、開業したての頃は、夜中の2時だろうが3時だろうが、
出られる限り、全ての時間外電話に出ていました。
その結果、知った事は、

時間外に来る初診の患者は、あまりに踏み倒しが多い。

ということです。

あまりにも未払いなどのトラブルが多く、かつ、
時間外に診る必要すらない病気が多いので、
今は、全ての電話を取るということはしていません。

僕自身、今も悩みながらしているところではありますが、
参考までに、僕の病院の時間外の対応について述べます。

僕の病院の対応はシンプルです。
それは、
1.時間外になったら、留守電にする
2.留守電のメッセージに、カルテ番号、名前と用件を入れるよう告げる
3.用件が入っている電話に対して、こちらから改めてかけ直す
という方法にしています。

本当に用件があり、診察を依頼したい人は、
留守電にメッセージを入れます。

留守電にメッセージが入った事は、自宅からも分かりますので、
電話があった後、留守電を確認しています。

留守電にメッセージがある場合、
そちらに僕からかけ直しています。

一応、カルテ番号を入れてもらうように言っていますが、
初診で、番号がない場合でも、伝言が入っていれば、
かけ直し、必要があれば診察をするようにしています。

ここで重要な事は、
無言で切れた携帯電話には、けして電話はしない
ということです。

病院で踏み倒しが発生する場合、
一番多いのは、時間外の初診です。

用件も入れていない様な電話には出ない事にしだしてから、
僕も精神的に、ずいぶん楽になりました。

病院をしていて、感じるストレスの半分くらいは、
踏み倒しとその請求についてのものでしたが、
クレジットカードを導入し、時間外電話に直接出るのをやめてからは、
踏み倒しが発生する可能性がぐんと減りました。

本当に診察して欲しいまじめな人は用件を残しますので、
すぐにかけ直す事によって、
本当に困っている人には対応する事が出来ます。

先日も、「帝王切開して欲しい」というメッセージが入っていたので、
すぐ直後にかけ直し、その後手術をして、事なきをえる事が出来ました。

留守電にメッセージを入れる事は、ホームページの案内にも、
初診の手紙にも書くようにしています。

獣医師の精神力と体力は有限です。
それを誰に割り振るべきかと考えれば、
まじめな飼い主さんに対して割り振るべきだと考えています。

裏切られて、踏み倒しなどで返されると、
精神的なダメージは大きなものになります。
線引きをすると言うのも、苦渋の方法ではあるのですが、
今のところは、この方法が、一番無難かなと思っています。

いい方法をご存知の方は教えて下さい。

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動物病院をやっていると、
時折診療費を踏み倒されてしまうことがあります。

払うつもりだったけど払えなくなったのか、
最初から払うつもりがなかったのかは分からないところですが、
何も連絡なしに、音信不通になってしまう人間には、
心の底から怒りを感じるところです。

こちらが誠心誠意を尽くしても、
踏み倒しという仕打ちで返してこられると、
本当に腹が立ちます。

何度も踏み倒しにあっていると、
踏み倒しをしそうな人と対応していて、
"これはアヤシいな・・。"と感じる瞬間があります。

いくつか、怪しいポイントはあるのですが、
中でも怪しいのが、
1.時間外の初診
2.固定電話を持っていない
3.カードを持っていない
という人です。

つまり、一番怪しいのは、
時間外にやって来た初診の患者さんで、携帯電話しか持っておらず、
会計の時に料金を持っていないと言うので、
カードでも良いですよと言ったところ、
カードなんて持っていないと言う人です。

この3つがそろえば、踏み倒しのフラグは、
もうすでに立っている様なものです。

緊急の病気を除いて、病院に来るというとき、
通常の人は病院の診察時間に合わせてやって来ます。
それを、
「いつからおかしかったですか?」
と尋ねてみると、
「三日くらい前からおかしかったんだけど、
 様子が変わらないから、今見てくれ」
と時間外に言ってくる人と言うのは、
やはり首を傾げてしまう部分があります。

おかしいのが分かっているのなら、
様子を見ていずに、普通に早めに連れて来たら?と、
思ってしまいます。

普段、こちらの病院がかかりつけでないのに、
いきなり時間外にやってくる初診の人、という場合、さらに要注意です。

もちろん、純粋に、かかりつけのところに連絡をしたんだけど、
そちらが連絡つかなくて、と言う人もいますので、
そう言う場合は、まじめに対応させていただいています。

でも、普段からかかりつけ医を持たず、
犬なのに、フィラリアもワクチンも狂犬病もせず、
するべき事を何らしていない、と言う人は、
それだけで、倫理観の低い人、と言う事を意味していますので、
要注意です。

カルテを書いてもらう時に、連絡先のところに、
固定電話を書かず、携帯電話しか書かない人、というのも要注意です。
最近は、固定電話を持たず、携帯電話しか持っていない人、
というのもいるようですが、
携帯電話というのは、都合が悪くなれば、
すぐに電話変更をすることができます。

すると、こちらが料金の案内をしようと思っても、
電話番号を変更されてしまえば、それで音信不通になってしまいます。

固定電話がないと言う事は、それだけでこちらとしては、
信用が低くなってしまうことを意味しています。

未払いをする時になって、会計の時点で、
「お金は持って来てないよ。」
という人間は、さらに要注意です。

いくらかでも、申し訳ないと思っていたり、
支払う意思があるのであれば、
診察を受ける前の時点で、
「申し訳ありませんが、今日は急いで来たので、
 お金を持って来るのを忘れてしまいました。
 改めてお金を持ってこさせていただいてよろしいですか。」
と、断りを入れてしかるべきです。

それが、診察を終えて、会計となった時点で、
「実は持ってない。」
というなんて、良識を持った人間のする言動ではありません。

クレジットカードを持って来ていれば、
それで会計することができるのですが、
お金を持って来ていないと言う人は、なぜか、
クレジットカードを持っていないと言う人が多いです。

以前踏み倒した人も、BMWに乗っていて、
ルイヴィトンの財布を持っているのに、カードは持っていない、
と言って、結局3万円ほどの診療費を踏み倒して行きました。

踏み倒す人は、最初に話をしていて、
"なんだかおかしいな"と思う事も多いですが、
この人はまじめそうだ、と思って、
誠心誠意を尽くしたのに、それを裏切られて踏み倒される事もあります。

精神的なダメージから言えば、
向こうを信じて、それを裏切られた時の方が、
はじめからあやしそうな場合よりも大きなものになります。

信じて、裏切られる、というのが一番嫌な状況ですので、
僕としては、ここまではする、これ以上はしない、
という、線引きをして対応する事にしています。

一番裏切られる可能性の高いのは、
何と言っても、時間外にやってくる初診の人です。
どれだけ裏切られ、嫌な思いをさせられたかは数知れずです。

時間外の対応については、自分の良心と、
自分のダメージとを天秤にかけながら、
折り合いを付けていかなければいけないところです。
それについては、また次の記事で書こうと思います。

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動物病院にとっての理想は、
{{{
病気になってきた子が元気になって帰ってもらい、飼い主さんに喜んでもらう
}}}
ことです。

でも、現実には、いつもそう理想通りに行くわけではありません。
病気になったとき、きっちり治療したとしても、治すことのできない病気というものも、しばしばあります。
そんな時、飼い主さんの中には、期待に添わない結果が出た事への不満が感じられることもあるかもしれません。

治療して、予後が悪かった場合、治療費を払うの払わないのとトラブルになることもあります。
今回は、「望んだ結果にならなくても治療費は払わなくてはならないのか」ということをテーマに考えます。

例として、しばしば飼い主さんの落胆の元、そして未払いの元にもなる、「ネコの尿道閉塞」をあげてみます。

この病気は、前の日まで元気だったネコが、尿道に石が詰まることにより、
急な尿道の閉塞と、それに続く急性腎不全を起こす病気です。
飼い主さんは、急にネコがトイレにしょっちゅう行くようになったけど尿が出ていない、よく吐くといった症状に気づき、病院に来院してきます。

飼い主さんの中には、しばしば、おしっこが出なくなったくらいで動物が死ぬはずがないと考える方もいらっしゃいます。
しかし、この病気は、急死することも、永続するダメージが体に残ることもあり、また、一旦良くなってもまた再発することもよくある、やっかいな病気です。
 
この病気にかかったときの予後は、次の3つです。

{{{
1.後遺症状無く完治
}}}
これは、発症後すぐに病院に連れてきてもらったために、腎臓へのダメージが起こらなかったものです。
ネコは、病気になる前の元気な状態になります。
当然、この時にはトラブルにはなりません。

{{{
2.何とか助かったが、腎臓のダメージが残る
}}}
病気の発症からしばらくしてからの来院になると、腎臓がダメージを受けており、助かっても後遺症状が残ります。
完全に元通りではないため、トラブルの元になることもあります。

{{{
3.腎不全で死亡
}}}
発症後、かなりの時間が経ってから連れてくると、体は尿毒症の状態に陥っており、また腎臓も回復不能なダメージを受けています。
そのため、急性腎不全により死亡します。
治療しても死亡してしまうため、トラブルの元になることもあります。

1番と2番の助かった状態になっても、また尿道に石が詰まると再発します。
その時に早く来院しないと、ネコは尿道閉塞→腎不全で死亡します。
その時も、飼い主さんが“治ったはず”と考えている場合には、それと反する結果となるため、トラブルの元になることがあります。

{{{
この病気は、きちんと治療したからあとはもう大丈夫、というものではありません。
}}}
それが飼い主さんにきちんと理解してもらえない場合には、しばしばトラブルが起きます。

もちろん、手技的なミスがあったり、インフォームドコンセントの不足があったりという場合には、それは獣医師側の落ち度です。
その場合には、獣医師側に責められるべき点がありますが、
それがなかったとしても、飼い主さんが「動物が完全に元通りになる」ことを望んでいるが、それができない場合には、トラブルの元になることがあります。

ただ、尿道閉塞後の予後の最も大きな要因となるのは、実際には飼い主さん側の
{{{「いかに早く、病気を見つけ、連れてくるか」
}}}
という、発症後の経過時間です。
 
獣医師側がいかに精一杯治療して、最善を尽くしたとしても、
連れてくる時間が遅ければ、結果は、後遺症状が残ったり、
死亡したりということになります。
治療後に治って、家に帰っても、再発してまた放置されれば、
そのまま死亡します。

僕は、飼い主さんが、動物を悪化させてから連れてきたとしても、
「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ」とか、
「あなたのせいでこんなに悪くなったんだ」といったようなことは、
一切言わないようにしています。

なぜなら、飼い主さんは、動物を連れてきた時点で、
動物が弱ったことにショックを受けていたり、
自分自身を責めていたりという可能性があるからです。
それを獣医師側が、さらに追いつめるようなことを言うのは、
してはいけないことだと思っています。

ただ、中には、自分が動物を放置しておいてそこまで悪化させたのに、
それを棚に上げて、「動物を元通りにするのは、獣医の仕事だろう」と言い、
完全に元通りにするよう要求する人もいます。

自分が責任を感じなければいけない部分も多々あるのに、
悪かったことを全て獣医師のせいにして、
自分に非はないと考えようとする人もいます。

尿道閉塞に限らず、病気の中には、治すことのできない病気というものも、
残念ながら少なからずあります。
悪性腫瘍や、不治のウイルス、臓器の不可逆的な機能喪失などは、
実際に、しばしば治癒困難です。

獣医師の使命は、病気になった動物を治療し、
飼い主さんに喜んでもらい、社会に貢献することです。

もしかしたら飼い主さんも、多くの人が、
「動物病院に連れて行けば、何とかしてもらえる」と
考えていらっしゃるかも知れません。
 
しかし、獣医師は神様ではなく、ひとりの人間に過ぎません。
獣医師にできることは、悪い原因になっているところを取り除き、
動物が回復することを手助けすることだけです。
 
魔法のように、死んでしまった組織を蘇らせたり、
腫瘍細胞を元に戻したり、時間をまき戻したりすることはできません。
時間が経って、悪化させてから連れてこられても、元通りにはできないこともあります。

動物を元通りにすることを望み、それが獣医師の義務だと考えている人との間には、
しばしば、「なぜ元通りにならなかったのに、お金を払わなければならないのだ」というトラブルが起こるかもしれません。

でも、レストランで食事をすれば対価を払うのが義務であるように、
動物病院においても、治療行為を受けたときには、
治療費を払うことは、「義務」です。
それは、社会における、経済活動上のルールです。

仮に、治療費が治療して完治したときのみ支払われるべきであったとします。
ということは、元通りに回復したときには治療費は払われ、予後が悪かったり、
動物が死んでしまったときには、治療費が支払われないということです。

そのことを、先ほどの尿道閉塞の例に照らして考えてみると、
「完治したときのみ治療費を払う」という理屈がおかしいことが分かります。

なぜなら、尿道閉塞という病気において、良くなるのは早く飼い主さんが連れてきたときのみであり、
予後不良となるのは、飼い主さんが連れて来るのが遅れたときだからです。

動物の異常を早く見つけ、早く病院に連れてきたときには、
高い確率で予後が良くなります。しかも、治癒するまでの日数も短くなります。
しかし、飼い主さんが動物を連れてくるのが遅れた場合は、
高い確率で予後が悪くなり、しかも治療日数も長引きます。
要するに、治療費が高くなるということです。

{{{
「完治したときのみ治療費を払う」のであれば、
悪化してからつれてこられた場合には、治療が大変になり、
手間も日にちもかかり、それでいてお金も払ってもらえないことになります。
}}}
 
それは正しいことでしょうか?

動物病院の経営には、お金がかかります。
獣医師が病院を建てることができたのは、宝くじが当たったからでも、
資産家の跡取りだったからでもありません。

=== 「借金をしたから」 ===
です。
 
獣医師は、莫大な借金の返済をしつつ、病院のさらなる充実のために、
新しい機材や設備の導入、本の購入などをしていかなければなりません。
 
そのお金をどこから捻出するかと言えば、それは飼い主さんからの治療費による収入以外にはあり得ないのです。

尿道閉塞の治療をしたとして、その治療においては、
麻酔や麻酔モニタを使って麻酔をし、尿道に入れるチューブを用いて尿の導入を行い、
点滴器を使って点滴をします。
犬舎のケージや集中治療室を使って入院をすることもあると思います。
 
そういう機材がどうやって導入されたのか。
それは、獣医師が借金をして導入した機材なのであり、施設なのです。
 
そういう機材なり、施設を使用して治療行為が行われた以上は、治療費をいただかなくてはなりません。
治療費をいただかなくては、病院を存続させていくことができないのです。

もしかしたら、動物病院というのは、高いお金をとって、獣医師はいい暮らしをしていると考えている人もいるのかも知れません。
たしかに、借金が無くて、新しい設備投資をするつもりがないのなら、それも可能かも知れません。
 
でも、実際には、新しい設備投資、物品購入の繰り返しで、借金がなくなるのは気が遠くなるほど先の話です。
手術の器具は何万円というのが普通であり、本は1冊1〜5万円です。
麻酔モニタや超音波、内視鏡といった機械類は、何百万円もするのが普通です。

自慢じゃないですが、開業してからというもの、2年連続で院長の年間収入はゼロ円です。
それは、院長の取り分になる分はすべて病院の方に回しているため、僕の給料がゼロだからです。

病院の経営と成長は、飼い主さんからの治療費を源とします。
そのことを獣医側は忘れずに、また飼い主さんに還元されるよう、
より良い病院になることを目指していかなければならないと思います。
そして、飼い主さんには、誤解しないよう、ご理解いただきたいと思います。

 獣医師は言うまでもなく動物を治療する職業です。
 「病気で困っている動物と飼い主さんに手助けをしてあげて、良くなってもらい、喜んでもらう」、それは獣医師にとっての理想の姿です。

 しかし、他人の経営する動物病院で給料をもらいながら生活している勤務医とは違い、自分が経営者となって病院を持つ院長はそれだけではいけません。

 動物病院の院長にとって、誰しも頭の痛い問題が「治療費の未払い問題」です。ほとんどの人は治療をして明細を出し、「これだけの処置をしたのでいくらになります」と言うと、その場で会計をしてくれます。
 しかし、中には治療費が滞り気味になる人もいます。

 「少しくらい払わない人がいてもいいじゃないか」と思うかも知れません。でも、そんな簡単に済ませられるものではありません。病院にとって、患者さんにとっての「未払い金」の意味を考えてみます。

 動物病院を開業する時点で、獣医師は銀行などに数千万円〜何億という莫大な借金をします。毎月その返済や薬の納入代、機械のリース代という必要経費に何十万円という金額が必要です。病院は開業する時だけでなく、運営をしていく限り多額の経費がかかるのです。
 スタッフがいる場合にはそのスタッフが生活していけるように人件費も必要です。動物病院は、単に治療をする場というだけではなく、職場としての社会的意味も持つからです。
 また、院長も獣医師であると同時に普通の人間であり、妻子もいれば自分の家族を養っていかなければいけません。

 金持ちのボンボンが道楽で病院を開いているわけではありません。診療をしてその報酬として得た金額の中から、全ての出費をまかなわなければならないのです。

 自分がサービスを受けた場合に、それに対して対価を支払うというのは社会で生きる上での守らなければならないルールです。
 動物病院で治療を受けた場合に、その治療費を払うというのもそれと同じ事です。

 治療費というのは、商品を購入するのと異なり、直接目に見えるものではありません。
 「獣医さんはやさしい」というイメージから、「払わなくても許してくれるだろう」と考えてしまうのかも知れません。

 しかし、サービスに対しての対価ということから言えば、「テレビを買って、その代金を支払わない」ことが泥棒行為であるのと同様に、「診療行為を受けて、治療費を支払わない」ことも社会のルールに反していることなのです。

 動物病院は、診療行為に対しての治療費を受け取ることで経営を成り立たせています。経費をまかなうための費用がいただけないならば、たちまち経営が成り立たなくなります。

 また、病院は経費さえまかなえればそれで良しというものではありません。
 利益が出たとしても、新しい機材や手術器具、人員の充実など、さらなる病院の発展のための投資をし続けなければなりません。

 正当な治療費をいただけないということは、病院の将来の発展を妨げられるということをも意味しています。それはすなわち、病院の発展によってより一層の恩恵を受けられるはずであった、他の飼い主さんに対しても不利益を与えるということです。
 病院はより良い診療を目指して発展していくことが至上命題です。未払い金の発生はその妨げとなるのです。

 法律的には「金銭の滞納を理由として治療を拒絶してはならない」と明記されています。一方で、「治療しなくてはならないが、受益者は診療に対しての報酬を支払わなくてはならない」とされています。平たくいえば、きちんと診療して、ちきんと治療費をもらえということです。

 僕も、お金を払わないからといって治療を拒否したりはしません。また、滞納があったからといって、それで差別したりもしません。
 僕は「何とかして欲しいという気持ちに、何とかしてあげたいという気持ちで答えたい」という獣医師でありたいと考えています。
 病院に来る人は何らかの問題を抱え、困って来ています。それに対してどう答えるかは獣医師の人間性の問題だと思います。

 診察を受け、治療費を払うことにおいてもまた、飼い主さんの良識と人間性が大きく関わってきます。
 僕は獣医師として、きちんと治療します。一方で飼い主さんには良識を持って対応してもらいたい、そう願うのです。

 中には未払い金がかさんでくると、まったく連絡が取れなくなったり、電話や郵送をまるきり無視するようになる人もいます。
 病院の経営者として見過ごせないのと同時に、人間として率直に腹が立ちます。
 治療費を踏み倒して平気な人は、何よりも自分自身の良心と人間性を踏みにじっているのです。その事にまず気づいて欲しいと思います。

 病院にとっては未払い金の回収は死活問題です。ただ、未払い金を回収する上で、動物病院はひとつのジレンマに陥ります。それは、
1.獣医師はやさしいと感じられなければならない。
2.一方で、甘くするわけにはいかない。
 ということです。催促すると悪口を言われないかという心配もあります。

 しかし、やさしいのと甘いのとは別問題です。飼い主さんのことを思い、動物のことを思って診療することと、未払い金を見過ごすことはまるきり別の次元の問題です。

 できるなら、そんな問題とはまるきり無縁に診察のことだけを考えていたい、心からそう思います。
 しかし、未払い問題を放置することは結局病院にとって大きな不利益になります。病院の経営に責任を負うものとして、それを見過ごすことはできません。

 月賦払いになったとしても支払うと言っている人に対しては、僕は誠意を持って対応させていただきます。
 しかし、電話にも出ず、手紙や内容証明郵便をも無視し続ける方に対しては、裁判所からの支払い督促まで使用させていただきます。僕だってそんなことに労力を奪われるのは嫌ですが、誠意が見られない人に対してはそうするしかないからです。

 動物を飼う以上はお金がかかります。毎日の食事はもとより、ワクチンや避妊・去勢、フィラリア予防など、病気にならなくてもお金はかかります。
 病気になってしまったら、飼い主さんの責任として治療を受けさせなければなりません。「自分の動物だからどうしようと勝手」ではありません。
 自分の選択として動物を飼育し始めたのなら、最後まで面倒を見る責任があります。

 会社により補償比率は異なりますが、今は治療費の相当額を補償してくれるペット保険があります。
 将来的には、ペットを飼う以上は保険に入っているのが当たり前という社会になっていって欲しいと願います。
 保険に入っていれば、病気になったとしても飼い主さんも診察を受けやすいですし、獣医師も飼い主さんの金銭事情まで心配せずに診療をしやすくなるからです。
 金銭的な理由で治療が拒まれるとしたら、一番不利益を受けるのは治療を受ける動物本人です。

 未払い金は頭の痛い問題です。しかし、うやむやで済ますことのできない問題です。
 獣医師にとっても飼い主さんにとっても大切なのはまず、社会人としての良識と人間性である、そう思います。

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