どうぶつ病院診療日記

動物病院の診察風景や、獣医師が日頃思っていることなど

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日本の薬事承認は遅い

先日クローズアップ現代で、
「日本のワクチンは20年遅れている」というものを放送していました。

外国ではずいぶん以前から認められているワクチンや、
無料で受けられるようになっているワクチンが、
日本では認められていなかったり、高額な費用がかかってしまうため、
予防できるはずの病気にかかって病気になってしまう子供が続いているという事で、
日本のワクチンが遅れているということでした。

中には、外国では新しい副作用の少ないワクチンが承認されているのに、
日本ではまだそれが認められていないため従来型のワクチンしかうてず、
それによって副作用が起こってしまったという例もあるようです。

承認にギャップの起こる理由のひとつには、日本の審査が厳しくかつ遅く、
外国で用いられている薬剤が日本ではさっぱり承認されず、
国内では使う事が出来なくなっているということがあるようです。

医療でも国内外との間にギャップがあるようですが、
動物医療においても、日本の薬事の承認が遅いという状況はしばしば目にします。

フェレットのワクチンも日本にはないのですが、
鎮静剤のアセプロマジンや吐き気止めのマロピタントなど、
教科書や獣医学雑誌に載っているのに日本では発売されていない、
という薬はごろごろあります。

アセプロマジンなどは特に、安全性も高く、
鎮静効果も高く、使い勝手も高いのですが、
なぜか日本ではずっと未承認で発売されていないため、
欲しい人は外国から個人輸入して購入しなければいけません(もちろん合法です)。

ただし、ワクチンなどは一般の薬剤と異なる「生物学的製剤」に相当しますので、
輸入は出来ません(密輸入となってしまいます)。

アセプロマジンのように、多くの獣医師が使っているものが長年日本で発売されない理由はさっぱり理解できないのですが、
製薬会社の利害とか、治験を行ってまでペイできるかということが関係しているのかもしれません。

ここまで長年承認もされないところをみると、
もはや承認して国内で販売へと向かう意思も意欲もないのだろうかと思っています。

フェレットのワクチンなども日本ではさっぱり承認されてこないので、
やむなく犬用のワクチンをジステンパー予防のために流用しているという事は、
フェレット飼いの人であればご存知だと思います。

セミナーなどで外国の先生がやってきて講義を行う事もあるのですが、
そんな時に外国で使われている薬が第一選択薬として出て来たりすると、
「その薬は日本ではまだ発売されていないんだよなぁ」
と、そこかしこからため息が聞こえて来そうです。

外国で第一選択として使われているような薬が、
なぜそんなに承認されないのかと言うのは不思議ではあるのですが、
だらだら時間がかかって利益を損なわれるのは、
患者側と医療者側のすべてですので、
いい薬は早く日本国内でも使えるようにして、
「外国なら治療できるのに、日本だからどうにもならない」
なんて事が起こらないようにして欲しいものだと願います。

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耐性菌、あらわる

今、人間の医療の方では、抗生物質の耐性菌が出現して、
大騒ぎになっているようです。

細菌は、自分自身の遺伝子以外に、
「プラスミド」というおまけ遺伝子を持つ事によって、
抗生物質への耐性をやり取りする事が出来ます。

このプラスミドは、同種菌同士以外にも、
なんと異種菌同士でもやり取りしあう事が出来るものです。

身近なことを例に取って言えば、
「今度のテスト、ここの問題が出るらしいよ」
という情報が、知らない間に隣りのクラスにまで出回って、
先生の知らないうちにテスト対策がされてしまっているようなものです。

今話題になっているNDM-1というのは、
細菌の種類ではなく、抗生物質に耐性を持つ遺伝子です。

今見つかったのは、NDM-1遺伝子を持った大腸菌だそうですが、
この遺伝子が他の菌に取り込まれる事によって、
別の多剤耐性×××菌が作られるわけで、
医療者にとってはとてもやっかいです。

獣医学領域でも、感染があるときに、
それを培養に出すと、「MRSA」など、
抗生物質耐性の菌という答えで返って来る事があります。

どういうことか尋ねてみると、どうやら、
動物に抗生物質を投与しすぎたから、
その個体で耐性菌が出現したという事ではなく、
家族や周りの人間が、MRSAを持ち帰って来ていて、
それがたまたま動物にうつったということではないか、
ということだそうです。

となると、いずれはNDM-1遺伝子も人ごとではなく、
獣医学領域でも重要なトピックスになって来るかもしれません
(その頃は人間の方でよほど大騒ぎでしょうけれども)。

ところで、よくテレビで、
「菌が抗生物質に対抗するために、
 生き延びようとして、新しい能力を手に入れはじめた」
的な言い方をされる事がありますが、半分は間違いです。

なぜなら、進化は意思によるものではなく、
結果論であるからです。

菌が抗生物質への耐性を手に入れて来ているのは、

人間が抗生物質を使用しているからです。


菌も、同じ仲間の間でも少しずつ多様性を持っているのですが、
抗生物質を使って、
「殺せる菌を殺す」
ということを繰り返している間に、
「殺せない菌が生き残る」
という結果に繋がります。

すると、空いた生活空間を埋めるため、
抗生物質に耐性を持っている菌が増えて来る事になります。

・生き残れるものが生き残る
・増える事が出来るものが増える

という、生物にとっての原則に、
菌も則っているだけです。

耐性菌を生み出し、選別させて増やしているのは人間です。

けして、
「抗生物質に耐える力を持とう!」
とか、
「殺されてたまるかよ!」
なんてことを菌が考え、意志を持っているわけではありません。

進化において、生物に生存戦略なんてものはないのです。


両生類は、陸に上がれるようになったから陸に上がったのであり、
鳥は、空を飛べるようになったから飛んだのです。

抗生物質耐性菌を鎮めようと思ったら答えは簡単で、

「抗生物質を使わない」

ようにすればいいだけです。

耐性菌が増えているのは、抗生物質と言う外圧がかかっているからです。
耐性菌を持っている菌のアドバンテージは消失し、
耐性を持たない菌の増殖の中で埋もれて行って、
相対的な数を減らして行く事になります
(耐性菌は余計なおまけ部分も作らないといけないので、
 増殖スピードは非耐性菌よりも少し遅いそうです)。

とはいうものの、かといって感染症の人に抗生剤をやめる選択肢も取れないわけで、
そこらへんが医療者のジレンマなのだと思います
(それができないから、新薬開発の方向を目指すしかないのですが)。

そうなると、
「抗生物質に頼らず、体の持つ免疫力を引き出す」
的な治療法が登場して来るのだと思いますが、
中には眉唾な民間療法もあるでしょうから、
それはそれで気をつけなければいけないですね。

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薬をどういう風に処方するか、というのは病院によりそれぞれだと思いますが、
僕の病院では、錠剤を割って分包して出すか、
粉を分包して出す、という事が多いです。

僕は僕が代診をして来た病院のやり方を見ながら、
「こういうもんだ」
と思いつつしているのですが、
他の病院で出された薬を飼い主さんから見せてもらったりすると、
やり方もいろいろなんだなと感じさせられる事もしばしばです。

僕は薬は極力、飼い主さんに分かりやすく出す事を旨としており、
そのため、分包した上で、
「一回分はこれだけです」
と出すようにしているのですが、
病院によっては、錠剤をそのままボトルにいれて出し、
「家で1/4に割って下さい。」
と、どんと渡すところもあるようです。

分包しなければ分包代もかかりませんので、
その分はメリット、デメリットなのですが、
薬を家で割ってね、というのは、
どの飼い主さんも簡単にできるのかなと、
心配になるところではあります。

僕の病院では錠剤カッターとクラフトばさみを使って
割っているのですが、それでもけっこう割るのは難しいです。

僕の病院でも、長期間出す飼い主さんには処方料を安くするために、
自分の家で割ってもらうことにしてシートで出し、
割り方も教えてという事もあるのですが、複数の薬を出して、
これは1/4、これは1/3・・、と、
何種類も割ってもらうのも大変ではないかなとも思います。

心臓病の薬の場合は、
多い時には6種類とか7種類の薬を出す事になりますし、
間違えた場合のリスクも多いため、
それはさすがに病院で分包して出す方が、こちらとしても安心です。

とは言っても、病院によって考え方はそれぞれですので、
他の動物病院ではどういうパターンが多いのかなと、
気になるところではあります。

動物では、体重に関わらずなんでも一錠、というわけにもいきませんので、
割るか分包するかしかないのですけれども。

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制限事項と裁量権

ワクチンや注射、飲み薬などには、必ず能書というものがついています。
能書には、効能や薬用量などと合わせて、
その薬の使い方なども書いてありますので、
とても大切なものです。

薬の使い方の中には、「禁忌」と「制限事項」という項目があります。

禁忌というのは、読んで字の通り、
「この場合は使ってはいけない」
という指示です。

禁忌の症例で使うと、薬が逆効果となったり、
悪い影響を及ぼすので、使ってはいけないとなっているものです。

制限事項というのは、それよりは少し控えめの指示ですが、
「この指示を守って使って下さい」
と、決められた通りに薬を用いることを求めるものです。

フィラリアなどが分かりやすいですが、
制限事項がある時に、それを守らずに薬を用いると、
副作用などが起こったり、悪い影響が及ぼされる可能性があります。

通常は、禁忌や制限事項のある時には、それに注意して、
能書に従って薬を使用する事になります。

一方、獣医師には「裁量権」というものがあります。
薬をどう用いるか、ということにおいては、
獣医師が判断して決める事が出来る、というものです。

裁量権があるという事は、薬をどう使うかは獣医師の自由、
ということでもありますので、
極論を言えば、制限事項や禁忌があろうが、
それを無視して用いたとしても、それは裁量権の範疇、
ということもできなくはありません。

ただ、忘れてならないのは、もしも能書に記載がある時に、
それを無視して薬を用いて、それで副作用が現れた時には、
その責任はすべて、薬を用いた獣医師にかぶさって来るということです。

ワクチンをうつときなどは、
健康診断をして、制限事項を守った上でうってなら、
それで副作用が出たとしても、
基本的には責任はワクチンメーカーがとってくれ、
飼い主さんへのケアも行ってくれます。

それがもしも、能書を無視して、制限事項を守らずに注射をした場合、
それで何かあったとしても、
ワクチンメーカーはその責任を突っぱねる可能性があります
(というか、まずつっぱねるでしょう)。

責任問題が絡んで来る以上、
医療者としては、制限事項を破らない様に、
能書に従って、薬を用いるようにするのが、
医療者にとっても、リスクマネジメント上、
これからは特に大切な事であると思います。

人間の医療なら、制限事項を破って裁量権を発動する、
ということは、今のご時世あり得ないと思うのですが、
獣医療では、まだ訴訟への意識が低いのもあるのか、
割合ルーズな部分があるのかもしれません。

人間の薬を使っている場合などの時は、
そもそも書いてある事が動物の場合と合致しない、
という根本的な問題もあるのですが、
ワクチンやフィラリアの薬などは特に、
制限事項があるなら、それにしたがって処方するのが何よりだと思います。

フィラリアの薬も、制限事項として、
「検査してから出すように」
と書いてあるのですが、
獣医師の中には、裁量権があるから守らなくても良いんだ、と、
検査なしで犬の顔も見ずに(もしくは顔だけ見て)出す人もいるようです。

とは言っても、制限事項はその通り守るのがまっとうですので、
基本的には、守るべきものは守っておかないといけないと思います。

どうしても守れない場合は、
「能書にこう書いてあるけれども、
 この子の場合は守れないので、ご了承ください。」
と、飼い主さんの了承をとってから処方するのが大切だと思います。

理解して了承しておいてもらえば、
それは獣医師の裁量権の発動というよりは、
飼い主さんへインフォームドコンセントを行った結果、
納得してもらっての選択、ということになるからです。

中には、制限事項を守らなくても、
まず重大な結果にならないであろう、という内容もありますが、
裁量権だからと言わず、むやみなことはしない方が良いのではないかとは思います。

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昨日は、かかりつけのこどもクリニックに行って、
診断書をもらって来ました。

お昼過ぎに行ったのですが、連休明けという事もあってか、
まだ待合室には小さな子供を連れたお母さんがまだ何人かまっていました。
そそくさと受付をすますと、しばらく待合室で待っていました。

いよいよ僕の番になり、
先生に診断を付けてもらった結果、どうやら僕は、
麻薬中毒患者ではない
ということのようで、しっかりと診断書を書いてもらいました。

なんで診断書が必要だったかと言えば、
二年に一度の麻薬扱い免許証の更新の時期が来たからです。

麻薬と言っても、うちで扱っているのは、
「ケタミン」という、麻酔用の注射薬だけなのですが、
4年ほど前に麻薬指定されてしまってからというもの、
免許が必要になってしまいました。

この免許更新のためには、
「この人は麻薬中毒患者ではありません」
という医師の診断書が必要ですので、
そのため、二年に一度の更新の時期が来ると、
娘のかかりつけの子供クリニックに行って、
診断書を書いてもらって来ています。

毎回子供クリニックの診断書なのですが、
どうやら医師であれば、何科の先生のものでもいいらしく、
毎回この診断書で、何も言われずに書類が通過しています。

医師免許を持っている人の診断書であれば、
どうやら耳鼻科でも眼科でもいいようですが、
それにしても、診断書と言っても、
何を診察されるという事でもなく、
ちょこちょこっと会話をして、不審なところがなければ、
そのまま書いてもらえるようです。

あえて上半身裸で行ったりとか、
あたりをきょろきょろとやたら見渡したりとか、
明らかに通常ではない言動だったりすると、
怪しまれて書類をもらえないのかもしれませんが、
普通に行ったら誰にでも書いてもらえる様な書類なら、
そんなに意味あるものなのかいなとも思わないでもありません。

診断書が3000円、更新の費用が4000円ほどで、
安いものでもありません。

ケタミンを使うと言っても、
ウサギやハムスターくらいにしか使わないため、
年に5mlも使わないのですが、
年間の使用薬剤の値段よりも更新費用の方がはるかに高いというのが微妙なところだったりします。

とはいえ、筋肉注射できる麻酔と言うと、
ケタミンしか選択肢がないため、ないと困る薬剤ではあります。

ハムスターだと、一回あたりの使用量が0.05mlとかなので、
微々たるものだったりします。

これで今年も手続きは終わりましたので、
次はまた2年後に行かせてもらう予定です。

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