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I.総論 〜社会とバリア〜 |
施設と設備
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病院の施設と設備についての話です。
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開業して13年たち、今年の6月に移転の予定で、現在新病院を新築中です。 今度の病院で気をつけようと思っていることの一つは、「バリアフリー」です。 具体的には、 ・病院の玄関前に1/14のスロープをつける ・入り口〜診察室〜処置室〜手術室〜入院室〜トイレをフルフラットにする ・トイレの入り口を2連引き戸にして開口100cmに ・駐車場のスロープに一番近いところを1台分パーキングパーミットにして、車椅子の人、身障者、妊婦、高齢者の方が来やすいようにする などです。 13年前に開業した時には、中古物件の改装だったこともあり、お恥ずかしい話ですがバリアフリーという概念は全く頭にありませんでした。 今回病院を設計し始めた頃も、当初は「13年間で車椅子の人が来たのも2回くらいだけだしなぁ」と考えていました。 ただ考えてみると、それはもしかしたらうちの病院の構造的に車椅子の人が来づらい要因があって、来るに来れないという状況を作り出してしまっていたということなのかもしれません。 バリアフリーということは、「誰もが来やすい」状況を作るということですので、車椅子の人だけでなく、妊婦さんや高齢者の方や、その他の皆さんにとって、優しい環境になります。 動物病院というのは、補助犬を通じて、身体的ハンディキャップを持っている人と接点のある施設です。 盲導犬、聴導犬、介助犬のオーナーの方がいらっしゃる可能性もあるわけですので、そういう方が来院しても、問題なく診察をできるようにしておきたいと思っています。 補助犬を考えている人が、「動物病院がバリアフリーでないから」という理由で導入を諦めることがあったとしたら、それはとても残念で申し訳ないことだと思います。 動物病院自身が補助犬への障壁となってしまってはいけないと、そう思います。 「障害者」という言葉がありますが、僕は「障害」というのは社会が壁を作っていることによって(それが無意識であったとしてもです)、ハンディキャップを持っている人を「障害者」にしてしまっているのだと思います。 足に不自由ない人だけが利用できるようになっていて、それ以外の人に配慮をしていない施設では、足の機能に問題がある人にとってはそのことが壁になってしまいます。 身体に問題がある人もない人も、同じように使える施設であるのなら、足の機能の問題は壁とはなりません。 「ハゲ」とか「水虫」とかが「障害」とならないのは(例えに出してすみません)、その問題を抱えていたとしても、社会で生きて行く上でそれが壁とはならないからです。 もしも、身体機能、視覚や聴覚に問題があったとしても、それが社会で生きて行く上での壁とならないのであれば、それはただの「車イスの人」「視覚/聴覚機能の低下している人」に過ぎなくなり、障害者という言葉自体がなくなるのだと思います。 彼らを「障害者」にしているのはバリアを作っている社会であり、それに気づいていない僕たちみんなの問題です。 そのためには、町の施設側が、構造上のバリア、意識上のバリアをなくし、「どんな人でも快適に過ごしてもらえる」ように配慮をして行くことが必要だと思います。 どれくらい該当する方が来るのかは分かりませんが、 「行きたくても行けない」というのと、「行こうと思ったら行ける」とでは全然違いますので、どんな方でも来てもらえるという環境は作っておきたいと願っています。 ※転載、リンクはご自由にどうぞ
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動物を入院させ、点滴をする治療を行う事も多いですが、 そんな時、嫌なものが「点滴の閉塞」です。 スムーズに流れる動物だと、特に点滴が止まる事もないのですが、 すぐに腕を曲げてしまう動物や血管が細い(?)動物などだと、 点滴器がすぐにエラーを起こしてしまい、 見に行くと犬舍の中で「ピー」とエラー音が聞こえている、 ということもしばしばです。 点滴器が止まっていては治療になりませんので、 腕を曲げないようにしたり、定期的に確認しに行ったりと、 気を使う必要があります。 スムーズに点滴が流れていると言うのは、 獣医師にとってはとてもありがたく、ストレスフリーなものですが、 すぐに閉塞して止まってしまう場合は、 治療以外のところでストレスがかかってしまう嫌な状況です。 すぐに止まる場合は、犬舍の近くにいくときも、 「また止まっているだろうか・・」 と、おっかなびっくりですが、 あまりにびくびくしていると、なっていなくても、 空耳で点滴器のエラー音が聞こえるような気がして来る事もしばしばです。 あまりに苦労した場合だと、動物が帰った後でも、 いないはずの犬舍の中から、点滴器のエラー音が聞こえて来るような気にこともしばしばです。 点滴で苦労したくないものですが、 相手は動物ですので、なかなか思ったようにしてくれない場合も多かったりします。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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うちの病院では、ハムスターの手術というのもしばしば行っていますが、 そんなときによく役に立つのが、当院の誇る、 「ハムスター保定システム」です。 通常ハムスターを手術するときは、 ハムスターを仰向けにして、テープで台に張り付ける、 ということが多いかと思うのですが、 問題点として、 ・台に直接張り付けると手を広げすぎて苦しい ・ハムスターの下にペットシーツ(消毒剤を吸い取るためのもの)を 敷いてそこに張り付けると、暴れた時にペットシーツごと手が持ち上がる などの欠点があります。 その欠点を補うために開発したのが、 当院で用いている「ハムスター保定システム」です。 このシステムを用いて保定をすれば、 ハムスターを保定した時に、より苦しくないですし、 ペットシーツにテープが張り付く心配もなく、 またハムスターの下にペットシーツを入れ忘れていた時に(よくやります)、 保定器具ごと持ち上げれば、簡単にペットシーツを下に差し入れる事が出来ます。 どんなものかと言うと、下の写真の通りです。 なんだ、角材じゃないの、 と思われるかもしれませんが、まったく持ってその通りです。 以前日曜大工をした時に余ったものを、 ふと使ってみると、これが思いのほか便利だったと言う、 偶然の開発過程を経ているものです。 ただ、ただの角材と侮るなかれ、 これがあるとないでは手技のラクチンさが雲泥の差であり、 置いてみるとなかなかに便利です。 ハムスターの手術では、麻酔の最中に、 浅くなってもがき始めると言うことがしばしばあるのですが、 角材に保定しておけば、かなりがっちり固定できますので、 しょうしょうのことでは術野がずれる事もありません。 麻酔マスクも角材に固定しておけば、 知らないうちにマスクがずれていて、 覚醒状態になっていた、ということもありません (横ずれ防止効果がずば抜けています)。 ところでこの間、 「大型インコの爪切りをして欲しい」 という飼い主さんがやって来ました。 爪を切るには保定が必要ですので、飼い主さんに革手袋をして、 バスタオルで包んで持っておいてもらう事にしました。 と、持たれると嫌がると言うインコさんのようで、 持ってもらっている状態で、 「ギョエー!、ピギャー!!」 と、どこかのトリ怪獣が暴れているような声を出しながら、 首を振り回し、僕や飼い主さんを攻撃しようとしてきました。 だましだまし爪を切ろうと思ったものの、 首をこちらにも伸ばして、何とか噛み付こうとして来るため、 危なくて爪切りが出来ません (大型インコに噛まれたら、痛いではすみません)。 しょうがないので、AHTさんに、 「ちょっと、棒持って来て!!」 と叫び、それを噛ませている間に爪を切る事にしました。 「はい!院長!!」 と、俊敏に現れた彼女が持っていたのは、 当院の誇る「ハムスター保定システム」でした。 "それ持って来たか・・" とは思ったものの、鳥さんが首を伸ばして、 何とか飼い主さんの手に噛み付こうとして来る様子を見ると、 悠長に別の棒を探しに行ってもらう余裕もない感じです。 「それ噛ませといて」 と、インコさんの顔のところに棒を持って行ってもらうと、 バリバリバリ・・、 と、ものすごい音を立てながら、 角材がばりばりと壊されて行きます。 もしもこれが人間の手だったら、とぞっとしたのですが、 インコさんは目の前に出された角材に攻撃するのに必死な様子で、 噛ませておくと、足を持っても怒りもしない様子です。 幸い、足をもてさえすれば、二本の足だけですので、 すいすいと爪切りを終える事ができました。 爪切り自体はすぐだったのですが、 その間に、大切な保定器具が見るも無惨にぐしゃぐしゃな状態になってしまいました。 恐るべし、インコのくちばし・・。 大切な角材はぼろぼろになってしまいましたが、 その犠牲によって、誰も傷つかずに終える事ができました。 片方はぼろぼろになりましたが、もう片方は使えない事もありません (あまりの角材なのでだいぶ長いです)。 角材は全部で合計3本ありますので、 これはもうインコに噛ませる専用の棒にするというのも手ではありますが・・。 動物相手だと、怪我をする状況というのもありますが、 噛まれるとしゃれにならない状況というのもありますので、 噛まれないよう、怪我をしないように注意しながら、 創意と工夫で乗り切って行きたいものです。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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