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ただ、一方で、TNRのことを考えるたびに考えてしまうのが、 ノラ猫の手術をしたときの手術代についてです。 ノラ猫の手術というのは、普通の飼い猫のときと比べて、 ノミや感染症を持っている可能性も高く、 性格的にも触られるのに慣れておらず、扱いが難しく、 潜在的な病気を持っている可能性もありと、 猫にとってのリスク、病院側にとってのリスクが高いです。 当然、取り扱いも、飼い猫の倍以上気を使い、 消毒も普段よりも倍以上しっかりします。 そして、猫にノミがついていたりする場合、 「無料で良いのでフロントラインつけさせてください。」 と、他の飼い主さんと病院のために、 無料でノミの薬も付けさせてもらっています (この分がサービスになっています)。 同じ料金でするのであれば、飼い猫の手術の方がよほど楽、 というのが、獣医師としての実際の感想です。 ただ一方で、TNRではノラ猫を、地域の人が捕まえて手術させるのですが、 その費用はと言えば、個人が家の近くにいる猫を、 "増えるのに見かねて"連れて来る場合は、 実質、連れて来た人の個人負担となってしまいます。 TNRが根付いていない地域では、 「地域の猫は地域で面倒を見る」 という意識がまだ低いので、 連れてくる人に負担が集中してしまっている、 というのが気の毒なところです。 ただ、単純に値引きをするというのも、 それはそれでなかなか問題もあります。 猫の場合は、外飼いの猫とノラ猫の境界線が 微妙な場合も多いのが悩みどころです。 実際、僕の地域でも、日中は外をうろうろしていて、 ゴハンをあげるときは家にやってくる、 という、"半ノラ"の猫が、ごろごろいます。 もし、 「ノラ猫だったら値引きしますよ。」 と公言した場合、ノラ猫ではない猫を、 「ノラ猫なんで安くして下さい。」 と言って連れて来る人が出て来る可能性があるので、 なかなかそれは難しいという面もあります。 ゴハンを定期的にあげていて、家によって来るのであれば、 それは飼っているということだと思うのですが、 ノラと半ノラ、外飼いの猫を見分ける方法も、 証明する方法もありません。 「あそこはノラ猫だと言えば安くしてくれるよ。」 という噂は、おそらく想像以上に容易に広まると思います。 かといって、ノラ猫を見るに見かねて連れて来た場合、 そのままの値段でいただくのも気の毒です。 「何とかなりませんか・・。」 と相談された場合は、僕が目の前で財布からお金を出して、 「院長から個人的にカンパさせていただきますので、 これを使って下さい。」 と言うようにしています(ごくたまにしかありませんが)。 ノラ猫だからとまけるのも難しいですし、 かといって、一方では、不幸なノラ猫を減らすために、 手術代の手助けをしてあげたい気持ちがあるのも実際のところです。 自治体によっては、補助金を出しているところもあるそうですが、 僕の町では、ノラ猫の問題が、 大きな問題とまではなっていっていないこともあってか、 補助金が出るようになる気配はなさそうです。 となるとどうするか、ということですが、 補助としてあり得る方法を、 僕なりに考えてみると(計画とまではいきませんが)、 1.地域の猫を、地域で手術するのだから、みんなで出し合う 2.ノラ猫募金を作って、そこから補助を出すというあたりかなと思います。 1番目の方法は、これは本当の地域猫にするということですが、 地域の意識がそこまで高まっていない状態では、 いきなり、みんなで捕まえて、みんなでお金を出し合って、 というところまでは進みにくいと思います。 ただ、地域で、有志の人たちが協力しあって、 費用も捻出してくれるのであれば、 動物病院は、純粋に手術という面においての協力、 ということになりますので、 費用のことについて悩まなくてすむようになるので助かるところです。 地域で、「TNR推進の会」のようなものができれば一番良いのですが、 TNRの主体は、どちらかというと地域の住民となりますので、 動物病院の方から設立を働きかける様なものでもない様な気もします。 こちらから働きかけられる、もしくは協力できる方法というのは、 2番目のノラ猫募金ですが、 これは、みんなからのカンパを集めてストックしておき、 手術がされた時に、そのお金を補助として依頼者に使ってもらう、 というものです。 となると、どこで誰がストックするかということですが、 それにはさらに、 1.動物病院の中で募金を設置する 2.動物病院の外に募金を設置するというふたつの方法があります。 1番は、動物病院の受付のところに、募金箱を設置しておいて、 「ノラ猫の避妊手術代の補助のため、カンパをお願いします。」 と書いておくというものです。 そして、希望者が来た時には、 その箱の中からお金を出して、 「これを補助にお使いください。」 と、渡すことになります。 ただ、受付のところに募金箱を設置しておいて、 そのお金がどこに入るかと言えば、病院に入っていくわけで、 なんだかそれも違和感を感じるところです。 「補助のための募金箱と言いながら、 自分のところの収入増加のための手段にしているだけじゃないか。」 と言われてしまいそうです。 病院の中に募金を設置すると、 手術確保のための囲い込みをしている様な感じにも思えます。 TNRは、そもそも地域の住民と猫のためにされるのであって、 病院の収入増加のためになされるわけではありません。 そうなると、募金を主催するのは、病院の外の有志が行い、 そこで集めたお金を用いて、病院に依頼する、 もしくは手術代の補助をする、 という形にした方が分かりやすいですし、 違和感も感じない様な気がします。 その方法なら、どこの病院で手術をするのも自由ですし、 「動物病院が自分のところで手術を受けてもらうために、 募金を自分のところで集めている」 なんて誤解も避けることができます。 問題は、誰が募金の設置、管理をしてくれるか、 ということですが、地元の有志、 もしくはペット関係のお店あたりかなと思います。 獣医師の団体が主催すると、それこそ自分たちの収入増加のために・・、 という声が聞こえて来そうですので、 やはり獣医師とは少し離れたところに できた方が良いのかなという感じがします。 地域で募金を作れば、地域の猫のTNRの促進のために、 地域で協力しあって費用を捻出している、 という形になりますし、ネットワークを作って、 情報の交換もしやすい様な気もします。 そして、この方法がつき詰まっていくと、 先ほどの「地域の猫の費用は地域で出し合う」という方法と 同じことになると思います。 他の地域がどうしているのか気になるところではありますが、 おそらく、自分の住んでいる家の周りで増えている猫を、 こつこつと捕まえては手術させているという人も、 国内には数えきれない程いると思います。 そういう人たちが、自分自身に過大な負担をかけてしまわないよう、 何とか、費用的に助けてあげることができたらと、願うばかりです。 読者の方で、何か良いアイデアをお持ちの方がいらっしゃいましたら、 是非教えて下さい。 多くの意見を教えていただけますとうれしく思います。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。 傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 この文章は、多くの人に読んでいただきたいですので、 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |
ノラ猫とTNR
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ノラ猫についての話です
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今、日本では、どこの町でも、猫が増えて困っています。 困るというのは、住民で迷惑に感じる人がいる、という意味と、 生まれた猫を見つけたとしても、その引き取り手、 新しい飼い主を見つけることが難しい、という二つの意味です。 年間に犬が約20万頭、猫が30万頭が、 毎年、殺処分されています。 猫の30万頭という数字の内訳は、 ほとんどが生まれて間もない子ネコです。 生まれたとしても、もらい手が見つからず、 結果として行き場のなくなった猫が、保健所に持ち込まれてしまい、 そこでほとんどが殺されることになってしまっています。 実際には、保健所に連れて行かれず、 ひそかに殺されてしまっている猫も多いと思われますので、 実際の殺処分数は、この数字よりも多いと考えられます。 もらい手がつかず、人に飼われることなく外で暮らすことになった猫は、 野外でノラ猫となります。 ノラ猫が増えると、その糞尿や騒音を、 被害と感じる地域の住民が出て来ます。 世の中には、猫のことを好き、という人ばかりではないようで、 車の上を歩かれるのも気にくわない、という人も、けっこういるようです。 道ばたを歩いていると、家の玄関などに猫よけのペットボトルが おいてある風景は、時折目にすると思います。 猫を好ましく思わない人の中には、毒を撒いたりするという人も、 中にはいるようです(これはもう犯罪ですが)。 また、ノラとなった猫の暮らしは、人間に飼われている猫と比べると、 やはり厳しいものになります。 外で生きていると、食べるものに事欠くのみならず、 ケンカや交通事故、ウイルスなどの感染症などによって、 寿命を全うすることはまれとなります。 一説によると、ノラで生きている猫の寿命は、 3年とも4年とも言われています。 猫は、増えて迷惑に感じる人も中にはいますが、 それと同時に、昔から人間社会にとけ込んで生きている存在として、 思い入れを持って大切に考えられている存在です。 猫が増えすぎることは、地域の住民にとっても、 猫自身にとっても、けして幸せなことではありません。 ノラとなった猫は、外で自由に行動しているため、繁殖を自由に行います。 ノラ猫の繁殖能力はかなり高いため、何もしなければ、 高い確率で、どんどん数を増やしていきます。 猫は春先(個体により秋も)になると発情期を迎え、 交尾をして、4~6頭の子どもを生んでしまいます。 猫は、交尾排卵動物で、交尾をすると、 ほぼ百発百中で妊娠してしまいます。 生まれた子猫は、6~8ヶ月もすれば性成熟を迎えますので、 生まれた次の年には繁殖できる状態になります。 野外の猫は、まさに、猫算で増えていくことになります。 したがって、増える猫の頭数を制限するためには、 "ノラ猫"として、地域の中で暮らしている猫に、 何らかの形で繁殖を制限するための手だてをしなければいけません。 最近、ノラ猫の頭数制限のために提唱されて来ているのが、 TNR運動という言葉です。 これは、ノラ猫を捕まえて(=Trap)、中性化し(=Neuter)、 そしてもう一度もとの場所に戻す(=Return)という流れで、 猫に避妊手術、去勢手術を行うというものです。 中性化された猫は繁殖能力を失っていますので、 その猫が地域にいても、それ以上猫が増えることはありません。 捕まえて刹処分する、などという方法よりも、 人道的にも受け入れやすい方法です。 TNR運動という言葉が生まれる前から、 猫を捕まえて、動物病院で不妊手術を受けさせる人はいたのですが、 その負担は、個人の負担となっていました。 しかも、一生懸命手術をさせていたとしても、 あまり周りの人から理解されないことも多いものであったと思います。 でも、TNR運動が、地域の猫と住民のため、 という性格を持つものであるのであれば、 その運動は、地域の人たちの協力のもと、 できるだけ広く、多くの人に負担してもらった上で 行われていくべきであると思います (お金の負担については、改めて別の記事で書こうと思います)。 また、その運動を進めていく上では、地域がひとつのチームとなった上で、 協力しあっていかないといけないと思います。 地域の人の役目は、動物を捕まえて、動物病院に連れて行って、 手術をした後、また元の場所に戻すことです。 そして、僕たち動物病院がTNR運動の中で果たせる役目は、 真ん中のN、すなわち避妊手術、去勢手術を行う、という部分です。 みんなで協力しあっていかなくては、猫の繁殖を制限することはできず、 また、年間に処分される猫の頭数を減らすこともできません (飼い猫の中性化については、また別の話になりますが)。 ここで大切なのは、地域の人たちと、獣医師、双方の意識の向上です。 今はまだ、漠然と、 「どこの町でも猫が増えて大変だなぁ。」 と、地域の人も獣医師の側も、 ぼんやりと思っているだけのところが多いと思います。 でも、僕たちが、みんなで意識を高め、 少しずつでも積極的に猫を中性化していかなければ、 猫の繁殖も、猫の殺処分も減らすことはできません。 捕まえることはみんなで協力すれば、より楽にできますし、 捕まえさえすれば、動物病院で手術を受けさせることはできます (時に大変ですが)。 やりさえすれば、問題をより改善できる道筋は、 もう今の状態でも整っているのですが、 中性化させて野に放つ、ということへの意識が、 もう少し高くなりさえすれば、というところです。 まだ、TNR運動という言葉を知らない人も、けっこう多いと思います。 もう少しこの言葉と、運動の内容を広めていきたいですね。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。 傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 この文章は、多くの人に読んでいただきたいですので、 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |
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ノラ猫の耳カットの話の続きですが、その後、 獣医さん同士の集まりに持っていく前に、 なるべく根回しをしておこうと思い、 地域の獣医さんの中でも、仲良くさせてもらっている先生に、 もう一度耳カット、耳ピアスの話をしてみました。 すると、思っても見ない答えが返って来ました。 それは、 「その話は、この間、 虐待だから止めようという話でまとまったでしょう。 これからはそういうことは、時代に逆行していると思います。 先生も、もう止めた方が良いですよ。」 というものでした。 僕も、特別ノラ猫の手術に積極的、 という立場でもないのですが、この答えを聞いて、 正直、かなり憤慨してしまいました。 僕もこの間、耳に目印をするのは虐待ではないですよと話をしたのですが、 どうも、その先生は(他の人は分かりませんが)、 虐待だと結論づけてとらえてしまっていたようです。 さらに、 「避妊手術した猫がまた捕まえてこられても、 また麻酔かけて寝かせれば分かるでしょ。 そんなに、滅多にあることじゃないし、 それくらいは我慢しましょうよ。」 とのことでした。 あまり熱くなりたくもなかったのですが、 思ったままに反論しておきました。 まず、耳カットの目的は、虐待ではないということです。 猫が何度も捕まえられて病院に連れて行かれるというのは 猫にとって負担ですので、 その負担を減らしてあげるというのが目的のひとつです。 もうひとつは、保護活動をしている人の労力を減らす、というためです。 この間の話し合いでも、 「たまに来るくらいなら仕方ないんじゃない」 という意見もありましたが、 僕は、目印は、獣医師のためにするのではないと思います。 耳に切り込みを入れるのはかわいそうだ、 という意見は、分からないでもないですが、 動物愛護の観点から言えば、 同じ猫が何度も捕まえられて麻酔をかけられるとしたら、 そのことの方が、僕はよほどかわいそうだと思います。 あまり一人で主張していると、 何を熱くなっているんだ、と思われかねないのも嫌ですが、 僕が言っているのは、 「避妊手術を積極的にしましょう。」 ということではなく、 「ノラ猫に手術をした後の目印を統一しましょう。」 という、ただそれだけです。 でも、この様子では、そこに行くまでに、 拒絶されて話が終わってしまいそうな雰囲気も、 しないでもありません。 なぜ乗り気でないのかと言えば、 違う町で耳カットをしていた獣医師が、 「動物虐待だ」と、文句を言われたから、 ということが理由のひとつのようです。 でも、動物に対しての専門家たる獣医師という立場を考えれば、 文句を言う人がいるからやめておく、というのではなく、 むしろ、獣医師の方から、保護活動に対して、 より理解をしてもらい、意識を高めていけるよう、 啓蒙し、働きかけて行かなければいけないのだと思います。 あまり、意見が盛り上がらないのには、地域的な問題もあると思います。 1.猫が密集していて、 2.保護活動が盛ん、というところであれば、 耳に目印を入れることの必要性が高くなって来るのだと思いますが、 僕の住んでいる地域はそこまでの都会ではありませんので、 それほど、動物保護活動に対しての必要性や意識が高くない、 ということがあるのかもしれません。 耳の目印が受け入れられるかどうかは、 その地域の人たちの、保護活動に対する感心と理解度が、 必要不可欠だと思います。 「耳を切るのは気乗りしない。」 という意見もありましたが、別に、 僕にしても、他の目印を行っている先生にしても、 "切りたいから切っている" のではありません。 「保護活動の面から考えると、目印を付けておいた方が、 猫にとっても、住民にとっても、メリットが大きい」 から、目印をつけておくのです。 獣医師が、"したいかどうか"、ということではなく、 獣医師にしかできないことだから、獣医師がするのです。 ただ、今の話し合いの流れの後で、 今後も僕だけが耳カットを続けていったとすると、逆に、 「あそこは変なことをしている」 と、無理解な悪口を言われそうで、それが気がかりです。 「あそこは愛護精神に欠けるからね。」 なんてもし言われたとしたら、それこそ、非常に心外です。 また、手術している猫かどうかの見分けについて、 「ノラ猫を避妊手術する前に、 傷口を触れば手術しているかどうか分かるじゃないの。」 とも言われましたが、僕の病院は、ノラ猫を手術するときは、 腹膜も皮膚も、PDSという、溶ける糸で縫合しますので、 その方法で手術された猫は、糸が溶け終わった後で連れてこられたら、 お腹を触ったとしても、ナイロン糸は触れません。 ということは、耳に目印がなければ、 手術してあることに気づかずにお腹をあけ、 「子宮がない、子宮がない」 と、お腹を探しまわる羽目になりかねないということです。 それは、猫にとっても、よほど大きな負担となります (腹膜だけナイロン糸で縫えと言われそうですが)。 自分一人が動くのなら、別に気兼ねなく動けるのですが、 地域でまとまってしようと思うと、 それぞれの先生の意見、考え方というものがありますので、 なかなかに壁にぶつかってしまいます。 ただ、今回話をしていた先生は、 僕の説明に一応は納得してくれたようで、 また近々話をしましょうと、前向きになってくれたようではありました。 コメントをいただければ、それが僕のアイデア、力になりますので、 ぜひご意見、ご感想をいただければ幸いです。 アンケートも引き続き行っておりますので、御投票お願いします。 http://blogs.yahoo.co.jp/ponpoko6691535/POLL/yblog_poll_result.html?no=18710792 ※傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 この文章は、多くの人に読んでいただきたいですので、 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |
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以前、ノラ猫の避妊手術のことを、記事として書きました。 その時に、避妊手術が終わった猫の耳には、 切り込みを入れると分かりやすいという話でコメント欄が盛り上がり、 僕も大いに参考になりました。 実際、手術した子に、ぱっと見て分かる目印があれば、 手術してあるにも関わらずに、また別の人に捕まって、 動物病院に連れて行かれるという可能性がなくなります。 ただ、自分の病院で手術した跡を付けていたとしても、 地域の獣医さんが、人によって目印をつけていなかったり、 目印がバラバラだったりすると、その効果も半減です。 地域の猫の手術後に目印を付けるのであれば、 その地域の獣医師が、全て同じ目印を付けていれば、 その効果はより高いものになります。 うちの病院で目印を付けていても、 また他の病院に連れて行かれて、目印の意味が分からなかったとしたら、 目印をした意味がなくなってしまいます。 そう考えると、獣医師の間で目印を統一するのみならず、 地域の人たちにも、手術済みの目印の意味を周知させておいたほうが良い、 ということになります。 そこで、この間、地域の獣医師同士の会合の時、 周りの先生たちに、目印の仕方を統一しないかと呼びかけてみました。 すると、思っても見ない反応が返って来ました。 それは、僕も予想もしていない答えでした。 動物愛護を名乗る団体であれば、むしろ、 手術済みの目印を入れることに理解を示し、 一般への周知に協力してくれそうな気もするのですが、 そう思ってくれない人もいるようです。 もし、それが虐待行為に該当するというのなら、 僕も、虐待行為を今までしていたことになってしまいます。 そもそも、なぜノラ猫の耳に目印を入れるかと言えば、 避妊手術を受けた猫が一目で分かるようにして、 その猫が不必要にまた捕まえられてしまう、 ということをなくすための処置です。 ノラ猫を捕まえて病院に連れてくるというのは、 捕まえる人にとっても、時に大きな労力ですし、 猫自身にとっても、不必要に捕まえられるというのは、 大きなストレスです。 オスであれば、陰嚢がぺったんこであれば、 去勢手術してあるということが比較的分かりやすいですが、 メスでは、目印がなければ、実際、捕まえてみないと分かりません。 お腹に手術跡が残っていたり、腹壁をナイロン糸などで縫っていれば、 麻酔をかけて、すぐに分かるかもしれませんが、 もし、手術跡がとてもきれいだったり、 腹壁を溶ける糸で縫っていたりすれば、 気づかずにお腹をあけないとも限りません。 もし、避妊手術をしているのにお腹をあけてしまえば、 「子宮がない、子宮がない・・・。」 と、子宮を求めて、数十分お腹の中を探しまわる羽目になります。 そのあたりを考えると、猫のためにも、人間のためにも、 ぱっと見て分かる目印を付けておく、 というのは、とても合理的で実用的な方法であると思います。 もちろん、麻酔をしているときに処置を行いますので、 不必要な痛みを与えたりしているわけでもありません。 間違っても、獣医師が猫を虐待してやりたいがために、 不必要なキズをつくっているのではない、ということです。 それを、その過程で耳に目印を入れることは虐待だからけしからん、 というのは、あまりにも不可思議な見解ではないのかなと思ってしまいます。 その話を聞いて以来、 ノラ猫の耳に切り込みを入れるということをすべきかどうか、 どうにも迷いが生じてしまっています。 実際は、切り込みと言っても、そんなに目立つものでも、 生活に支障を来すものでもないのですが、 多くの人は、手術後に耳に切り込みを入れるということについて、 どう思うものなのでしょうか。 この件に関しては、 なるべくたくさんの人の意見を聞かせていただきたいと思っています。 ぜひコメントをお寄せください。 投票も行っておりますので、ぜひご参加ください。 http://blogs.yahoo.co.jp/ponpoko6691535/POLL/yblog_poll_vote.html?no=18710792 ※傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 この文章は、多くの人に読んでいただきたいですので、 転載、リンク、トラックバックをどうぞお願いします。 |
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動物病院をしていると、時折やって来るのが、 「近所の猫好きのおばちゃん」 です。 別に、悪い人ではないですし、 気が優しいからこそ、猫にも気を寄せるのだと思います。 それはそれで良いのですが、時折どうしようか頭を悩ませてしまうのが、 「ノラ猫を避妊手術しようと思っているけど、ノラ猫だから安くして」 という相談です。 どこでもノラ猫は増えて困っているわけで、 その理由はと言えば、避妊手術されずに猫がいるからであり、 外猫を手術するというのは良い事だとは思うのですが、 一方で、「ノラ猫だから安くしろ」という話になる時は、 いつも悩んでしまいます。 個人の問題というよりは、地域の問題な訳で、 そうすると、行政が絡んで来てもしかるべきではあると思います。 そうすると、ノラ猫の避妊手術に対しては 行政の補助金があっても良いのではないかと思うのですが、 今のところ、うちの町ではそういう制度はありません。 増えるノラ猫を見かねて連れて来る人に負担の全てをさせるというのも、 気の毒だとは思うのですが、 一方で、以前書いた通り(アドレス)、 ノラ猫の手術というのは、普通の猫の手術よりも、 はるかにリスクが大きく、気を使います。 また、ノラ猫が多く来るという事は、 感染症も持ち込まれる可能性が増えるというわけで、 それも病院としては、無視できない問題ではあります。 また、猫というのは、ただでさえ、 外猫なのか、ノラ猫なのかの違いが分かりにくいわけで、 「あそこの病院は、ノラ猫だと言えば安くしてもらえるよ。」 という話が出回ったりすると、それもまた問題ではあります。 ノラ猫であろうと、麻酔も手術もまるきり同じでやっており、 かつリスクばかりが桁違いに高い、という事を考えると、 こちらとしては値引きなどしたくないところではあります。 むしろ、手術の手間を考えると、 手術代を高く設定したとしてもおかしくはないと思います。 ただ、地域への貢献という事を考えると、 増えるノラ猫問題に何らかの貢献もしたい、という面もある訳で、 悩みは尽きないところです。 ただ、ノラ猫を連れて来て、「安くしろ」という人の中には、 「自分はこんなに良い事をしているのだから、あなたも協力しろ」 と、やや独善的な態度をお取りになる方も割合いらっしゃいます。 そうすると、またどうしようか悩むところです。 今のところは、 「病院としては、同じ麻酔、同じ手術をするので、 値段の値引きをする事は出来ません。 でも、お気持ちは分かりますので、院長からのカンパという事で、 ご協力させていただきます。」 と言って、僕の財布を持って来て、 飼い主さんの目の前でいくらかを出し、 そのお金を会計に使ってもらう事にしています。 そうすれば、一応、値引きはしていないし、 かといって、心遣いもしていないわけではない事になります。 お金は、実際に僕の小遣いから出す事にしています。 うちの病院にノラ猫を連れて来る人の一部は、 義援金としてカンパしあって、みんなで手術代を出しているらしく、 その人たちは、今のところ、ノラ猫でも普通に支払いをしてくれています。 そうしてもらえると、こちらも精神的にも助かります。 したがって、今のところは、 「ノラだからまけろ」 という依頼は少なくて済んでいるのですが、 やっぱり、獣医師としても、 そう言われた時の対応は、人それぞれにするよりも、 ある程度対応を決めておいた方が良いと思います。 「別の人は安くしてもらっていると聞いたのに・・」 と文句を言われても嫌ですから。 不幸せな猫を増やさないように協力もしたいし、 かといって、伝染病を他の子に感染させるリスクも高くはしたくないしで、 悩むところではあります。 ホントは行政に手伝って欲しいところですが、 地方財政も苦しい今日この頃、 行政も、猫の事までなかなか手を回したがらないみたいですね。 ※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。 傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。 転載、リンクはフリーとさせていただきます。 |
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