どうぶつ病院診療日記

動物病院の診察風景や、獣医師が日頃思っていることなど

日々の診療、ちょっとした話

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「もう少し早く連れて来てもらっていれば」
という言葉を言うか言わないかは、獣医師によって違うでしょうし、シチュエーションによっても違うと思います。

僕は基本的にはなるべく使わないですが、
「病態がこんがらがって悪くなって、ややこしくなって来た場合」
に限っては、もうちょっと早ければ早く治ったんだろうけど、時間が経っているので状態が悪くなって病態が複雑になっている、と正直に伝えています。

「言わない」理由としては、「飼い主さんが自分を責めてしまう」ということがあります。
もうちょっと早く連れて来てもらえれば何とかできたのに、早く連れてこなかったのが悪い、というニュアンスになると、飼い主さんは「自分のせいで動物が死んでしまった」と考えてしまう可能性があるからです。

そういう理由から、「もうちょっと早ければねぇ」と言わない、という獣医師もいます。
飼い主さんを気遣っての行為ではありますが、一方でその時のリスクとして一番心配なのは、飼い主さんが「獣医師のせいで動物が死んだ」と獣医師に恨みの気持ちを持つようになってしまう可能性がある、ということです。

分かりやすいところで言うと、子宮蓄膿症で時間が経って、腎不全や肝不全まで起こした状態になってから連れて来てもらっても、その時の死亡率は、子宮蓄膿症になったばかりの初期の状態に比べて、はるかに高いものになってしまいます。

そういう時は、きちんと「時間が早い状態で治療をすれば予後が概ね良い病気なのだけれども、時間が経って状態が悪化してからだと、死亡率が高くなってしまう」と言うことを伝える必要があります。
実際、初期だと救命率が高いけれども、病気が進んで重篤になると途端に死亡率が高くなってしまう病気というのはゴロゴロあります。

極力、「もう少し早ければねぇ」という言葉は使わないようにしていますが、恨まれたり、訴訟になったりすることのある職業ですので、時には使わざるを得ない(きちんと言っておかないとまずい)状況はあるのだと思います。

きちんと状況を説明しつつ、必要以上に相手を責めない、ということは大切だと思いますが、一方でそう言いたくなってしまう状況というのは、実は結構あったりします。
「1か月前から調子が悪かったけど、様子を見てました」
ということのないよう、早め早めに診せてほしいものだと、獣医師としては願います。

※転載、リンクはご自由にどうぞ

カロウの診断

人間と動物では、見た目は違えど体の仕組みや臓器の種類は、
かなり共通しています。

そのため、心臓病だったり腎臓病だったり、糖尿病だったりと、
人間にある病気はだいたい動物にもあったりします。

動物病院は全科診療ですので、いろんな病気の診断をするものですが、
まだ診断したことのない病名(?)というのもいくつかあります。

そのひとつは「過労」というものです。
過労と言うのは、オーバーワークの状態が続いたために、
体がバタンキューの状態になってしまったものですが、
動物で過労になるほど仕事をしてしまったと言う例も、
それほどありませんので、まだ見たことがありません。

獣医療領域では、どちらかというと、
スポーツドッグで無理をしすぎて疲労骨折とか靭帯の炎症とかになる、
という方向になるのかもしれませんが、
それだと過労と言う病名になることはありません。

人間だったら、精神的に厳しいところに追い込まれても、
歯を食いしばって無理をして、いよいよ倒れる、
ということかもしれませんが、
犬だと、その前に下痢をしたり、行動学的な問題が出て来たり、
ということで診察になるのかもしれません。

実際には、食って寝てで肥満になってしまう動物の方が、
頻繁に見かけますので、それほど肉体的・精神的な負荷を受けながら働き続ける、
ということもあまり見かけません。

もしかしたら、動物をハードに使役しているところの獣医師だと、
けっこうな確率で「過労」という診断をしているのかもしれませんが、
過労になるほど動物を使役すると、
動物愛護法違反になって来るのかもしれませんので、
それはそれで問題だと思います。

ところで、動物は過労になるほど働かせるのは法に触れるけど、
人間が過労になっても、法律違反ではない、
というのもなんか不思議な感じではありますね。

※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
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凶暴犬の抜糸

動物病院に来る動物は、大人しい子ばかりというわけではなく、
中にはおこりんぼの子とか、凶暴な子もやって来ることがあります。

ワクチンの注射やフィラリアの採血でも難渋するシチュエーションがあったりするのですが、
中でも大変なのは、病気になって手術が必要になったりする場合です。

手術をするためには麻酔をかけないといけないのですが、
怒る子の場合は、なかなかそのまま手を持って血管留置をさせてくれませんので、
最初に筋肉注射で鎮静剤を打って、ふらふらして来たら抱えて留置針を入れたり、
場合によってはそのままマスクで導入したりと、
なかなかに手こずらされることがしばしばです。

ところで、何とか手術がすんでひと安心となっても、
その後でまた大変なのが抜糸です。

術部の糸を縫合する時には、当然麻酔がかかっていますので、
縫合するとき自体は抵抗をされるということはないのですが、
その後術部が癒えてくると、抜糸をしなければいけません。

抜糸時には当然しっかり目が覚めていますので、
嫌がる子の場合は嫌がって抵抗して来ます。

そうなると、縫ったは良いものの、抜糸どうしよう、
となるシチュエーションも時折あったりします。

怖がりさんや嫌がりさんの子だったりすると、
最初の手術の時に、
「なんかされた」
ということを覚えていたりすると、
二度目の時には余計警戒しているということになることもあります。

何とかだましだまし出来れば良いのですが、
どうしても嫌がってそのままは抜糸できなかったら、
鎮静剤を入れてふらふらさせてからするしかありません。

大きな抜糸だとそれもやむなしと思いやすいですが、
避妊手術などの、ちょこっとだけの抜糸だったりすると、
そのために鎮静剤を打つというのも気の毒なこともあります。

ノラ猫だったり、すごく凶暴な場合には、
抜糸をしないですむように、最初から皮膚も溶ける糸で縫っておいて、
抜糸なしとすることもあったりします。
お互いにケガがないのが一番ですね。

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動物病院の診察で気をつけなければいけない事のひとつに、
「動物が台から飛び降りないように」
ということがあります。

大型犬であれば、飛び降りてもどうという事もない事が多いと思いますが、
小型犬で台から飛び降りたりすると、
足の骨が折れて骨折となってしまう可能性があります。

相手は動物ですので、台の上から飛び降りると骨が折れるかもしれない、
ということは言っても分からないでしょうし、
自分の骨が折れるかもしれない、ということも、
想像もしていないと思います
(多分骨という概念がないと思います)。

小型犬が診察にやって来て台の上に犬を置いた後、
台の上をうろうろしていたりしたりすると、
「台から飛び降りないように支えてあげておいて下さい」
と言葉をかけるようにしているのですが、
中には、検便をするために顕微鏡を覗き込んでいて、
ふと診察台の方に視線を送ると、
飼い主さんが待合室に出て行ってしまっていて、
動物だけが台の上でうろうろ、という状況も時にはあったりします。

高いからまさか飛び降りないだろう、と思う飼い主さんもいるかもしれませんが、
台の上から飛び降りる動物と言うのは時折います。

うまく着地する場合もあれば、胸を打ったりすることもありますし、
中には頭から落ちて下で一回転する犬もいたりします。

胸から落ちればまだ打撲ですむ程度かもしれませんが、
一番怖いのは、小型犬が前足から飛び降りて、
前腕部の骨をぽっきりと折ってしまう場合です。

今のところ、開業してからと言うもの、
診察室で飛び降りて動物が骨折、
という事故は起きていないのですが、
代診時代は診察台から飛び降りて足を折ってしまった子を一度診ました
(他の獣医師が診ていました)。

その時は飼い主さんが持っていたところ、
飛び降りて骨が折れたという事で、
トラブルにはなりませんでした。

動物病院に来て、足が折れて想定外の手術代までかかるはめになった、
というのは飼い主さんには気の毒ですが、
自分で持っていて飛び降りてしまったのなら、
動物病院の責任ではありません。

誰も持っていなくて飛び降りて折れた、という場合、
動物病院のせいだと言う人が出ないかどうか心配ではありますが、
一番良いのは、最初から事故が起こらない事ですので、
"この人手を離しそう"
と思った場合は、
「飛び降りてケガしないよう、持っておいてあげて下さいね。」
と先に言葉をかけるようにしています。

それでも、ふと見ると飼い主さんが動物のそばから勝手に離れてしまっている、
という状況はありますので、冷や冷やしてしまうのですが。

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チェリーアイと言うのは、目の内側にある「しゅん膜腺」が飛び出して、
目の真ん中の部分がサクランボのようにぷっくりと膨らんで見える病気です。

なる子では何度も繰り返しますし、一旦出て軟骨が引っかかったり、
炎症が重度になったりすると、戻そうとしても戻らなくなりますので、
出てこないようにするために手術が必要になる事も多い病気です。

先日も、チェリーアイが数ヶ月前から続くという事で来院した動物がいました。
まずは戻るかどうかですので、ぐりぐりと整復しようとしてみたところ、
炎症でしゅん膜腺が腫れているため、さっぱり整復できません。

話を聞いてみると数ヶ月前からずっとということで、
今度手術をしましょうという事になりました。

当日になり、手術をするために来てもらい、
さぁ、手術をするかと顔を覗き込んでみると、
どっちが飛び出ていた方か分からなくなっています。

カルテを見直して左右を確認すると、
もう一度目を見てみました。

すると、チェリーアイだった方の目の軟骨は折れているものの、
脱出しているしゅん膜線は正常の位置に納まっていて、
チェリーアイの状態ではなくなっていました。

飼い主さん曰く、帰って次の日に見てみると、
そう言えばピンクの膨らみがなくなっていたという事で、
数ヶ月間飛び出ていたチェリーアイが、
どうやら前回の診察のときにマッサージした事によって、
すっぽり整復された(?)ようでした。

チェリーアイの状態になっていれば、しゅん膜線の脱出の境界も分かりやすいのですが、
脱出していない状態のチェリーアイの手術はした事がありませんし
(そもそももうチェリーアイではなくなっていますし)、
落ち着いて出ていないなら、わざわざメスを入れる必要もなさそうですので、
一旦様子を見る事にしました。

今後の指示としては、
「また出て来たら、出ている状態で手術しますので連絡を下さい」
ということになります。

今後手術が必要かどうかは今後出て来るかどうか次第です。

それにしても、あれだけ整復しようとして戻らなかったのに、
揉んだ後家に帰ってすぽっと治ったのかと言うのは不思議ではありますが、
数ヶ月出っぱなしだったのが診察後戻っていたという事ですので、
処置の結果ということなのかなという感じではあります。

治って良かったのは確かですが、
さぁ手術だと気合いが入っていたところで手術がなくなって、
気持ちが空振りになってしまった一日でした。

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