どうぶつ病院診療日記

動物病院の診察風景や、獣医師が日頃思っていることなど

治療の話

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動物病院に連れてこられた症例のうち、
地味に大変なもののひとつが「ネズミ捕りに引っかかった動物」です。

病気ではないので、純粋な"治療"というわけではないのですが、
来院されるとなかなかに手間ひまがかかる症例となります。

犬や猫だと、サラダ油などで洗った後(べたべたの成分は油に溶けます)、
洗剤で洗う、というのがセオリーです。

そのまま洗剤をつけてもべたべたは溶けてくれませんし、
間違ってもハサミやバリカンなどを使ってはいけません(一発で使えなくなってしまいます)。

猫だと、本人もパニックになっていますので、
鎮静剤をうったりしてからでないと、院内を走り回られると、
あちこち大変なことになってしまいます。

ハムスターもたまに引っかかってやって来るのですが、
体が小さいために、サラダ油で洗う方法は使いにくいです(窒息してしまいそうです)。

そのため、一時的に小麦粉を身体中にまぶし、
ネズミ捕りの成分を小麦粉で覆ってしまい、べたべたしないようにしておきます。

体がべたべたしていると、歩こうとしても体が床にくっついてしまって全く動けなくなってしまうのですが、
表面がさらさら成分で覆われてくれれば、とりあえずの生活はできるようになります。

イメージ 1


画像のハムスターさんも、来院時は箱の底にへばりついて動けない状態だったのが、
なんとか立ち上がって歩けるようになってくれました。

あとはべたべた成分が小麦粉とくっついて落ちてくれるのを待つだけですが、
小麦粉が先に落ちてしまうと、またべたべたして動きづらくなってきますので、
定期的に小麦粉をかけておいてもらっておくように"指導"しておくことになります。

それにしても、ネズミ捕りに引っかかった動物の治療というのは、
サラダ油を使ったり、小麦粉を使ったりと、
治療というよりは何かの料理をしようとしているようにしか見えないものですね。

※転載・リンクはご自由にどうぞ
先週は、珍しいことに椎間板ヘルニアの手術が2件入りました。
どちらもダックスフンドでしたが、椎間板ヘルニアは、
ダックスフンドで特に起こりやすい病気です。

椎間板ヘルニアになると、椎体と椎体の間にある物質が脊髄のところに出て来て、
神経を圧迫して後肢の麻痺など神経症状を起こします。

軽度の場合であれば内服だけで様子を見る場合もありますが、
起立不能の状態までなると、手術をしてヘルニアを起こしている物質を、
取り除いてあげることが推奨されています。

ところで、予後に関してもっとも大切なのは、
麻痺と神経症状の重篤さです。

グレード1~5まで分かれているのですが、
うちの病院で手術を考慮するのは、

グレード3:後肢の完全麻痺
グレード4:後肢の完全麻痺+排尿のコントロール不能
グレード5:深部痛覚なし

の状態です。

中でも一番大切なのは、「深部痛覚」があるかどうかです。
深部痛覚と言うのは、足の指の間を爪でぐいっとつまんで、
痛がる様子を示すかどうかです(足を引き戻そうとするのは「引っ込め反射」です)。

深部痛覚がないほどの症状と言うのは、脊髄の圧迫・障害がきわめて重度であるということであり、
脊髄の中を通っている神経繊維が断裂している可能性があります。

グレード3などのまだ軽度な状態で、一時的な神経障害がおきているだけであれば、
治療後の予後がいいことが期待されますが、
グレード5の場合は、手術がうまく行ったとしても、
後肢の麻痺は後遺症状として残ることが多く、
手術をしたものの一生下半身不随になったり、カート生活になったりという場合も多いです。

そのため、グレード5の場合、まず伝えるべきことは、
神経障害が重度で、リハビリが今後長く必要であるということです。

それプラス、グレード4以上の場合は、障害を受けた脊髄が壊死して来て、
「脊髄軟化症」という状態になって、動物が術後に亡くなってしまう可能性もあるので、
それも伝えておかなければいけません。

先週手術した二頭の犬は、グレード5の子の方は手術をした後も足は動かせず、
一週間後の退院時でも、立たせるとわずかに足に力が入る程度でした。

それに比べ、グレード3の子の方は、手術前は後肢の完全麻痺となっていたのですが、
術後2日目には立ち始め、3日目には何もなかったかのように、
すいすいと歩き回る状態まで神経が回復して来ていました。

退院時にはプロプリオセプションという、一番最初に障害される反射すら戻っていましたので、
実質、後遺症状はまったくない状態まで回復してくれました。

同じことをしても、予後がまるきり違うというのが椎間板ヘルニアの手術なのですが、
一番大切なのは、現状をしっかり説明して、
飼い主さんに納得してもらうということです。

説明がまずいと、恨まれて終わったり、
術後に亡くなって30分以上罵倒されることになる(実話です)、
ということになりかねませんので、
しっかり説明した上できっちり治療する、ということが大切な病気です。

グレード3の子は、治療したこちらもビックリするくらい良くなってくれましたが、
いつもこんなにうまく行ってくれればと思うばかりです。

元気に歩いてくれるようになる子もいるからこそ、
がんばって手術するモティベーションにもなるのですけれども。
アトピーと言うのは、皮膚がぼろぼろになってしまい、
動物もひっきりなしにぼりぼりと皮膚をかくという、
飼い主さんにとっても動物にとっても辛い病気です。

獣医師にとっても、コントロールが難しかったり、
ステロイドを減らせなかったり、飼い主さんに不満を持たれやすかったりもしますので、
よくある病気でありながら、けっこうやっかいな病気ではあります。

今までは、僕の病院では食餌療法と内服薬、シャンプー療法などでコントロール、
というのが基本だったのですが、
最近、新しい治療の選択肢を取り入れ始めました。

それは、「減感作療法」という治療です。
これは分かりやすく言えば、
低用量からアレルゲンを注射していき、
用量を次第に上げていく事によって、体をアレルゲンにならして行く、
というものです。

主なメカニズムは、IgGの増加とTh1/Th2バランスの改善です。

アトピーの時にメインのアレルギー関与抗体となるのはIgEです。
IgGというアレルギーに関与しない抗体を増やす事によって、
アレルギー関与抗体であるIgEにアレルゲンが補足される前に、
アレルゲンを吸着してしまうと言う事が理論の一つです。

もうひとつのTh1/Th2バランスというのは、もう少しややこしい話です。
体の免疫は、
Th1:細菌・ウイルスへの免疫
Th2:カビ・アレルゲンへの免疫
がバランスをとっている事によって成り立っているのですが、
アトピーの時は、Th2側に免疫が傾き、
免疫がアンバランスになっていると考えられています。

減感作療法によって、Th1側にバランスを戻す事によって、
アトピーの症状を改善させる事が期待されます。

減感作療法の注意点は、
アレルゲンを注射して行きますので、
アナフィラキシーなどの副作用に注意しながら行っていかなければならない、
ということがひとつです。

成功率は60〜80%と比較的高いのですが、
長期の細菌感染も併発して来ていると、
免疫バランスはTh1側に傾いて来て、体の免疫バランスが複雑になって来ており、
減感作療法には反応しにくいとされています。

そのため、適応症例は、
5才以下で、赤い炎症を持っている、
まだアトピーの初期の段階の症例です。

高齢化して来ていて、細菌感染が長期化して来ているような症例では、
反応が弱い可能性があります。

ネックは、手間ひまと初期費用がかかる事です。
まずIgE検査をして、アレルギーの原因を調べた後、
その結果を元に、減感作薬を作成します。

減感作薬を作成したら、約9ヶ月間かけて、
低用量から開始して、徐々用量を増やして行きながら、
計26回、スケジュールにそって注射をして行きます。

最初は2日に一度から始めますが、
徐々に間隔は開いて行きます。
最終的に1ヶ月に一度くらいになれば、
飼い主さんも楽になるのですが、
それまではかなりまめに来てもらわなければいけませんので、
飼い主さんにとってもけっこう大変と言えば大変ではあります。

手間ひまもかかりますし、お金もかかりますので、
飼い主さんに決定してもらう前に、
じっくりしっかり説明して、よく理解してもらう事が必要不可欠です。

それなりの覚悟をしてもらわなければいけませんので、
初期投資と手間ひまをかけてでもなんとかしてあげたい、
と思ってくれる人でなければ有力な選択肢にはなりにくいです。

今のところは、まだ始めたばかりですので、
成果と言うのはこれからですが、効果は期待できますし、
根治まで持って行ける治療法と言うのはこれ以外にはなかなかありませんので、
勧められる患者さんには、積極的に勧めて行こうかと思っています。

アトピーの動物を飼っている方で、興味のある方は、
http://www.sequo.jp/~narai/
をご覧下さい。
ちなみに、僕はもう少し実績を積んでから登録しようかと思っていますので、
まだリストには登録しておりません。

※動物と飼い主さんの設定と描写には、修正を加えています。
 傑作、ランキングをクリックしていただけますと、うれしい限りです。
 転載、リンクはフリーとさせていただきます。

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