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久しぶりの読書録更新。
最近、「赤毛のアン」シリーズをはじめとするモンゴメリ作品を
手元に置いて愛読している日々ですが、病院近くの書店でこの本を
見つけてふと手に取ったところ、「若草物語熱」も再燃してしまいました。
私の年代では「アン」や「若草物語」を愛読してるという方は少数派かも
しれないのですが、このいわゆる「家庭小説」が私は大好きです。
オーガンジーやボイル、モスリンなどのドレス。
プディングやパイ、様々なベリー類のジェリー。
そして健全で、口うるさくも愛すべきさまざまの人たち…
ことに説教や教訓っぽさがあまりない(後年、アンを異様に持ち上げてて
若干違和感もありますが)ところ、モンゴメリ作品の方が好きだったのですが、
若草物語も、初めの贈り物がないクリスマスに姉妹で文句をいう出だしから、
初めてのパーティや文中劇、隣の少年ローリーとの出会い等々面白い
小説に違いなく、やっぱり時々読み返していました。
で、この本。作者ルイザ・メイ・オルコットの生涯をたどった伝記小説ですが、
帯のあおり通り、ある意味、作者の家族をモデルにして書いた若草物語以上に
波乱万丈で、とっても面白かった。
特に、「若草物語」では全くの聖人のようだった「お父様」が「元祖ヒッピー」
みたいな、奇妙な先進思想に家族を巻き込んで苦しめたり、物語にはできない
ような凄惨な生活苦、そしてそんな「お父様」と「お母様」の長きにわたる葛藤…
「お母様」も教育のある名家の娘だったこともあり、気が強く、知人と口論に
なることもあったようで、ただ、他者に尽くすこと、家庭を守ることについての
意思は確固としており、娘の理解者でもあり、その部分はしっかり「若草物語」
の「お母様」の中に描かれていたようですが…
そんな中でかなり若いころから、家族の生活を自分が背負う決意で生きる
ルイザはやっぱり立派。
家族のためだけではなく、南北戦争の看護婦になって、傷ついた兵士に献身な介護をし、
そのとき壊した体調が良くなることなく、モルヒネやアヘンで痛みを紛らわしつつ
書き続けたすごい人だった、みたいですね。
続・若草物語の三女ベスの死を看取る場面は今読んでも、ぐっと来ます。
この部分はかなり実体験から感じたことをそのまま描いたみたい。
すぐれた物語作家であったとはいえ、この「妹の死」はルイザの人生にとって
もっとも衝撃的な、人生観を変えてしまうほどの事件だったんでしょうね。
そして、その時感じたものそのものをそのまま書くことこそ、100年の後も
人々の心を動かす文章になるだろうという事を知っていたのかもしれません。
今回、久しぶりにこの部分を読んで、死んで行くベスの生き方の美しさと、
すべてを見よう、受け止めようとするジョーのやり取りに、改めて泣いてしまいました。
私もベスのように、周りに明るさを与えて生きられたら…
「若草物語」には別項でまた書きたいと思いますが、年月を経てもあせない
良さを持っている名作だなあと思います。
映画版だと、最近はウィノナライダーが主人公・ジョーを演じたものが内容に
忠実だけど、私は姉妹の順番が変わってたり、話を部分部分はしょっててても、
ジェーン・アリスンがジョー、エリザベス・テーラーがエーミーを演じた古い
映画を今も愛しています。
ルイザは、家族を愛しながら、一人で都会で暮らす生活も愛し、実際は実家と
一人暮らしの家を往復しながらの暮らしだったというのも意外でしたが、
何にしろパワフルな女性だったみたいです。
そうそう、モンゴメリはオルコットの作品を愛して、後年、ボストンに行った際に
彼女の住んでいた家を見たりしてるんですが、作品のカラーが全然違ってて、
今でいうところの「リスペクト」なんてしないで、ちゃんと自分の家庭小説を書いたとこ、
すごいなあと思います。
ただ、意識していたのか、あえて作中で「若草物語」には全く触れていなかったですね。
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