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ある時
賢人として知られる社会改革家が彼に
世界が変わることを望みますか
と聞きました
彼はその言葉を奇異に感じ
世界で初めて発された類の質問と受け止めたのでしょう
カナダ人らしく驚いたふうに笑い
「いいえ、私は今の世界が好きですよ」
と答えました
哲学者なら
この言葉を聞いて
彼には豊かな何かがあるとわかるでしょう
私は、彼の中に
私が一度も会ったことのない人がいると感じています
でも私には
それがシェークスピアの賢さなのか
子供の単純な無知なのかがわかりません
洗練された詩的な心を持つ
愚行の塊にも見えます
私はある町の人から
頭にぴったりの小さな帽子をかぶり
口笛を吹いてコンコードの町を散歩する
彼の姿を見た時の印象を聞きました
彼は
変装し
お忍びで外出した
王子のようだったと言います
(社会改革家はおそらくエマーソンのこと。「彼」はソローが敬愛した人間の野性味の代表で、「森の人」アレックス・セーリエン。カナダからアメリカに出稼ぎに来ていた、木こりと杭作りを職とする純朴で勤勉な青年。身なりは貧しく、立居振る舞いは優美でもの静か。ユーモアと満足にあふれた、混じりけのない笑顔を浮かべる斧の名手だった)
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