イタチムシ

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 本日、「岩波講座 生物学 [動物学] 輪蟲類 腹毛類」(菊池健三,岩波書店)が届きました。
 30ページの古本で1,200円で購入しましたが、この本自体には定価が記載されておらず、当時の値段は分かりません。昭和6年5月20日発行です。

 この本に以下のような記述があります。
「岩波講座 生物学 [動物学] 輪蟲類 腹毛類(菊池健三,岩波書店)」:腹毛類(p28)

神經は咽頭の前部の背面及び側面をつゝんで腦がある。腦からは神經が後方に二本および頭部の觸感器に出て居る。感覚器は大部分の種類では頭部にある觸感器のみであるが、Chaetonotus では腦に一個のレンズ様のものあり、とくに Chaetonotus brevispinosus では腦に接して二對の黒色の點がある。これ等は眼であるとかんがへられる。
※ 注意:出来るだけ原文のまま引用していますが、入力できない漢字は当用漢字に置き換えています。

 記述されている事を信じるならば、どうやら「口器からまっすぐ腹部の方に伸びている食道のような器官の頭部部分(咽頭)」の周囲に脳があり、そこに眼のようなものが存在する種があるようです。
 ただ、「Chaetonotus では腦に一個のレンズ様のものあり」とありますが、これがたとえば(こう呼んでよいか分かりませんが)左脳と右脳のそれぞれにあるのか良く分かりません。もし一つだけだとすると、中央にあることになりそうです。
 さらに、「とくに Chaetonotus brevispinosus では腦に接して二對の黒色の點がある」とありますので、これに限っては「脳に接して二点の黒点がある」ことは明確で、恐らく左右にあるのでしょう。ただ、具体的にどこにあるのかは分かりません。
 
 眼がありそうな種がわかりましたので、さてさてと気を良くし、ネットで C. brevispinosus に関するコンテンツや画像を探したのですが、適当なものが見つかりませんでした。(見つけた方教えて頂けれるとうれしいです)
 また、先に購入した「川村日本淡水生物学(上野益三,図鑑の北隆)」にもありませんでした。

補足画像

- Chaetonotus brevispinosus
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/0d/86/pphotoex/folder/751073/img_751073_14614805_34
※(出典:「岩波講座 生物学 [動物学] 輪蟲類 腹毛類(菊池健三,岩波書店)」)
本書に掲載されていたC. brevispinosus の図をスキャンしたものです。
小さな黒点が口器の両脇にあります(補足画像では良く分かりません…)。
また、眼のありそうな位置には、白丸の中に点を打った様なものもあります。
どちらかが記述されている「腦に接して二對の黒色の點がある」に該当するのかもしれませんが、書籍中にそういった記述はなく定かでありません。

- 「岩波講座 生物学 [動物学] 輪蟲類 腹毛類(菊池健三,岩波書店)」の表紙
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/0d/86/pphotoex/folder/751073/img_751073_14614805_35
 イタチムシの眼を見つける為に、『川村日本淡水生物学(上野益三監修)』の入手を9月3日に目論見ました。
 目的は、『光覚を司るとみられる色素点がどの辺りにあるのかを知りたい』と思って事でした。
 この書籍を日曜日(9日)に入手しました。
 
 イタチムシに関する章では、Chaetonotidae と Dasydytidae という2科についての検索表と、Chaetonotidae の中の 5属の検索表が掲載されていました。
 しかし、この検索表には、『光覚を司るとみられる色素点』についての記述はなく、「どういった種」が「どこに」その色素点を持つのかを知ることは出来ませんでした。つまり、購入目的は達成できませんでした。少しがっかりはしたのですが、この書籍は買ってよかったと思っています。

 ところで、冒頭の「新版の序」によると、購入した『川村日本淡水生物学(上野益三監修)』が出版される55年前の1918年(大正7年)に、川村多實二先生ひとりの手によって「日本淡水生物学」上下2巻(初版)が出版されていたようです。そして、色々な経緯を経てその書籍の改訂ではなく全面的に書き改めた形で『川村日本淡水生物学(上野益三監修)』は出版されたようです。なぜ「川村」と付くのか不思議に思っていたのですがこの流れによるようです。(経緯について詳細は書きませんが、「新版の序」に触れられている当時の物語を映画で観たいなとしみじみと思いました)
 
 最後に、イタチムシとは関係ありませんが、『川村日本淡水生物学(上野益三監修)』にはクマムシ(緩歩動物)の検索表が付いていたりします。
 昭和48年11月25日に初版発行されているのですが、今ブーム(?)のクマムシの観察がこの時には既に行われていた訳です。大きさや特徴(愛らしい!)からいって当然かもしれませんが、意識していなかっただけに、純粋に感動してしまいました。川村先生の「日本淡水生物学」は手元にないので憶測ですが、恐らく間違いなく川村先生もクマムシを観察したことでしょう。そのとき、どんな表情で顕微鏡を覗いていたのでしょ。フフフ。

イメージ 1

 古本屋さんで「無脊椎動物 採集・飼育・実験法(佐藤、伊藤)北隆館」を手に入れました。

 この本の腹毛類(Gastrotricha)の解説の中にイタチムシの種類が文章中にちりばめられていました。
 情報収集しやすいように、それらの種を拾い出して、Google検索のリンクを加えたものを以下に列挙しておきます。(他に見つけたらそのつど加えます)

イタチムシ(学名:Chaetonotus nodicaudus
ウロコイタチムシ (学名:Lepidoderma squamatum)
・ ケートノツス・ヒストリックス(学名:Chaetonotus hystrix
・ ケートノツス・トルンカツス(学名:Chaetonotus truncatus)
トガリオハダカイタチムシ(no hit)(学名:Ichthydium forficula)

追記

- イタチムシ科(Chaetonotida) の下の4つの Family に属するものはすべてイタチムシの仲間と考えてよさそう。ただ、全ての種が日本あるいは、僕のホームグランドの池にいるというわけではないだろう。(日本には、上であげた種しかいないのか、それ以上いるのかも現在分からないです)


 今のところ同定のための検索表あるいは検索が可能なコンテンツが見つからない。
 あらゆる生物の検索表は、インターネットで公開されるとよいのだけど、そういう時代はこないのだろうか。
 このところイタチムシの記事を連続投稿しています。この理由は、イタチムシに眼があるのかという疑問を持ったことにはじまり、いたちむしさんから、『眼がある種がいるらしい』という情報を得たので、それを確認してみたいが為です。

 経緯は次の通りです。
 まず、9月1日に、「イタチムシの仲間 −Chaetonotus」という記事を投稿し、そこで『写真や動画を良く観ると口のような器官があるのが分かりますが、眼のありかは分かりません。眼はないのだろうか?』と書きました。色々と調べたけど分からなかったので、この疑問をいたちむしさんに伺ってみることにしました。同時に、再度観察もしてみました。すると、眼らしきものをもった個体を見つけました。(次の写真)

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/0d/86/pphotoex/folder/751073/img_751073_14614805_31

このことをいたちむしさんにも追加報告しました。すると、次のような答えを頂きました。
究極水田のプランクトン:「水田プランクトン質問コーナー」:

本棚の『川村日本淡水生物学(上野益三監修)』の腹毛類(斉藤 勲(著))を確認しましたところ、
「種によっては頭部に色素点があり、光覚を司るとみられる。」この情報を信用しますと、
眼のない種もいるようです。

pphotoexさんの写真で、確認したい点がありまして、写真の眼の位置がちょうど、
頭部の外側の長い毛の束の生え際にあたりまして、もしかすると、毛穴であるような
気も。あの写真の眼の内側(右側)にも、楕円の眼のようなものが見えますよね。
 
 「なるほど!」と、毛穴かもしれないと再度観察をしてみることにしました。

 翌日の9月2日に『イタチムシの仲間(その2) −Chaetonotus』という記事を投稿しました。ここでは、『9月1日に観察した固体の種とは恐らく異なる種を見つけた』ことを書きました。この個体は体の背中側にかなり剛毛が生えていました。しかし、どんなに観察しても眼らしきものが見つけられません。この為、剛毛が生えているように見える種は眼がなくて、そうでは無い種には眼があるのかなと仮説を立てました。同時に、私が利用している実体顕微鏡では剛毛が生えているかどうかの判別ができませので、次に剛毛が生えていない種に出会うには時間が掛かるかもしれないと思いました。
 ここまでが、昨日までの経緯です。

 で、本日、別の個体を見つけることができたので再度観察しました。
 すると、剛毛が生えているイタチムシでした(といっても少し剛毛の感じが違うようにも見えます)。ちょっとがっかりしたのですが、良く観てみると、先日見つけた眼らしきものがあるイタチムシと同じ位置に、眼らしきものがありました。(これにより、昨日立てた仮説は崩れました。f^^;)
 次の二枚の写真です。

▼ 側面から頭部を撮影した写真
イメージ 1

▼ 背面から頭部を撮影した写真
イメージ 2

 赤い矢印の先にある球状の箇所が眼らしきものです。
 この写真だけだと、毛穴がピントの合い方によって球状に見えているだけなのかどうか分からないので、それぞれの動画も撮影しました。次の二つです。

▼ 側面から頭部を撮影した動画


▼ 背面から頭部を撮影した動画


 共にピントが合っている面を前後させながら、撮影しています。理由は、毛穴が球状に見えているのか判断可能にするためです。しかし、この動作を行い顕微鏡で直接鏡検していても、毛穴なのかどうか、はっきりと僕には分かりませんでした。(動画は、解像度が低いのでさらに分かり難いと思います)

 もし、赤い矢印の先の球状のものが毛穴だとすると、ピントを前後させる動作の中で球状の箇所からピントが外れる際、毛(剛毛)であることが分かるような状態になりえます。この状態の変化は、他の剛毛の様子をみていると良く分かると思います。しかし、毛の生えている向きの影響かもしれませんが、眼らしきものは、毛であるとはっきり言えるような状態に綺麗に変化しませんし、他の剛毛の中にこの「眼らしきもの」と同じような状態の変化をするものが見当たりません。

 悩ましい状況になりました。『川村日本淡水生物学(上野益三監修)』を手に入れてみようと思っています。『光覚を司るとみられる色素点』が、どの辺りにあるのかが分かるとよいのですが。

イメージ 1

解説

- 先日投稿したイタチムシと、種が違うものと思います。こちらはかなり剛毛で、体長も長いです。

- 分類:腹毛動物門>イタチムシ目
- 淡水プランクトンのページ:「イタチムシ
- 微生物デジタル標本館:「Gastrotricha: Chaetonotida: Chaetonotidae:Chaetonotus
- 池水の中にいました。

動画

側面から撮影した頭部の動画です。

(口器に球状の器官が存在するように見えますが、なんであるか良く分かりません。単なるゴミかもしれません。)

▼ 動画の補足画像
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/0d/86/pphotoex/folder/751073/img_751073_14614805_33
側面から頭部を撮影したものです。

雑記

 眼の存在を確認するため、再度イタチムシの観察にトライしました。
 しかし、今回見つけたイタチムシは、先日投稿したものとは(恐らく)別の種ですが、前回のイタチムシで見つけた眼らしきものが見当たりませんでした。イタチムシさんのおっしゃるように毛穴だったのかもしれません
 余談ですが、偶然、側面を向いてくれた個体の口器を良く観ると、球状の器官のようなものがありました。これが眼にあたるものか、まったく別のものであるのか、さっぱり分かりません。ただ、あまりにも食事をするのに邪魔な場所にあるし、一枚目の写真にはまったくそれが見当たらないので、ゴミのように思えます。
 引き続き、イタチムシの観察が続きそうです。

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