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p.104-6 聖なる文書についてのイレナイウス(A.D.130頃〜202)の発言
わたしたちはこの物語の冒頭で、初代教会の長老や著作家たちが彼らに伝えられた正典文書に関する言い
伝えを書き残した場合にはそれを適宜引用する、と約束した。その一人はイレナイウスであった。ここで
彼の言葉を引用しよう。まず、聖なる福音書については次のとおりである。
「マタイは、ヘブル人のために彼らの言葉で福音の文書を著わした。それはペテロとパウロがローマで
伝道し、教会の基礎をつくっていた頃である。この二人が[天に]出立した後、ペテロの弟子で通訳のマル
コも、ペテロが教えたことわたしたちのために書き残した。パウロの同行者ルカも、パウロが教えた福音
を書物にした。ついで、主の弟子で、主の胸によりかかりさえしたヨハネも、アジアのエペソに滞在した
とき、福音書を公けにした。」
前述のイレナイウスは、これらのことを先に引いた文書の第三巻で語っている。彼はその第五巻で、『ヨ
ハネの黙示録』と反キリストの名の数について次のように述べている。
「事情はそういうわけであり、この数がすべての真正な古い写本に見出されるのだから、そしてヨハネ
に直接会ったことのある人たちが証言しているのだから、獣の名の数が、ギリシア人の数え方によって、
その中の文字で現わされているのは明白である。」
彼はその先で同じ問題について語る。
「それゆえに、わたしたちは反キリストの名について何か断言するような危険は冒さない。しかし、も
し今ここでその者の名をはっきりと告げる必要があれば、その黙示を見た[ヨハネ]がそれを告げていただ
ろう。なぜならば、それが見られたのはそれほど昔ではなく、ドミティアヌスの治世の終わりで、殆どわ
れわれの世代のことだったからである。」
イレナイウスは『黙示録』についてこのように語り、さらに『ヨハネ第一の書簡』に言及し、その中から
多くを引用している。『ペテロの第一[の書簡]』も同様である。彼は『牧者』の文書を知っていたばかり
か、それを受け入れ、次のように言っている。
「さて、[聖なる]文書が次のように言っているのは正しい。すなわち、神がすべてのものを創造し組み
合わされた方である、ということをまずもって信じるのだ、と。」
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