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p.119-120
聖なる長老ピオニウスとその仲間の殉教
『彼は磔木の上にはりつけにされて高く上げられた。彼の後で、マルキオン派の長老であったメトゥロド
ロスも同じようにされた。ピオニウスが右に、メトゥロドスが左に立てられたが、二人とも東方を向いて
いた。火を燃やすための薪が運ばれ、彼らのまわりに積み上げられると、ピオニウスは両目を閉じたの
で、群衆は、彼が息をひきとったものと思った。しかし、実際は、彼はひそかに祈っていたのであり、祈
りを終えると、目を開いた。薪組の炎が高く上がると、喜びに満ちた顔で最後のアーメンを唱え、「主
よ、私の魂を受け入れて下さい」と語った後、(息を)吐き出すように、静かに、苦痛のようすもなく、
息をひきとり、自分の霊を父の手に委託した―父は、不正な有罪判決を受けたすべての血と魂を守ること
を、契約してい給うのである。
幸いなるピオニウスは、このようにして生涯を全うした。彼の生涯は、非の打ちどころがなく、咎めよう
がなく、不滅であった。彼は、全能なる神と、神と人との仲保者なる我らのイエス・キリストに、常にそ
の思いを向け続け、このような最期を迎えるにふさわしい者とみなされたのである。そして、大いなる戦
いに勝利を収め、狭い門を通って広く大きな光へと達したのである。彼の(勝利の)冠は肉体を通しても
明らかにされた。火が消えた後、その場に居た我々の目には、彼の身体が、活躍中の、みなりを整えた運
動選手の身体のように、見えたのである。また、彼の耳は全く損なわれておらず、頭には髪の毛も生えて
おり、顎は生え初めた産毛でおおわれているかのようであった。―その上、彼の顔は再び輝いており―驚
くべき(神の)恵み!―、これを見て、キリスト教徒はその信仰をますます強められ、信仰なき者たち
は、狼狽し、良心に恐れを覚えつつ、帰って行った。』
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