水に降る雪のブログ

小さな四角い窓から外を見ているだけだった母が自分を見てほしいと感じて始めたブログを私が引き継いで書いていこうと

母の日記から

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ひとりぼっちのメイをみんなが心配した日

3月4日


昼休けいの運動場でタツがメイを見つけた。

ひとりサッカーボールで遊んでいたらしい。

「いじめられてるんじゃないか?」

と思って、兄として見過ごせなかったのだろう。

タツが相手をしてやったらしい。

ほかの6年生も相手になってくれて、

サッカーをしてもらったそうだ。



帰ってからメイが、

「おれ、1点入れたんでえ。」

と、得意げに言った。


すると、そばにいたシンが、

「6年生がわざと負けてくれたんじゃあや。」

と意地悪を言った。


こんどは、わたしが、

「あんまり言うと、6年生の心づかいが無駄になっちゃうよ。」

と、シンを軽くたしなめたら

シンもそれきりそのことには触れなかった。


でも、ちょっとして、タツ兄ちゃんが帰ってくると

すぐに昼休みのメイのことを聞いていた。


シンも心配でしかたがないんだね。

ひとりぼっちのメイをみんなが心配しているんだ。




2日後。つまり3月6日。


メイに友だちがいないことをまだ家族のみんなが気にしている。


そんな、夕食のときにメイが、

「わたしに友だちは、いるでしょうかあ?」

「友だちは、だれでしょうかあ?」

と、クイズのように言い出した。

するとシンがすぐに反応して、

「大休けいにいっしょにサッカーしよったやつじゃろうが。」

と言うと、メイが、

「あれは、じゃましにきたんよ〜。」

と言った。パパが、

「へえー。メイは何して遊びよるんかと思ったら、サッカーしよったんかあ?」

と、おそるおそる聞いた。まるで腫れ物に触るみたいだ。


パパには答えず、メイがまた、

「さあて、友だちはいるんでしょうかあ?」

と聞いた。すると、シンがまた、

「おるんじゃろう?サッカーいっしょにしとった子じゃろう?」

と、メイに言い寄った。



「頼むから、いるって言ってよ。」と祈るように待っていると、

メイが、

「それでは正解です。答えは『め』がつく人です。」

シンが、

「えー?」「め?め?め?」

と、しばらく真剣に考えて、でもわからないものだから、

「名前なんか、わかるわけないじゃろうが。」「わかめちゃん!」

と、やけくそで言った。するとメイ、


「ちがいます。答えは、『メルちゃん』でしたあ。」
 
(*メルちゃん…メイのおもちゃの人形)


心配で、だから真剣に考えていたシンが切れた。

「そんなん、友だちって言わんじゃろうが。」「メイは…おっさんじゃけえ!」


言い合いになりそうになったので、パパが仲裁に入った。

それなのに、わたしは、

「メルちゃんでいいじゃん。何でいけんの?」

「それじゃあ、ワーくん(シンのワニのぬいぐるみ)もただのぬいぐるみで、

 友だち違うの?ハゼもただの魚なの?」

とメイの肩を持って、

シンに「家族同然じゃい!」と余計に怒らせて火に油を注いでしまった。


すると今度は一転、

パパがシンに味方したように、メイに言った。

「友だちができるようにって思うシン兄ちゃんの気持ちをメイが全然わからんけえよ。

 お兄ちゃんの心、妹知らずじゃ!」

と言って、責めた。

それを聞いて今度は、わたしがパパに言い返した。

「余計なお世話よ。友だちがいなくてもいいじゃないのよ!」



すると、メイの目が急に潤んだ。

声を出して泣き出した。

さめざめと泣いた。そして、涙がキラリと光って

ぽろりぽろりと、玉になってほほを伝わった。



「どうしたん?」

「何が悲しいの?」

と、わたしがメイの肩に手をあてて聞いた。


パパが立ち上がってメイを抱き上げ、

抱き寄せて奥の部屋に行った。


残されたわたしは唖然としてふたりを見送り、

シン兄ちゃんは俯いて泣いた。



みんな心配しているんだ。

メイに友だちがいないことを自分のことのように心を痛めている。

だけど、そのことでいちばん悲しい思いをしているのはメイ自身なんだよね。

強がって弱音は吐かないけど、

心の中では辛かったんだ。きっと。

だから泣いたんだ。

それなのに、わたしったら。



すると、しばらくして、パパだけがもどってきた。

なぜか、にやりとわたしにだけわかるように微笑んだ。

「なに???」と、わけがわからないでいると、

こうメモをして見せた。



「メイは、タイショウガニのことを思い出して泣いたのでした。ジャンジャン!」


タイショウガニというのは、夏に海でひろってしばらく飼っていた小さなイソガ二で、

1ヶ月は元気だったけれど死んでしまった。

もう半年も前のことでみんな忘れていた。と、わたしは勝手に思っていた。



メイはもどって来てケロリとしている。

さっきまで泣いていたのが嘘のように。

でも、意地悪なわたしは、

「悪いけど、シンにはもう少し誤解させておこう。」と思ったの。



P.S(メイ)

    7才のわたしには、仲よしがいなかったな。
     だけど、それでひどく寂しい思いはしなかったよ。
     たぶん、タツ兄とシン兄で十分だったからじゃないかな。
     そのうち男の子の友だちは何人もできたもの。
     きっかけはサッカーだった。たぶんね。
     相変わらず同性の友だちは、ひとりもいなかったけれど
     ちっとも寂しいとは感じなかったんだよね。
     自分で言うのは変だけれど
     男の子のような性格だったからだろうと思う。
     よく母に「メイは、さっぱりした性格だね。」と言われた。
     ほめられているようでうれしかった。
     
 
     そんなわたしも、高学年になったら
     女の子ともおしゃべりをするようになって
     友だちもできた。
     やっと女の子との付き合い方がわかったって感じかな。

     それなのに、どういうわけか私立の女子校に受かってしまった。
     父は勉強についていけないことを心配したけれど
     母はせっかくできた友だちと別れることをひどく心配していた。
     今度はほんとうにひとりぼっちになるかもしれない。
     わたしも正直不安だった。
     でも、なんとかなるものだ。
     こんなわたしにも友だちができたのだ。

     成績優秀で医学部志望、アニメおたくで、東方神起のファンで
     わたしと何も共通点がないようだけど、
     たまたまクラブがいっしょだけのつながり。
     頑固で男の子のような性格が合ったみたいで、
     クラスは違うのにいまだにお互い親友だと思っている。

     当たり前に、公立中学に進んでいたら、どうなってたんだろうね。
     男の子とも付き合って、人生を変えるような出会いもあったかな。
     恋に発展することもあったかもしれないなんて妄想も浮かぶ。
     でも、今は“嵐”に恋している状態だけど、それでも十分楽しいんだから


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