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割れたカップを拾うカオリの指先をヒカルは見ている
床に赤い滴が落ちる 「母さん・・指が・・」 「え・・ ?」 カオリの指が切れている、カップの割れ口で切ったようだ カオリはその指からしたたる血をただ眺めていた 「母さん、なにしてんの ? 早く手当した方がいいよ」 「・・・痛くないのよ・・」 「えっ ?・・・痛くないって ?」 「最近、なんか触感が薄れてるの、手だけじゃないわ、 体全体の感覚がなくなっていくみたい・・」 「どういうこと ?」 「物に触ってる気がしないし、誰かに触れられても気づかない・・」 カオリは血に染まった指で、気にすることなくエミの割ったカップを拾おうとする。 「よしなよ、俺がやるから」ヒカルがそれを制した 「・・・なんか・・夢の中にいるみたい・・ ねえ・・ これって夢なの ?」 トントントン カオリは血に染まった手でスプーンを叩く トントントン 「母さん、それやめてくれよ」 トントントン 「まだ分かるのよ、このスプーンの冷たさや、手に伝わる振動が・・ でも、日に日に薄れていくの・・その感覚が・・」 ヒカルは母親がスプーンを叩く理由を理解した 「医者に行ったほうがいい」 「行ったわ、大きな大学病院で検査も受けた、でもわからないのよ、その原因が・・・・ねえ、これってきっと夢よね・・・」 「ああ、生きてるなんて夢の中にいるみたいなもんかもね」 ヒカルは小さく笑いながらテーブルに倒された花を掴んだ 冷たい滴がヒカルの指先を伝う 「ねえ、母さん、この花、何色 ?」 「赤よ」 「そうなのか・・・俺はここにある全ての色が分からない・・・」 |

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