JOKER

自作の小説とイラストで・・・

DOUBLE SLITT

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全13ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

気が利く奴 <3>

夜は更けていく。
最高のワインの心地よい酔いと、"気が利く奴"
彼はすっかり上機嫌であった。
最愛の妻のいない寂しさなどどこへやら、モニターの男のまさに"気が利く"話し相手に時間を忘れた。
 
「私の部下がどんなに束になろうと、君ひとりにかなわんな、実に楽しい夜だ」
「それは恐縮です、どうです、こんな夜も悪くないでしょう、私も奥様のいない夜をいかに楽しく過ごしていただくか、それができれば満足です」
 
「私は遅くに結婚したから子供もいない。わがままな妻だが私にとってはかけがえのない宝だ。
あいつの喜ぶことならなんでもする。
それが私の人生だ」
 
「よく存じ上げております」
 
岡部氏はイタリアを満喫しているであろう妻に想いを馳せた。
 
「おお、そうだ、君は大事なことをひとつ忘れているぞ。
妻へのプレゼントだ。彼女の笑顔が私の最大の喜びだというのを知っているだろう、
何か考えていてくれているかね」
 
「ハハハ、やはりそうきましたか、もちろんですよ」
「そうか、そうか、さすがだ、それで何を ?」
 
「正直なところ、私もそれには苦慮しました。だって奥様ときたら、満たされないものはないくらいの暮らしぶりです。ちょっとやそっとのことでは、お喜びいただけないことでしょう。
でも、あるんです、奥様が飛び上がって喜ぶようなことが」
 
「ほう、ほう、それはなんだね、もったいぶらずに教えてくれ、"気が利く"友よ」
岡部氏の顔が上気する。
 
「はい、奥様は本当にお友達とイタリアに行かれたとお思いですか ?」
 
「え・・・?」
 
「果たして、二十も歳の離れたご主人に満足なさっているでしょうか」
 
岡部氏の顔が暗転する
 
「それはどういうことだ」
 
「奥様はイタリアで今頃、あなたよりはるかに若い殿方と楽しく過ごされております。
その男性とは、もう数年の付き合いがおありになります」
 
岡部氏の顔がみるみる形を変えていく
「そんなバカな ! !」
 
「奥様にとっての最高の喜びは、その殿方と一緒になることに他なりません。
それにはあなたは少々邪魔な存在なわけです。
ですから、私のブレゼントとは・・・・・・」
 
岡部氏は突然、喉をかきむしりだした。
 
「ご心配いりません、最も苦しみの短い方法を選ばせていただきました。
あと数秒であなたは安らかな眠りにつけることでしょう。
ご帰宅なされた奥様の喜びのお顔をお見せできないのが、私の心残りではありますが、
葬儀の手配も済ませてございます。
あなたはなんの心配もなさらずに、この世を去ることができるのです。
奥様の幸せは約束されました、お喜びください」
 
岡部氏は既に虫の息であった
かすかに聞こえるその言葉は
 
 
「・・・気が利きすぎ・・・だよ・・・」
 
 
 
<完>

気が利く奴 <2>

「誰だ、君は」 
「おや、お忘れになりましたか ?  夕べあなたに呼ばれた"気が利く奴"ですよ」
彼が唖然としていると、
 
「それより壁の絵はお気に召しましたでしょうか」
「壁の絵って・・・あれはキリコの"街の憂鬱"ではないか」
「そのとおり、あなたが欲しがってた、原寸大のものです。その辺のコピーものとは質感がまるで違うでしょう」
「ああ、素晴らしい !   これは君が ?」
「左様です」
「なんてよくできているんだ、まるで本物のようだ」
 
「あ、それから、ダイニングの方にロマネコンティをご用意してあります」
彼が振り返ると、そこには彼の好みの食事と共にその瓶は輝きを放っていた。
「これは55年ものではないか !  これも君が ?」
 
岡部氏はワイン通である、特にロマネコンティには特別の執着がある。
それにこの食事、そして、彼が欲しがっていた絵。
彼は改めてモニターに向き直ると、
「君は一体誰なんだ、なぜ私のことをこんなにもよく知っているんだ、初対面なのに・・・」
 
「ハハハ、言ったではないですか、私は"気が利く奴"だと」
 
岡部氏も少し事情が呑み込めた様子で
「なるほどそういうことか、確かに気が利いている、恐れ入ったよ」
 
「これはお気に召されて光栄です。それから昨日のトラブルの件も、私があなたの代理ということで処理しておきました。先方の方もご機嫌の様子で、一度あなたとお話しがしたいと申されておりました」
 
「それは有難い。いやいや何から何まで、ハハハ、君が気に入ったよ」
岡部氏は手を叩き、モニターに向かい笑みを浮かべた。
モニターの男はうやうやしく帽子を取ると、深々と頭を下げた。
 
驚きはそれだけに留まらず、岡部氏の欲求を次々と満たしていく。
痒いところに手が届くとはまさにこのことだろう。
彼が何も言わなくとも、彼の思うことは既に用意されていた。
まさに"気が利く奴"である。
 
「しかし、君はなぜ私の考えることがわかるんだい ?」
「はい、昨夜のうちにあなたに関するデーターは全て調べさせていただきました、
あなたのパソコンの履歴はもちろん、人間というのは、その筋肉の動きひとつとっても、欲求が隠されているものでございます。私にはあなたの要求がなんであるか、全て手に取るようにわかるのです。なぜなら私は・・・・」
 
岡部氏は満面の笑みを浮かべその言葉に呼応する
 
「"気が利く奴"だからです」
 
二人の高らかな笑い声が部屋いっぱいに響いた。

気が利く奴 <1>

岡部氏は今年で五十六になる。
そこそこの会社の役職、都内のニュータウンに一戸建てを構え、妻と二人暮らし、
子供はいない。
タミという使用人と犬一匹、まあ上流の部類の暮らしぶりである。
妻はかなりの美貌なのだが、岡部氏とは二十の歳の隔たりがある。
家事は全て使用人任せ、岡部氏の寵愛を一身に受け、何不自由のない自由きままな生活、
親子ほどの歳の離れた妻というのは、こうも愛されるものかと思えるほど溺愛されている。
溺愛 ?  そう、岡部氏の場合、愛妻家というよりは溺愛しているといったほうが当たっているかもしれない。
 
「え、イタリア ?」 
 「そうよ、あら、言ってなかったかしら」
「聞いてないよ、大丈夫なのかい ?」  
「ゆう子と一緒よ、彼女はイタリアのプロよ、心配しないで」
 
どうやら彼女は明日からイタリア旅行らしい、その準備に余念がない。
決してノーと言わない夫を尻目にウキウキ顔である。
「それよりあなたこそ、私がいないからって浮気しちゃダメよ」
軽くウィンクするその横顔は三十台半ばにしては、実にチャーミングだ。
夫も思わず苦笑いだ
 
風呂上りにバスロープをまとい、お気に入りのワインを手にすると電話が鳴った。
「ああ、私だ」 岡部氏の顔が少し曇る
「ああ、わかった、その件はこっちで処理しておく」
おそらく仕事上の軽いトラブルだろう、彼はため息をつくと、
「全く、いちいち指示を出さんと動けん奴ばかりだ、気がきかんなあ」
 
ソファーに腰を落とし、点けっ放しのパソコンのメールに目を通していると、面白い広告が載っている。
"ニューソフト「気が利く奴」 無料キャンペーン中"
 
「なんだ、これは」 モニターを覗くが仕事の疲れもあって目がかすむ、
彼は軽い気持ちでインストールをクリックした。
 
一瞬、モニターがフラッシュしたが、すぐに暗転した。
その後はすぐメールの画面に戻り、なにも起こらない。
「ただのイタズラか ?」 
彼はさして気にもせず、ワインを飲み干した。
 
翌日、帰宅した彼は妻のいない自宅を見回し、いつものソファーへと向かった。
腰かけようとした時、いつもと違うその白い壁を見据えた。
 
「え・・これは・・」
 
そこには一枚の絵が掛けられていた。
突然、テーブルの上のパソコンが起動し、声が聞こえてきた。
 
「驚かれましたかな ?」
モニターに一人の男が映し出される。
シルクハットに燕尾服、カイザル髭を生やした一人の紳士が。

アンドロイドエイジ

イメージ 1
 
人類は無機物の使用の時代から、
無機物との融合の時代に突入する

それに伴い、大きな概念の変換を強いられるだろう
われわれは既にアンドロイドなのだ

組み込まれたチップからの反撃を開始するには、
新しいパラダイムが必要だ

未来の社会は外界に存在するものではなく、
内界に展開するものとなる
イメージ 1
 
K君は病院を出たところでS子ちゃんと出会う
久しぶりに会った二人は立ち話をする
そこへ誰が投げたか知らないが石が飛んできてK君の頭に当たる
K君は頭に怪我をしてしまう

【結果】K君は怪我をする

さて、この【原因】を解明しよう

【原因】
1)病院を出た
2)S子と出会った
3)立ち話をした
4)誰かが石を投げた
5)K君の頭に石が当たった

1)〜4)は原因になるだろうか

病院を出たとしても怪我はしない
S子と出会っても怪我はしない
立ち話をしても怪我はしない
誰かが石を投げても怪我はしない

つまり原因は無限であって、原因とはならない
ただ、5)のK君の頭に当たったのみが【原因】となる

本当にそうか・・・・

【原因】と【結果】はどっちが先か
言うまでもなく【原因】である・・・因果とは時間差がなければ成立しない

5)を検証する
K君の頭に石が当たったのと怪我をしたのに時間差はあるか

石が頭に当たった時、すでに怪我をしている
怪我をしている時、すでに石は頭に当たっている

つまり、これは【同時】であり、因果ではない

★ 時間とはなんだろう ?

ニュートンは宇宙には運動に関係なく流れる「絶対時間」があるといった
これはアインシュタインの相対論によって否定されている
物体が光速に近づくにつれ、時間は遅くなる
つまり時間とは運動する物体に対する外界の変化の度合いなのだ
外界が「変化」しなければ、時間は消滅する

「変化」とは何か・・・「時間差」であり「因果」である

話を戻す

K君が頭に石が当たったのと、怪我をしたのは【同時】である
そこに「時間差」はないわけだから「因果」もない
「因果」がなければ「時間」は消える

全ての事象はこれに当てはまる
実は我々は【原因】を勝手に「想定」してしまっているのだ
全ては【同時】に起きている
そこにひとつの「流れ」を作り出しているのは、単に我々の認識に過ぎない

言うまでもなく「過去」は現存しない
言うまでもなく「未来」は現存しない

では「現在」を規定できるか

「現在」とは「流れ」ではなく「切り取られた一瞬」
そこに「時間」は存在しない

「時間」とは認識上の幻想にすぎないのだ

全13ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.
アバター
ぷり
男性 / AB型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(13)
  • rar*rar*do
  • あすかママ
  • kao*i2*ja*an
  • taku201zoo
  • 村山 典孝
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Yahoo!からのお知らせ

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事