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遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。更新が滞っていましたが(昨季のJリーグのデータもまとめなければなりません)、アジア杯が面白いので久しぶりに記事を書きます。
日本はサウジアラビアに5-0で完勝。この試合のサウジアラビアのスプリント数は37回。これはここまでの全22試合中(C組全日程終了時)ワーストの数字でした(ワースト2位は、カタール戦のクウェートの50回)。全力疾走が極端に少なかったわけで、サウジアラビアが全力を出さなかった、あるいはモチベーションがなかったことの表れでしょう。
1位通過のため、準々決勝はA組2位のカタールと対戦することになりました。ここ数年のイメージでは、実力ではカタールよりウズベキスタンの方が上のように思えますが、カタールは開催国のため大アウェーということになります。カタール戦の通算成績は1勝4分2敗で、まだ1回しか勝っていません。そこで、過去のカタール戦の成績を振り返るとともに、AFC発表のデータを使って、ウズベキスタンや他のチームと比較しながら、カタールは一体どれくらいの強さなのかを分析してみたいと思います。
カタールとの対戦成績■表1 オシムジャパン以降のカタール戦の成績■ オシムジャパン以降は3回対戦して、1勝2分(それ以前の対戦は2000年にまで遡るため、振り返っても無意味でしょう)。
このうち、前回のアジア杯1次リーグで対戦したときは、東南アジア開催だったためピッチ状態が悪く、攻めあぐねました。終了間際に直接FKを決められて引き分けましたが、被シュート数はわずか3本でほとんどピンチはありませんでした。
2試合目は、W杯アジア最終予選。アウェイながら3-0と快勝。この試合はそれまでの岡田ジャパンの試合の中でベストと言える内容で、ピンチはほとんどありませんでした。
3試合目は、その4日前にアウェイ・ウズベキスタン戦に勝利してW杯出場を決めたばかりだったので、完全な消化試合でした。この試合ではたびたびカウンターを受けましたが、失点はPKによるものでした。
3試合とも被シュートは少なく、失点は直接FKとPKによるもので、崩されての失点はありません。それほど対戦成績の悪さを気にする必要はないと言えるのではないでしょうか。
カタールの実力■表2 スタッツの比較■
*いずれもAFC発表のデータ。支配率、走行距離、スプリント数は3試合の平均値、その他については合計値。
次に、1次リーグ3試合のデータを比較してみます。ここでは、日本、A組4チーム、それからB組のヨルダンとシリアを取り上げました。
まず、カタールのデータで目立つのは、パス数が非常に少ないということです。A組4チームの中でダントツで少ないだけでなく、日本と対戦した守備的なヨルダンやシリアのパス数と比較しても、カタールのパス数がいかに少ないかがわかります。
一方で、日本のパス数は1263回とここまで最多。韓国が983回、オーストラリアが935回であることを考えると、日本のパス数は非常に多く、アジアではかなり高度なパスサッカーをやっていると言えるのではないでしょうか。カタールのパスの少なさ、そして、ここ3試合の対戦傾向を考えれば、日本は楽に支配できるはずです。
しかし、ウズベキスタンも1143回と、日本にひけを取りません。パス数とチームの実力が必ずしも比例するわけではありませんが、少なくともアジアにおいては、パス数は強さの基準にできると思います。そういう意味では、ウズベキスタンは侮れません。
もう1つのカタールの大きな特徴は、運動量が少ないことです。「走行距離」の101キロは、表の7チームの中ではクウェートに次いで少なく、「スプリント数」の69.3回は、最少です。
カタールとは対照的に、ウズベキスタンは「走行距離」と「スプリント数」が多いです。パス数の多さも踏まえると、ウズベキスタンはかなり手強いチームと言え、完全なアウェーであっても、日本にとってはカタールの方が戦いやすいと思います。
また、カタールの「クロス数」52回も、決して多い数字ではありません。つまり、カタールはパス数も運動量も少なく、あくまでも帰化選手を中心とした個人の能力に頼ったカウンターサッカーであると言えます。
守備面では、「タックル数」こそ多いものの、「インターセプト数」はかなり少ないです。タックル数は、必ずしも守備の強さを表わさないため(Jリーグでも守備機会の少ないチームは、タックル数が少ない傾向にあります)、インターセプトが少ないことは、守備がそれほど堅くないことを意味していると思います。
カタールは、ヨルダンとシリアに比べれば攻撃力はあるかもしれませんが、イメージほど強くはないと言えます。
日本が勝つには■表3 カタール1次リーグの戦績■
*「距離」と「スプリント」の「○」印は、相手より上回ったことを意味する。
カタールは初戦のウズベキスタンには敗れましたが、その後2連勝。面白いのは、その勝った2試合は、「走行距離」と「スプリント数」の両方で相手を上回っていて、負けたウズベキスタン戦は、「走行距離」と「スプリント数」の両方で下回り、かつ、支配率でも下回ったことです。ウズベキスタン戦では、ウズベキスタンのスプリント数102回に対し、カタールはわずか63回で、大きく下回りました。開催国の開幕戦というプレッシャーもあったでしょうが、ポゼッションも運動量も相手に圧倒されたと言うべきでしょう。
アジアカップのここまでの22試合中(C組全日程終了時)、「支配率」も「走行距離」も相手より上回ったチームは、9勝3分1敗(1敗はイラン戦の北朝鮮)と圧倒的な成績です。実は、南アW杯においても、この両方が上回ったチームは16勝10分3敗と非常に成績が良く、「ボールを持てて、かつ、相手より走れるチームは強い」ということが証明されています。
言い換えれば、ポゼッションも運動量も劣るチームはまず勝てないということです。スプリント数でも大きく下回ったカタールがウズベキスタンに負けたのは当然でしょう。
ここに日本勝利のヒントがあります。
カタールは「パス数」が非常に少ないので、日本の支配率が上回るのは確実です。また、カタールは運動量(「走行距離」「スプリント数」)が少ないので、1次リーグ3試合連続で「走行距離」が上回っている日本は、走り勝てるはずです。つまり、「支配率」も「走行距離」も上回るはずので、先程の「9勝3分1敗」のデータ、そしてカタール対ウズベキスタン戦の結果を考えれば、日本の勝利の可能性は非常に高いと言えます。とにかく走り負けないことです。
直近の3試合の対戦結果から、日本がまともに崩されて失点する可能性は低く、怖いのはカウンターとFKだけです。完全なアウェーにおける「主審の笛」を考えると、不用意なファールは避けるべきでしょう。
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素晴らしい分析ありがとうございます。
カタール戦での勝、そしてその後の韓国戦(?)にも勝ち、決勝に進んでほしい!!
2011/1/20(木) 午前 7:48 [ デザファマ ]
おもしろい分析で、興味深く拝見しました。
対カタールの通算成績が負け越している、完全アウェーである、などの点から、カタール戦への危機感が報道されていますが、私もカタールの今大会の試合の様子を見ていて、攻撃陣の帰化選手の個人技に注意すれば大丈夫と思います。
とは言っても、審判の笛なども含めて、アジアでは何が起きるかわかりませんから、日本代表には気を緩めることなく試合に臨んで欲しいです。頑張れ、日本!
2011/1/20(木) 午前 10:58 [ shiro ]
データ分析、大変面白かったです。
順当なら反対側は、豪かウズベクかな?
ともあれ〜あとは応援するのみですね♪
目指せ! アジア杯、4回めの制覇!!!
それこそがアジア最強の証w
2011/1/20(木) 午前 11:11 [ har*o*k_sa*a_2*01 ]
本田のいるいないだけが気になりますwww
今年も分析お世話になります。よろしくお願いいたします。
2011/1/21(金) 午後 7:00
>デザイナーズファーマーさん ありがとうございます。油断しなければカタール戦は大丈夫だと思います。その次がようやく「本番」という気がしますね。
2011/1/21(金) 午後 8:45
>shiroさん スタッツを見れば、カタールがそれほど強くないのは一目瞭然です。先制すれば間違いないでしょう。あとは審判ですね(笑)。
2011/1/21(金) 午後 8:49
>har*o*k_sa*a_2*01さん 今大会のオーストラリアは守備だけという感じがするので、決勝の相手はウズベキスタンのような気がします。何とかカタールには勝って欲しいですね。
2011/1/21(金) 午後 8:51
>B-Streamさん 本田の出場は多分大丈夫でしょう。柏木も捨てがたいんですけどね。今年もよろしくお願いします。
2011/1/21(金) 午後 8:54