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アウェイ・オーストラリア戦は1−1の引き分け。相手が1人退場し、勝てる試合でもありましたが、確実に予選突破を果たすということを考えれば、オーストラリアにアウェイで引き分けたのは十分合格点ではないかと思います。
せっかく試合前の記事(ブラジルW杯最終予選−対オーストラリア・空中戦への不安)で空中戦への不安を取り上げたので、実際に空中戦では劣勢だったのかどうかを、試合のビデオを見直して調べてみました。
普段は試合後にビデオを見直すなんていうことはしないのですが、こうしてじっくり見直してみると、試合中に自分が抱いていた印象とは結構違うことがわかりました。試合中・直後は、「90分を通じて劣勢で、負けていてもおかしくなかった(前半に試合を決められていてもおかしくなかった)」、「主審の判定が全体的に不安定だった」と感じていましたが、改めて試合を見てみると、「前半は危ない場面があったが、試合全体としては日本が優勢だった」、「内田のPKを除くと、それほどおかしな判定はなかった」という印象に変わりました。
自陣での空中戦 今回は自陣での空中戦のみを調べました。
■自陣での空中戦■
*空中戦回数の多い順。
基本的には、両方の選手がジャンプしている場合を空中戦と判断し、どちらが勝ったのか微妙な場合は(録画映像の画質を落としていたため)、オーストラリアが勝ったと判断しました。
自陣での空中戦回数は26回。アジアカップ決勝では、120分で空中戦は全部で60回。日本のディフェンシブサードでは26回、アタッキングサードでは8回でした。この割合を考えると、約70%は日本の自陣で行われたと推測でき、それを90分換算すると、アジアカップ決勝の自陣での空中戦回数は31.5回となります。この数字と比較すると、今回の「26回」という数字は、それほど多くなかったと言えるかもしれません。
選手別では、栗原が最も多くの空中戦を行っています。空中戦への不安があった今野の勝率の方が高いですが、これは基本的にディフェンシブサード中央付近での空中戦は、今野ではなく栗原が対応するという形を取っていたようなので、今野が難しいボールを競らなければいけない機会は少なくて済んだ、ということが要因だと思います。
また、サイドバックの空中戦回数はわずか3回。そのうち、2回は勝利しています(ともに長友)。このように、最終ラインで高さに不安のあった今野・長友・内田が、空中戦の機会が少なくて済んだことが、オーストラリアをPKの1失点で抑えたことにつながっていると思います。
自陣全体での空中戦勝率は54%で、一応勝ち越しています。エリア外では勝率63%とかなり優勢だったのは意外でしたが、エリア内では勝率29%と明らかに劣勢でした。このエリア内での空中戦勝率の低さを考えると、もしケネディがスタメンだったら危なかったでしょう。
オーストラリアのシュートの内訳■オーストラリアのシュートの内訳■
*「直接」は、クロス、CK、FKのボールが直接シュートに結びついた場合。
この試合では全部で15本のシュートを打たれました。相手が1人少ない時間が長かったことと支配率で上回ったことを考えれば、シュート数で下回ったことは反省材料だと思います。しかし、全15本中9本はセットプレーからのシュート(PK含む)で、流れからのシュートは4本しかありません。
改めてビデオを見てみると、予想していたほど危ない場面は多くありませんでした。危なかったシュートというのは次の5本だけだったと思います(終了間際のウィルクシャーの直接FKを除く)。
【前半6分】 ケーヒル(相手DFのクリアボールが日本のDFラインの裏に飛んで、川島と1対1。)
【前半19分】 ニール(FKからの2次攻撃となるロングボールが、エリア内に残っていたニールにこぼれる。)
【前半19分】 アレックス(ニールのシュートのこぼれ球に詰めるが、栗原が神クリア。)
【前半20分】 カーニー(直後のCKのこぼれ球を、エリア内に走り込んできてシュートするも、日本の選手に当たりブロックされる。)
【後半32分】 オグネノブスキ(CKからの2次攻撃。ゴールポストに当たる。)
この5本のうち4本はセットプレーです。前半6分のケーヒルのシュートは、DFのクリアボールが結果として絶妙なロングパスになったというだけで、決して崩されたわけではありません。
また、前半には全部で10本のシュートを打たれていますが、前半20分のカーニーのシュートが10本目に当たり、これ以降、後半32分にオグネノブスキに打たれるまでは、まともなシュートを打たれていません(後半10分:ミリガン退場、後半25分:PK、後半31分:カーニーの枠外への直接FK)。その後に打たれたシュートは、後半38分のアレックス(流れからエリア内で打たれる)と後半46分のウィルクシャーの直接FK(川島がファインセーブ)の2本だけですから、前半20分以降は日本が立ち直って優勢だったと言えます。仮にミリガン退場がなくても、前半20分から退場まで、1本もシュートを打たれていないことから、十分守れていたと予想できます(点が取れなかった可能性はありますが)。
一方、ヘディングシュートはわずかに2本だけでした。前半13分にFKのボールを直接ケーヒルが合わせ、前半17分にクロスのボールを同じくケーヒルが合わせています。この2回とも栗原が競り負けていますが、日本のゴールを脅かすようなシュートではありませんでした。セットプレーのボールを直接合わせられてシュートを打たれたのも、この前半13分の1回だけした。
実は、空中戦で負けたことが直接的・間接的にシュートに結びついたのは、15本中3本だけ。「直接的」は上記のケイヒルの2本。「間接的」は、あの栗原の神クリアの場面でした。FKのボールを一度はクリアーしましたが、それを拾われ、もう一度エリア内に放り込まれたときです。そのボールをケーヒルと長谷部が競り合いましたが、ケーヒルが競り勝ってエリア内に押し込み、残っていたニールに決定的なチャンスを与えてしまいました(今野も長谷部と一緒にケーヒルと競ろうとしてしまい、ニールをフリーにさせてしまった)。
日本の守備で問題だったのは、こうした「セットプレーからの2次攻撃・こぼれ球」(15本中5本がこのパターン)だったと思います。また、長谷部は空中戦2勝3敗。空中戦に強いタイプではないので仕方はありませんが、勝った2勝もかろうじて先に触ったという程度で、きっちりとしたクリアーにはなっていませんでした。遠藤も空中戦0勝2敗で、このボランチのところの空中戦の弱さは、「セットプレーからの2次攻撃・こぼれ球」には大きな不利になり得ると思います(ある程度助走をつけて競ることができる場合は、それなりに対処できても、高くバウンドしたボールのようにその場でジャンプして競らなければならない場合は、勝つのは難しいです)。
次回のオーストラリア戦へ向けて 今回のオーストラリア戦は、思っていたほど空中戦で競る機会が少なく、全体としてはよく守れていたと思います。しかし、相手の方が日程的には厳しく、戦術的な選手交代もできず(2人が怪我で交代)、かつ相手が少ない時間が十分あったことを考えると、勝ちたかった試合でもあります。香川や岡崎、本田が、エリア内で決定的なパスをもらう場面が3〜4回ほどありましたが、いずれも荒れたピッチにトラップが流れてシュートまでは至らず。日本の良いピッチであったら、勝っていた可能性が高いでしょう。
いずれにしてもオーストラリアはそれほど恐れる相手ではないことがわかりました。日程が厳しくても1人しか先発を代えてこなかったのは、選手層の薄さからだと思います。オーストラリアのロンドン五輪代表が最終予選6試合で1点も取れず敗退したように、オーストラリアは若い世代が育っていません。日本の方が伸びしろが大きいのは明らかです。
それでもオーストラリア戦は、「対オーストラリア」用の戦術を取った方が良いのかもしれません。向こうは地上戦では勝てないのは分かっているので、日本が苦手としていることを徹底的にやってくるはずなので(日本はオーストラリア戦ここ5試合で、流れからは1点も失点しておらず、失点はすべてセットプレーとPK。空中戦で劣勢にならなければ十分守れるはず)。
【背の高いCBを並べる】
・今回は空中戦の機会が思ったほど少なく、今野の身長の低さはそれほど問題にはなりませんでした。しかし、オーストラリア戦はやはり背の高いCBを2枚並べた方が、精神的に守りやすいのではないでしょうか。PKを取られた場面で、内田がアレックスに対してやや過剰な対応をしてしまったのは、セットプレーの空中戦に対する漠然とした不安があったからなのかもしれませんし。
【3バックにする】
・基本的にオーストラリアは、サイド攻撃以外は攻撃に厚みがなく、前のFW2人を抑えれば、それほど流れからはピンチを作られないと言えます。そういう意味では、3バックにして相手のFW2人に対して常に数的有利を作る手もあると思います。これならばロングボールを入れられても怖くないですし、カウンターにも対応できます。
【長身のボランチ】
・守備の課題は「セットプレーの2次攻撃・こぼれ球」。これを考えると、ボランチに長身の選手を使うという手もあります。例えば長谷川アーリアなどは面白いかもしれません。
【ケーヒル対策】
・ケーヒルは身長178cmとそれほど高くありませんが、身体能力が高くヘディングが上手な選手です。ヘディングシュートは2本だけですが、フリックオンや味方に落とすヘディングで、日本を脅かしました。ケーヒルを自由にさせないことが重要だと思います。
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もっと押されるかと思ったんですけれど向こうが意外と強くなかったんですかね。
なので勝ちたかったですね。
高さ対策というのは大事だと思いますがそれだけに拘るというよりそれを超えていけるような
戦い方をしてほしいのが本望です。
2012/6/21(木) 午後 7:43
確かに普段の戦い方で勝てるに越したことはないですが、オーストラリア戦は割り切って戦った方がいいのかなとも思います。
2012/6/23(土) 午後 0:35