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ヨルダン戦はまさかの敗北。さすがに負けることはないと思っていましたが、押し気味にもかかわらず、数少ないピンチを決められてしまいました。内容的には決して悪くなかったと思いますが、ザックジャパンの課題が改めて浮き彫りになったような気がします。その課題は、以下の3つではないでしょうか。
1.セットプレーから点が取れない。
2.先制された場合の戦い方。
3.本田が不在の場合の戦い方。
セットプレーから点が取れない セットプレーの得点が少ないことについては、以前にも指摘しています(W杯3次予選に向けて―セットプレーの得点を増やしたいザックジャパン ブラジルW杯最終予選−ヨルダン戦の展望とここまでのザックジャパン)。最初に指摘したのは、3次予選の前です。つまり、その時からこの1年半の間、この問題がまったく解決されていないことを意味します。
■ザックジャパン:得失点パターン■
*アルゼンチン戦から、先日のヨルダン戦までのデータ。延長戦は1/3試合として計算。
■オシム・岡田・ザックジャパンのセットプレーの得点の比較■
ザックジャパンの総得点に占めるセットプレーの割合は11.9%。1試合平均のセットプレーからの得点は0.21点。これは岡田・オシムジャパンと比較すると、明らかに少ない数字です。昨季のJ1の平均では、総得点に占めるセットプレーの割合は24.4%、1試合平均のセットプレーからの得点は0.34点でした。これと比較しても、ザックジャパンがセットプレーから点が取れていなないことは明らかです。
次に、今までのCKとFKからの得点の詳細を見てみます。
■ザックジャパン:セットプレーからの得点の詳細■
ここまでの32試合中、CKからの得点は6点、FKからの得点はたった1点だけです。
まずCKですが、CKがアシストとなる得点(CKのボールを味方が直接触って決める得点)はわずかに1点だけです(最終予選ホームヨルダン戦の先制点:本田→前田)。最も多いCKからの得点パターンは、ショートコーナーです。なぜ、CKのボールを直接頭で決めることができずに、ショートコーナーが多いのか。その理由は、「背の高い選手が少ないから」の一言に尽きると思います。
ヨルダン戦のスタメン−FW前田、MF遠藤、清武、長谷部、香川、岡崎、DF酒井、内田、今野、吉田−は、酒井を除けばいつものスタメンのメンバーです。このうち身長180センチ以上は前田、長谷部、吉田の3人だけ。長谷部は180センチですが、CK時はエリア外にいて、ショートコーナーに関わったり、カウンターに備えたりしているので、ターゲットにはなっていません。CKを直接頭で合わせることができるのは、前田と吉田だけです(仮に182センチの本田が出場していても。キッカーを務めることが多いので、ターゲットにはなりません)。
ヨルダン戦ではCKは全部で8回ありましたが、点が入りそうな気配はほとんどありませんでした。
■ヨルダン戦のCK■
8回のCKのうち、シュートまで行ったのはたったの1回。直接中に蹴った6回のうち、味方が触ることができたのは2回(いずれもハーフナー)です。ハーフナーは後半19分に投入されました。それ以前のCK3回は、ショートコーナーが2回と、ニアに直接蹴ったのが1回です。この試合に限らず、今の代表ではショートコーナーの割合が過去の代表と比べても高いと思います。それはターゲットが少ないからです。それを監督も選手も分かっているからこそ、ショートコーナーを多用しているのでしょう。
2回のショートコーナーはいずれも、エリア内の味方に繋がっていません。ピッチがボコボコしているせいで、遠藤→長谷部へのパス、そして長谷部→遠藤のリターンパスがいつもより難しい状態でした。1回目は無理矢理エリア内に入れることができましたが、2回目は長谷部が遠藤に戻した後に相手に奪われカウンターを受けました。この2回目のショートコーナー失敗で、おそらく遠藤は、今日のピッチではショートコーナーは難しいと判断したのだと思います。その証拠に、これ以降ショートコーナーを1回もやっていません。前半25分のCKはニアに直接蹴っています。ターゲットが少ないので、ただ中央に放り込んでも相手に跳ね返されてしまうと考えたのでしょう。
ハーフナーを投入した後のCK5本はすべて直接中に蹴っていますが、そのうち4本は中央を狙っています。ハーフナーが入ったことで、狙いやすくなったからでしょう。
FKの得点は、32試合戦って1点しかありません。これも背の高い選手が少ないことが最大の原因だと思います。
ヨルダン戦では前半に2回ほどFKのチャンスがありましたが、いずれも中央にいる味方の頭に合わせるのではなく、ファーの今野や吉田を狙っていました。直接頭で決めることを目指しているのではなく、より相手のプレッシャーが少ないファーから中に折り返すことを狙っているようでした。背の高い選手が少ないので、こうせざるを得ないのだと思いますが、これではなかなかFKから点は取れないでしょう。
もう1つの原因は本田にあると思います。直接狙える距離では、本田が蹴ることが多いと思います。前回のW杯デンマーク戦で決めたブレ玉FKのイメージが強いですが、本田の直接FKの精度は必ずしも高くないと思います。無理矢理ブレ玉で狙ってチャンスを潰していることも少なくありません。他のキッカーが蹴る機会を増やすとか、トリッキーなことをするなどの工夫が必要だと思います。
CKでは、ターゲットが前田・吉田だけだと、中に直接蹴り入れても相手にクリアされる可能性が高いこと。遠い距離のFKでも、ターゲットが少ないので、中央にはなかなか入れられないこと。これらのことは前々からわかっているはずなのに、セットプレーについての工夫が少ないというか、セットプレーを軽視しているようにさえ思えてきます。また、ショートコーナーを多用する傾向も、すでに対戦相手には分析されているはずです。
現状では1トップの第1候補は前田で、ハーフナーはあくまでもサブ扱いです。そうなると、セットプレーでのターゲットを増やすには、CBの今野をより背の高い選手−最近呼ばれている選手の中では栗原しかいない―にするしか方法がありません。今野をCBで使うことの利点は、より前でボールを奪うことができることでしょう。それによってピンチを未然に防ぎ、より高い位置で攻撃に転じることができます。ザックジャパンの総失点19点のうち、11点がPKとセットプレーによるもので、崩されての失点はごくわずかです。クロスの失点は1点もないことを踏まえても、吉田・今野のCBは機能していると言えます。しかし、そもそも組織で守る日本の場合は、このCBの組合せでなくても、アジアにおいては十分守れると思います。CBを吉田・栗原にしても、失点が明らかに増えるとは思えません。むしろ、セットプレーの得点の可能性が確実に上がる分、勝ちやすくなるのではないでしょうか。ザックジャパンの攻撃力はオシム・岡田ジャパンを上回ると思いますが(「1試合平均の流れからの得点」は、順に、1.41、0.85、0.90)、強豪国相手にはそう簡単に流れからは得点できないはずなので、セットプレーの重要性は増してくると思います。セットプレーの得点を増やすための工夫が必要です。
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セットプレーは全くといって可能性を感じませんね。
基本的に私はキッカーの責任が大きいと思っていましたが、代表には確かに
ターゲットの不在というのも大きいと思います。
2013/4/1(月) 午後 6:33
キッカーに関しては清武の方が良かったのではないかと思います。ニュルンベルグでもセットプレーからのアシストが多いですし。
2013/4/2(火) 午後 10:53