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久しぶりにシュガー・ベイブのアルバム「SONGS」を聴いた。
理由はレコードコレクターズ増刊大滝詠一Talks About Niagaraを読んだからである。
そこでは「名盤中の名盤としていいんじゃないですか。すごいバラエティだよね。」
と述べていたのである。このアルバムの発売日は1975年4月25日である。
そしてこの年の8月にセンチメンタル・シティ・ロマンスのデビュー・アルバムが
発売されている。小生はどちらもLPを買っているのだ。
当時、小生はセンチのあまりの完成度の高さに驚き日本のロックもここまで来たかと
感心したものだ。プロデューサーは細野晴臣で「僕は別に仕事をしていない。」と
言っていた。それに対しシュガー・ベイブの印象は、曲は悪くはないが素人っぽいし
ダサイ音楽だと思いほとんど聴かなかった。それが正直な当時の感想である。
聞き返してみても「名盤中の名盤」とはとても思えない。当事者にとっては
いろいろあったのを思い出し、その後の山下達郎の活躍を考えると、感慨深いアルバム
であるというのは心情としてよくわかる。その後の達郎のソロ・アルバムはずっと
買っていたし、「SPACY」などはものすごく素晴らしいと思う。
「SONGS」を気に入らなかったというよりは、当時75年というのはロックの黄金時代で
シュガー・ベイブなんて聴いている暇はない状況だったのである。当時最大の話題は
スティービー・ワンダーの初来日であった。これは75年1月で、最高傑作「Key of Life」
の少し前、グラミー賞総なめの絶頂期である。さらにこの頃(初)来日したミュージシャン
といえば、クラプトン(イボンヌ・エリマン、カール・レイドル、ジェームス・オルデカ、
ジョージ・テリー)、ロバータ・フラック(ラルフ・マクドナルド、エリック・ゲイル、
ゲイリー・キング)、クイーン、ジェフ・ベック(なんとドラムはバーナード・パーディ)、
サンタナ、エルトン・ジョン(この頃はよかった)と豪華メンバーが続き、イーグルス、
Doobieに至るのである。アルバムも、Earth, Wind & Fireが出てきて、Bad Companyが受け、
Band on the Runがヒットし、Paul SimonはStill Crazy After All These Yearsをリリースし
Janis Ianもはやったのであった。おまけに小生がいた関西ではバンドが充実しており、
上田正樹とSouth to South、憂歌団といった超強力なライブ・バンドが多くあったのだよ。
大貫妙子もよいと思うが、何といってもこちらには山本潤子様がいたのよ。日本一よ。
何しろ大村憲司とポンタが命をかけていたんだから、こっちを聴くよな。
というわけで客観的に言えば当時の超充実したミュージック・ライフの中でシュガー・
ベイブは超ローカル・バンドで達郎の可能性はすでに見られたもののワン・オブ・
マイナーズあったのよ。どう考えたってセンチの勝ち。後で知ったが実はセンチと
シュガー・ベイブは無茶苦茶近い関係にあって、二つとも小杉さんの世話になっていたし
何と10回位一緒にコンサートに出ているのであった。まあ、センチの複雑なサウンドも
ほとんどOrleansのコピーといった本家があるものの、その後のセンチの運命を考えると
「デビュー・アルバムは君らの圧勝やで」というのが礼儀というものである。
センチの方は自分たちでよくわかってやっていたけど、片方は達郎以外はやってる
本人達がまだわかってないもんな。
さて本当に言いたかったことはシュガー・ベイブのギター・サウンドで、ギタリストは
村松邦男である。30数年前に買ったオールマン・ブラザーズ・ギター分析とかいう本は
伊藤銀次との共著であった記憶があるが、SONGSではペケペケといった細かいけったいな
フレーズを弾いている。これは当時はやったSteely DanのCan't Buy A Thrillの影響
である。そうElliott RandallのReelin' In The Yearsである。実はこのギター・ソロは
雑誌Guitar Worldの選んだギター・ソロ100の第40位なのである。マニアックな選択で
ある。結構変わった独特のフレーズとリズムだもんな。ちなみに第1位は天国への階段で
あるな。まあ吾輩もこれはよく弾いた。この曲のデータがなんとKAWAI GB-4という
シーケンサーに入っていたのである。GB-4は冗談というか、シャレで買ったのだが
超マニアックというか実に曲がよく出来ていて楽しませてもらったものだ。ただし
これは日本人が作ったデータではないな。選曲がバタくさいし、こんなにかっこよく
作れないもんな。KAWAI USAは西海岸だが、カリフォルニアの音楽青年(少年?)は
なかなかやるもんだと感心したのを思い出す。村松先生もマニアックなRandallではなく
もうちょっと普通のギター(たとえばジム・メッシーナ)を弾けばもっとポップに
なったかもしれん。
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