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しかし、何といっても、一番衝撃を受けたのは、2年生の夏休みに読んだ、倉田百三の「出家とその弟子」そして「愛と認識との出発」だった。毎日、美術室でデッサンをしていたが、その合間に、深い感動をもってこの本を読んだ。「女性の中に自己を見出さんとする時」等に現れる大正期の一高生、倉田が青年期の独特の、愛と性の問題を赤裸々に、また、体験的につづったもので、わたしにとっては実に衝撃的な本だった。倉田は、初め、フリーセックス論を語る。芸術的な、宗教的な情熱をもって。それを読んで、16歳のわたしは、ショックを受け、「そのような人生観もあるのだ、すごい!」と思った。それから、更の読んでゆくと、彼は、そのフリーセックス論を否定してゆく。そして、人間の肉的な欲求は、悪である。性欲は悪である。それは罪であり、真実の愛とは対極にある、自己中心の本質であると語る。そして、真実の愛とは、自己を与える事であり、自己を犠牲とする事である、それはキリスト教の愛であり、仏教の慈悲であり、性欲の充足などではありえないと結論する。この本は、わたしのとっても、文字通り、「愛と認識との出発」となった本で、忘れる事ができない。今、考えると大正時代の背景を持つ、白樺派のような宗教混交や、極端な理想主義が鼻につくが、この時は、熱に浮かされているように、倉田百三に夢中になった。 |

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