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第160回〜このコミックを読め!〜
「少年誌しか読めなくなった大人たちには、
この作品は絶対に理解できない」
「家を見るなら、階段を見よッ!」と言われている。
コレは住んでいるお宅でも新築でも同じで、階段を造るときに大工の腕がわかるからだ。
段差のバランス、歩幅、勾配、角度、ストレートなのか、ユッタリとした蛇行があるのかなど、チェックポイントは多い。
普段感じられていないが、階段は踏み締める様に上がる為に実はかなり力もかかる場所である。
どの世界にも、職人と呼ばれる人がいる。
しかしその仕事についている人、全員が職人とは呼べない。
大工は階段が造れる様になると職人として一人前と言われている。
階段が造れるようになると、エキスパートとも、専門家とも、プロフェッショナルとも、呼ばれる様になるとも言われている。
それはたぶん、地道な修業をコツコツとして辿り着く道だと思う。
見習い修業が終わり、今度は仕事として経験と研鑽を積み、更にプロとして、職人としての上を目指す。
“素晴らしい!”の一語に尽きる。
そんな職人のような、プロフェッショナルな、エキスパートな漫画原作者。
久しぶりに登場です。
小池一夫さん原作の作品!
展開が少々強引だったような気もするが、我慢して下さい。
「弐十手物語」の神江里見さんとのゴールデンコンビで描いた傑作「気怠く彦次郎」シリーズの第2弾「花警察」を再読した。
渋い!
実に渋い職人技が大爆発の作品である、と改めて感じる。
警視庁第一係 女係 黒田彦次郎は、着流しの下にマグナム357をホルスターで吊り、女性の様に色白で美形、頭脳明晰。
生まれて育ったのは、廓屋。
生粋の廓育ち。
ココで解説しよう。
廓ってのは芸者・舞妓の置屋、きっと今の若い方はコレでもわからないから、まァ〜デリヘルの専門の待機場所みたいなものと思えばよい。
しかしなんか現代的に言うと、風流さや粋さに欠けるなァ〜。
そんな育った環境もあり、めちゃめちゃ女性の心理や行動パターン、女性の思考性が見事に読める。
ウーンッ!実に上手い設定である。
初めてときは若かったせいか、作品のパワーに押されてフ〜ンッという感じだった。再読して見て、ひとつひとつの表現が実に見事ッ!と唸らざらをえない。
何と言うケレン味!
なんと鋭い切れ味!
何と言う人間心理の深み!
男と女の哀しみを漫画というレベルを飛び越えて描いている。
老練なる魔術師の魔術を見せつけられた様だ。
まァ〜この作品は20代30代では、なかなか消化しきれないだろう。
設定・キャラクターも抜群だが、何と言っても上手いのはラストの余韻である。
実に実にイィッ!
ラストの余韻が良い!
この“遊び心”は、他の原作者の追随を許さない。
この作品には、揺るぎ無い小池イズムを感じさせる。
こんな作品を読んでしまうと、まだまだ小池作品ほどの熟成漫画原作者は日本には居ない事を改めて思い知らされる。
このブログでは、常々小池作品の凄さを訴えて来た。
しかし、未だに小池作品に挑戦しようとする人々は現れて来ていない。
前にも話したが、狩撫麻礼さん (現 土屋ガロン あるいは 土方憂峰さん)の作品にラストの切れ味を感じるくらいだ。
ぜひとも「花警察」の凄さ!素晴しさ!を、再検証してもらいたい。
刮目して、見るべし!
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