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智に働けば角が立つ

もう6月も中旬に入ろうかという時に「6月の注目舞台」とは何ぞや、だ。
「遅いだろう!」
 
たしかに、遅い。
「許せ」
だ。
 
そこで、まずはすでに見たものから1本を紹介しよう。
6月5日から始まったシスカンパニー『草枕』(原作・夏目漱石、脚本・北村想、シアタートラム、7月5日まで)は思いのほか楽しめる舞台だ。
 
イメージ 1
 
夏目の原作を北村想が思い切り脚色、それを演出の寺十吾がさらに噛み砕き、常人が作・演出すれば、たちまち「智に働けば角が立つ」ものを変化自在の幻想とユーモア感覚に溢れたものにしてしまう。
 
これを見て、ケンさんは、「こりゃ想流・草枕」だと思った。
のどかさとロマンが渾然一体、あたかも漱石の作中を旅する北村自身の記憶の光景のように思えたのである。
 
文豪の代表作を劇化する、なんてことになると皆さん緊張のあまり、ベタなものになりがち、北村・はそれを飄々と越えてしまう。
 
幻想境行。
これは跳んだ者にしかできない力技だ。
 
主役の段田安則が間をうまく押さえ、小泉今日子がしゃっきり演技で締め、松井るみの美術がやさしくそれを包み込む。
この書割風の山間風景がまたいいのだ。
 
この舞台を見たらお客はきっと夏目の「草枕」を読んでみたくなるだろう。
ただし、最後の機関車出ずっぱりはいただけない。
 
ナム。

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