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最近、芝居を見るのがイヤになっているケンさんなのである。
見るものがあまりにつまらない。
 
先月の期待も外れてしまった。
当時として力作だったろうしつこい論争劇もいまから見れば作家自身の「自己顕示」劇に見えてしまうにはなぜか。
 
はたまた、原発事故を扱った芝居も、役者の力演はともかく中身自体は新味なしの底の浅いものだった。
 
公害を扱った舞台も、いまとつながる力を持たぬ古い新劇を彷彿とさせるものに終始してしまった。
演技も臭い。
 
そういえば、ばかばかしい「四谷怪談」やイプセン劇、手塚マンガ劇も見たが、もう忘れた。
 
おかげでケンさんは北欧スウェーデンのヘニング・マンケルの傑作刑事小説、ヴァランダー・シリーズ(創元推理文庫)を堪能することができた。
 
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「白い雌ライオン」「目くらましの道」「5番目の女」「背後の足音」を読み終え、いま「ファイアーウォール」に差し掛かったところだ。
福祉国家スェーデンの中にある格差とその底にある歪みが予測できない犯罪を次々に生み出す。
無力感にさいなまれながら犯人を追うヴァランダー。
緻密なストーリーと展開の妙。
劇作家でもあり演出家でもあるマンケルの筆の冴えは上記の創作劇のとうてい及ぶところではない。
 
とはいえ、全てがまったく、というわけではない。
たとえば、「劇」小劇場で上演されたのTプロの「愛をこめてあなたを憎む」(リンダ・マーシャル作、福田逸訳、村田元史演出、6月20〜28日)。
まったくタイプの違う女2人の男を巡る対決がスリリングに展開する。
登場するのは2人の女。
それを演ずる渋谷はるかと安藤瞳の突き突かれるセリフの応酬がじつに面白かった。
1時間弱の小品ながら、心から楽しめる洒落たエンターテインメント・ミステリーだったのである。
こういう洒落たものが日本の創作劇にはない。
これも寂しいことではある。
 
社会派の大作も結構だが、重苦しく大乗段に構えればいいというものではないだろう。
引きつけ、楽しませ、考えさせるものでなければ。
 
ナム!
 
 
 
 

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