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素晴らしきかな乃木将軍
宮内省主馬頭子爵藤波言忠が旧長府藩士桂弥一との世話話の中で話されたこと 藤波が尋ねた
「乃木中将はこの長府の出じゃが承知か」 知るも知らぬもない。桂は乃木の親友中の親友だが、その様な素振りを見せずさり気なく、「はい、しかし只今は休職中ではありませぬか」と答えた。すると藤波はこう言った。 藤波
「成程、乃木君は休職になっておるが陛下の御信任が異常じゃて、國に万一のことがあれば必ずお召しになることと信ずる。かつて陛下が御酒をきこしめされ、天機殊のほか御うるわしく拝した折柄、私に『乃木は他の者と心掛けが違っておる。多くの者は休職になるとか、予後備に編入されれば遠くで挙行する演習地にはでかけぬ。出掛けてもただ後方にあるのみであるが、乃木のみは決して左様ではなく如何なる遠い場所にでも必ず来ておる。来ておるのみでなく、士卒と苦労を共にしていつでも第一線にあって視察しておる』と仰せられたことがある。並々の御信任でないので、必ず万一の時に乃木さんは召されることと確信する」 と話されました。 明治天皇御製
もののふの攻めたたかひし田原坂松も老木となりにけるかな (西南戦争においてことに奮戦めざましかった乃木のことを思われて与えられた御製) この様な乃木であったから、陛下はこの御製を賜ったのであります。かくして明治三十七年五月二日、乃木将軍は第三軍司令官に新補された。そして、その悦びを乃木さんは次のように詠んだ。
此儘に朽も果つべき埋木の花咲く春に逢ふぞ芽出たき
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