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西村眞悟という外交カード
青木直人氏の御話し
●北朝鮮の核綱渡り外交が本格化しています。その文脈で昨今の労働新聞の記事・社説は注目です。
「自主権は国家と民族の命である。自主権を失った国家は生きていたとしても、死んだも同様である」。この北の主張に賛同したのが西尾幹二さんでした。先月のライブの席の話です。 西尾さんがあの体制を支持しているとか、共感しているとかいうことではなく、この発言それ自体は正論であるというのが彼の認識なのですが、昨今の日本政府のTPP交渉参加に見られる対米従属性や事ここに至っても公的援助削減すらも言い出せない対中外交の腰のひけ具合をみれば、北朝鮮ではありませんが、米中両国の間で「自主権を失った国家と民族は死んだも同様」と言いたくなるではありませんか。 ●さて、北の対中国けん制姿勢はエスカレートするばかりです。経済的な「植民地化」が進行するのと反比例して、対米対日関係改善の動きはさらに模索を始めるはずです。
●ここで金正恩第一書記と労働党・人民軍幹部の方々に提案です。日本との関係改善には拉致問題の解決が不可欠。さらに中国からの大国主義的圧迫に抗しようとするのなら、西村眞悟議員を招待すべし。彼は拉致問題にいち早く関わり、横田さんたち家族会の方たちからも深い信頼を得ているだけではなく、日本人の正当なナショナリズムを語りうる稀有な政治家です。「維新の会は嫌いだが、それでも西村さんが当選してくれて、それだけはよかった。」こう受けとめる国民も少なくないのです。
●そして彼なら北朝鮮の「中国からの自立としての核武装論」も「中国の圧迫に対抗しようというチュチェの論理」も支持はしてくれなくても、小国の内在的論理として、胸中深く理解はしてくれるはずなのです。
●北の対日外交がなぜ失敗してきたのか。それは国益を忘れ、拉致された日本人を冒涜し、賠償金利権欲しさと自虐的な歴史観から北に迎合してきた加藤紘一、福島瑞穂、辻本清美ら「リベラル」を相手にしてきたからなのです。またそういう売国的発言を「世界」や「ニューズウイーク」(日本語版)などが無節操にも翼賛してきたのがこの間の歴史なのです。
しかし、彼らは現実には日本国民や家族会に対してなんの影響力も信頼ももっていない。いまや、国民から見捨てられた存在と成り果てています。国民から信頼されていない政治家では何をしても売国外交と言う反応しか返ってこないのです。 ●北朝鮮の真の「友人」は対米対中自立論者、日本の核武装を主張しつづける「保守反動」「軍国主義者」西村議員である。
すべての拉致された日本人が帰らないことには日本との「和解」はありえない。それを北に伝えることのできるのは西村議員や拉致議連の会長・平沼赳夫氏ら以外にいないのです。 ●今は冗談をとしか受け止められなくても、いずれこの認識が現実になる。北朝鮮に残された時間は多くないからです。
「右派」こそが、その自立性と核武装論において、北の「友」になりえるという国際政治のパラドックスが浮上してくるはずです。 |
外交
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青木直人氏の御話し TPPとFTA
● 2012年2月、当時の中国国家副主席習近平が米国を訪問した。彼が翌年秋に開かれる中国共産党第18回大会において胡錦濤総書記に代わり、中国の新しい皇帝に就任することは確実視されていた。そうした事情から米国の政財界首脳たちは、習を熱烈に歓迎した。
● オバマ大統領ら米国首脳陣と習ら中国訪米団がこの時、あきらかにしたのが「米中経済関係強化に関する共同状況説明」(ファクトシート)である。これは米中戦略・経済対話の枠組みのもとで行われた経済対話で決定された合意事項を列記したものだが、米中両国の金融協力、相互の投資貿易の拡大を表明した第7項に次のような一項がある。
● 「米中双方はそれぞれ環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と中日韓自由貿易圏協定(FTA)など地域自由貿易協定の関連情報を共有することで合意した」。つまり、今後米国がイニシアティブをとるTPPと、中国が意欲的なFTA、それぞれの交渉に関する内容(進捗状況も含める)を互いに説明しあうという合意ができているのである。
●目的は明白である。
米国はTPPが中国封じ込めであるという「誤解」を与えないために、他方、中国は中国で、FTAが決してTPPに対抗するものではないという外交的なシグナルとして、互いに「関連情報を共有する」ことになったのである。 ●まだある。この「経済関係強化に関する共同状況説明」は米中戦略・経済対話を通じて相互に確認されたものなのだが、
そもそも、戦略・経済対話とは第二期ブッシュ政権当時、財務省が主導してつくられた中国政府機関との最高レベルの情報交換の窓口であり、中国は首相、米国は副大統領がトップになり、両国の閣僚が全員関わり、フルセットで政府レベルの課題を話し合おうという機構なのだ。いわば、米中経済「同盟」の象徴のような存在である。 ● この5月、北京で開催される米中戦略・経済対話の場で、両国が互いにTPPとFTA交渉の進展状況を説明しあうことになる。その中心は訪米でTPP交渉に参加を表明した日本、日中韓FTA交渉をスタートしたばかりの日本について、になるだろう。TPPもFTAもアジア太平洋のもう一人のキーマン日本の存在なしにありえないからである。
●繰り返す。米国と中国はすでに日本の動きを念頭に「(交渉における」情報を共有しあう」ことで合意している。
「TPPが中国包囲網になる」などと一体誰が言い始めたのだろうか。 米中は互いに対立もすれば協調もする。この2面性こそが両国関係の本質である。 単なる米中対決論は日本の一方的な願望ではないのか。 |
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TPP敗戦の総括
~米中両国の「遊泳許可区域」内を泳ぐ安部外交 青木直人さんの御話し
●先日のライブトークでもお話ししたのですが、安倍総理が任命した黒田東彦前アジア開発銀行総裁は過去の経歴や発言を見る限り、果たして信頼のおける人物なのかどうか疑問は尽きません。彼は次のような主張をしているからです。 ●「いまだに完全な国際通貨になりきれていない円と、将来は国際通貨になりうる人民元が協力して、東アジアにドルやユーロと共存できるような共通通貨をつくる必要がある」
これは黒田氏の著書「通貨の興亡」(中央公論新社)の一節です(カッコ内は文章の一節または要約)。彼のアジア開発銀行総裁就任が2005年2月、ちょうど同じ月に発売されたのがこの「通貨の興亡」。つまりここには開発銀行総裁としての彼の哲学が反映しているのです。 ●彼は東アジア共同体論者であることを隠しません。黒田氏はEU統合を参考にして、本書のなかで、こう続けるのです。
「アジアにおける金融市場、労働市場の統合が必要であり、それは共通通貨、単一通貨に進む場合、不可欠である」 「そして最後の段階では各国の通貨を一挙に相互に固定して引き返さない」。堂々たるアジア経済共同体の提唱です。 ●さらに、次の箇所は衝撃的です。
「参加各国の通貨はひとつの通貨になり、地域ごとにある現在の中央銀行の金融政策も一つになる」 「そうなるためには国家主権の一部を永久に放棄することが必要となる」「アジア共通通貨実現の可能性は今世紀(=21世紀)中にかなりの確率がある」。 これが大蔵省国際金融局長からアジア開発銀行のトップに上り詰めた黒田氏の発言なのです。「一部ではあれ、日本の主権の永遠の放棄」。彼はそこまでしてアジア共通通貨を実現したいと言うのです。 ●黒田氏は中国、韓国、日本の三か国はまずFTAの締結を実現せよ、為替レートの安定を追求せよとも言っています。
彼がここで主張している文脈に即して言えば、アジア共通通貨が実現するためには「現在の中央銀行」即ち黒田氏が新総裁に就任したばかりの日本銀行と中国政府の中央銀行・中国人民銀行の金融政策が「一つになる」ことが求められる。 もういいでしょう。
もはや多くの説明は不要です。黒田アジア開発銀行はこういう総裁の経済統合構想をベースに中国に対して膨大なマネーを供与し続けてきたのです。 ●私の黒田氏への疑問は日本政府外務省が中国向け円借款の受注対象から交通インフラへの援助を外し、中止してからも、アジア開発銀行はそれに逆らうように、インフラ投資を増やし続けていることでした。面妖な話です。アジア開発銀行は「日本財務省の植民地」とまで揶揄されるほど、日本政府の影響力が強い国際金融機関です。にもかかわらず、日本政府・外務省が今後は円借款融資の対象にはしないという中国国内の道路空港、鉄道建設になぜ今も総裁職にいる財務省の高官らは膨大な資金を提供しつづけているのでしょうか。
●黒田総裁時代、中国は日本を脅かすほどの軍事大国に成長していき、いまや我が国固有の領土尖閣諸島すらも、「日本が中国から奪い取った核心的利益の場所である」と言い放つほどになったのです。その間、黒田氏の対中感は一貫して「中国は覇権国家ではない」というものだったのです。
●こんな体たらくでは日本政府の対中援助姿勢には何の哲学もなく、露骨な二面性を帯びていると批判されてもやむを得ない。ですが、もっと唖然としたのは、私のこうした疑問と質問にアジア開発銀行から帰ってきた回答は「そうした政治的問題には回答できません」というそっけないものだったことです。読者の皆さんの感想はどうでしょうか。
●安倍政権の閣僚の方ならどなたでも結構です。
黒田アジア開発銀行が行っていた対中援助前のめり政策と日本外交の整合性を説明していただけないものでしょうか。 TPP交渉参加表明に次いで、安倍総理が日本の中央銀行総裁に任命したのは「アジア共通通貨実現のためには日本の国家主権の一部を永遠に放棄する」と明言するような「国際派エコノミスト」だったのです。 ●このままなら、安倍「保守本格」政権のもと、黒田日銀と中国との経済統合に向けた動きに拍車がかかるのは間違いないでしょう。黒田日銀総裁就任で、日中韓FTA交渉への障害も民主党時代よりもハードルは下がったとも見ていいでしょう。
●これが総選挙最終日、熱狂する善意の若者たちが、秋葉原で日の丸の旗をふりながら、「救世主」安倍晋三に涙ながらにエールを送ってから3か月目の光景なのです。
「おまかせ定食」のメニューは支援者の方々の希望通りのものだったのでしょうか。教訓にすべきは単なる思いこみではなく、事実を直視するということではないのでしょうか。 そして、願望ではなく、客観的で正確な情勢動向の分析なしにいかなる社会活動も成功は期し難いということなのです。 主観的な願望や楽観はいともたやすく事実と言う客観性に報復されてしまう。 ●自画自賛するようですが、NLCの読者で安倍総理のTPP交渉参加や日中韓FTA交渉の進展、さらに対中援助復活に疑問を持っていた、あるいはもっている読者はひとりもいません。日本に対する中韓の傲慢無礼な振る舞いに正当な怒りを感じてきた多くの日本人はTPPに次いで、今度は「中国に強い」はずの安倍外交にもう一度裏切られることになるのでは、とそんな予感をもつのです。
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安倍首相、TPP参加を表明時事通信 3月15日(金)18時3分配信 米国やオーストラリアなど11カ国が参加している環太平洋連携協定(TPP)について、安倍晋三首相は15日夕、首相官邸で記者会見し、日本が交渉に参加することを正式表明した。首相は参加が日本の国益にかなうと訴える一方、影響が懸念される農業分野に配慮する姿勢も示し、理解を求める。
あ〜あ。やっちまったよ此奴。 |




