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  2019年8月24日 土曜日
 
 ロシア北部アルハンゲリスク付近のロシア海軍ミサイル実験場で、8日に発生した爆発は、原子力を使った新型兵器の開発実験中に起きた事故だったらしいが……北極圏バレンツ海の入り江に在る洋上施設で、エンジン実験中に発生した事故では、ロシアの国営原子力企業ロスアトムの従業員五名が死亡、三名が負傷、近隣地域では爆発後放射線量が一時的ながら最大で通常の16倍に迄上昇したとの事らしい。
 
 ロシアの別荘風の《ダーチャの屋敷》。その、広い居間(リビング)に置いた古い真空管式のステレオで、わたしはピンクフロイドの《原子心母》のレコードを掛けたが、すると、ロックの曲とは思えないクラシックの交響曲の様な音楽が流れた。
「これ、なあに?」と、酷く怪訝そうに、アリス……「ピンクフロイドという、有名なロックバンドの代表作よ。《原子心母》(アトム・ハート・マザー)」「ふうん。レディ=ガガなんかとは随分感じが違うのね?」「それは、まあ。だって、ピンクフロイドの《原子心母》は、60年代後半から70年代頃の曲が中心だもの。余り、詳しくは知らないけれど」「そんな大昔から、ロックはあった訳?」アリスやシンシア、それにアーロンらの子供達が、ピンクフロイドの存在を知らないのは全く無理もなかった。
[イフ アイ ゴー インセイン プリーズ ドント プット ユア ワイヤー イン マイ ブレイン……]その歌詞を聴いて、アリスは益々呑み込めないという風だったが……「全然、歌詞の意味が分からないわあ。どういう事?」「つまり、これは、昔アメリカなどで行われた、精神疾患の患者達の脳髄、前頭葉を切除した外科手術の事を言ってるの」「へえ。でも、どうやって?」「アイスピックを瞼の上から突き入れて、脳の前頭葉部分を切断したり」「!? 滅茶苦茶じゃないの?」「そうよ。J=F=ケネディ大統領の家族もそのロボトミー手術を受けて……まあ、そんな話は止しましょう」
「モンスター・スタディについては、メアリー先生はご存知?」「少しはね。どうして?」「あたしやシンシア、アーロンや施設の子供達は皆、心理学的な実験の被験者にされているからよ。否応もなく……その資料(データ)が、多分、戦争の際の異常心理研究などに応用されて使われるんでしょ? つまり、体のいいモルモットよね」「確かに、その通りだけど……元々は、あの施設はボランティアのNGOだったんだけどね。それを政府が……」
 
 ロシア・ロスアトムは、10日[放射性同位元素を使った燃料エンジンの実験中に爆発した]と発表し、原子力を推進力として利用するエンジンを巡る事故だったと事実上認めた。但し、被害の実態や爆発原因は軍事機密の壁に阻まれ、不明の儘だが……
 
 わたしは、良く考えるのだ……一体、どうして、こうした愚かな戦争や紛争、人種差別等々ばかりの世界で、奇しくも大勢の子供達と職場である施設内で出逢い、彼らの異常心理を研究しなければならないのだろうか? と……本来なら、平和で静寂に満ちた世界で、子供達にまともな教育を施し、慈しみに満ちた人間に育って欲しいと思うのだけれど。
「ねえ。シンシア……ガンダムの、赤い彗星シャアはね、本当は革命軍に入る筈じゃなかったのよ」「そうなの?」「ええ。彼には、瓜二つの親戚の青年がいて、元々はその青年が革命軍に志願したのを……」アリス達は、ジャパニメーションの話に興じている。生憎と、このわたしには全く良く分からないのだけど。「この、ダーチャの屋敷は静かでいいけど、寂しいわね。インターネットの環境はどうなのかしら?」そう言って、シンシアはきょろきょろと辺りを見回した。アリスは金髪(ブロンド)だが、シンシアはややブルネットがかっていて、瞳の色も灰青色に見える。まるで、シリアの子供達の様に……
「まあ、Wi-Fiの電波は飛んでるんじゃない? でも、わたし達が使えるパソコンやスマートフォンはないし、デジタルネイティブに取っては酷だわねえ。それこそ、まるでドイツ系移民で敬虔なキリスト教集団のアーミッシュみたいだわ。《刑事ジョンブック目撃者》の映画では見たけど……」
 
 アーミッシュ……わたしは、出来ればアリスや子供達を本物のアーミッシュの集落へと連れて行きたかったものの、叶わなかった。昔、アーミッシュの村で、男がライフルを乱射した無差別銃撃テロの様な事件が起きたのだが……その現実の事件では、少女が幼い妹を庇って撃たれ死亡した。もう、何年前になるだろうか? アリスの母親は、死後検死に回され、夫が放ったライフルの特徴と銃痕とは完全に一致。そして今又、イランとの核合意からアメリカは離脱し、ホルムズ海峡の防衛の問題を巡って中東は一触即発の様な危険な状態に陥っており、その根底にはアメリカ・トランプ大統領の唯物主義とイランの政権を握る人物との宗教を含めた価値観・世界観の相違があって、紛争の一言では片付けられない。
 
 トランプ・アメリカ政権は、韓国が大方の予想に反して《日韓軍事情報包括保護協定》(GSOMIA)の破棄(終了)を決定した事を、強く批判している。手の付けられない暴れん坊とは雖も、トランプ大統領が同盟国に対して強い調子で非難する事は珍しいそうなのだが……日本と韓国との対立構造が、遂に安全保障の分野に迄波及した事で、日米韓の軍事的連携が崩れ、東アジアに於ける安全保障環境の不安定化に繋がりかねない為だ。
 時系列に沿って、順序立って言えば、韓国政府は22日《日韓軍事情報包括保護協定》(GSOMIA)破棄を決めたのは、日本への融和姿勢も見せ始めていた文在寅(ムン=ジェイン)政権が内政上の苦境に陥り、再び態度を硬化させた為とも見られる。
 
『(GSOMIA破棄は)電撃的に決まった様だ』韓国政府関係者は、そう、日本のメディア(大手新聞の記者)に対して語ったそうなのだけれど……それは、日本の東北地方で暮らすTomokoが23日の午後(日本時間)にメールで報せてくれた。[日本では、この前、あいち(愛知)トリエンナーレ 2019 表現の不自由展]という展覧会が催されたのですが、右翼を想わせる人物の、名古屋市長が主催者に抗議した為に中断されて仕舞いました。民主主義の根幹である、表現の自由が市長の検閲の様な形でとん挫を余儀無くされたのは、非常に残念な事です]
[中国では、ノーベル平和賞を受賞された劉暁波氏の問題も御座いましたが……劉暁波氏が亡くなられてから、劉氏の奥様は欧州へ亡命為さったという風にも聴きましたけれど。奥様は、深刻な鬱病を患って御出との事で、本当に痛ましくお気の毒に感じます][話が逸れましたが、日本では今、韓国に対する悪感情が高まっているのか、或いはそんな風に政府やメディアに依って印象操作されているのかも知れません。だとすれば怖ろしい事です……嘗て、日本では大正デモクラシーが終わってから、軍部が暴走し、又、日本新聞等のメディアが戦争ムードを煽って日米開戦に至りましたから。もう二度と、あの愚かな過ちを繰り返してはならないのです……]
 
「戦争戦争って言うけど、実感としてはどうも良く分からないわあ。シンシア、貴方はどう思う?」アリスは、車椅子の上からもどかしそうにそう問うた……「あたしも、映画でしか知らないわね。例えば、トム=クルーズが主演の《7月4日に生まれて》だとか。あれは、一体何の戦争?」「さあー。湾岸戦争かイラク戦争じゃないの?……」
 
 《戦争の国のアリス》……アリス=R=スミス、そして友達のシンシアとアーロン。シンシアは、名前の通りに誠実な少女で、まだ裏腹もない。《ダブル・ディーラー》、二心を持つ者という言葉があるけれど、大人に成長すればそれは寧ろ当たり前の事だ。他者の内心を忖度し、その場の空気を巧みに読む事、コモンセンスを身に付ける事……それが、社会人としての最低限の規則(ルール)だった筈なのだが、ドナルド=トランプ氏の登場以来それは最早アメリカ合衆国の常識ではなくなって仕舞ったかの様だ。
 
「ところで、INFってなあに?」と、シンシア……「それは、中距離核兵器の……18日に、アメリカはその中距離ミサイルの実験を行ったわよね。それで、ロシアのプーチンや中国の習近平(シー=ジンピン)はカンカンになって怒っているのよ。特に、プーチンは……」
 
 プーチン大統領は、昨年の年次教書演説でアメリカのミサイル防衛(MD)システムを念頭に、小型原子炉を塔載した原子力推進式巡航ミサイル・ブレベスニクや、マッハ10で飛行する極超音速ミサイル・キンジャルなど開発中の新兵器を次々と紹介し、アメリカへの対抗意識を露わにさせている。因みに、ブレベスニクは航続距離が[事実上、無限](プーチン氏談)とされ、核弾頭も搭載であるらしい。北朝鮮が、七月末から日本海(東海)に向かって発射し続けている飛翔体・短距離弾道ミサイルは果たしてどうなのだろう? 核弾頭は塔載可能なのだろうか? 
 アメリカが、INF条約で禁じられていた地上発射型の中距離巡航ミサイル実験を18日に実施し、MDシステムの迎撃ミサイル発射施設を展開するルーマニアやポーランドにロシアを射程に収める中距離ミサイルが配備される可能性が現実味を帯びて来た事から、ロシアの軍事評論家・ウラジーミル=エフセーエフ氏は『防御だけに限らず、攻撃の際にも使用出来るアメリカのMDシステムが軍拡競争を招いている』として懸念を表明。単純に考えて、この儘でゆけば第三次世界大戦が惹き起こされるのでは? と、思って仕舞うのは杞憂に過ぎるというものだろうか? それならば、まあ良いのだが……しかし、戦争とは何処か人間の理性や合理主義精神に依る均衡(バランス)の枷が外れたところで、交通事故の様に不意に勃発するものの様にも思える。そもそも、この狂気染みた(クレイジー)な世界が絶対に均衡(バランス)を崩さないと考えるのは《神話》ではないのか?
 
 更に、二十一世紀という不幸な時代を生きる、私達は、AIを塔載した自律型致死性兵器について迄考えを巡らせねばならない。
「ねえ、これは何という映画?」「ターミネーターよ。続編の2と3、それに4もあるみたいよ」子供達は、大型テレビで自律型致死性ロボットの映画を見てはしゃいでいる……「ターミネーター2は、何時頃制作されたのかしら?」「大体、三十年前くらいみたい」「ふうん。それじゃあ、パソコンやスマートフォンはまだ余り一般的な家庭には普及していなかった頃かしらね? そう言えば、この映画にはスマートフォンは出て来ないわ。何となく不自然で変だな? と、思ったんだけど」アリスは、ポテトチップを袋から出して食べながら、夢中になってテレビの液晶画面を見詰めている……「最初のターミネーターでは、このロボットは悪役で生身の人間の男性と戦っていたのに、続編の2では少年を救う英雄(ヒーロー)に変わっているのよ。まあ、その方が面白いし良いけど。ヒロインの女性も、続編では随分と体を鍛えたのね。別人みたい」
 
 アリスとシンシアとは会話も弾んでいるのだが、アーロンは独りで取り残されポツンと所在なさそうにしていた。元々、非常に大人しい性質なのだけれど……
「だけどさあ、AIも例えば、今ではアメリカの州に依っては警察の捜査に導入されてるんでしょう? 前に、テレビのドキュメンタリー番組で見たんだけれど。麻薬の捜査だとか、事前に犯罪が起こりそうな場所や人物をAIが特定して、そこへ警察が逮捕に向かうのよね」「でも、それじゃあ物事の順序があべこべで、可笑しな事になって仕舞うんじゃない? 鶏(ニワトリ)が先か、卵(タマゴ)が先か……」
 
 わたしは、子供達は好きな様にさせて置いて、台所(キッチン)へと行きコーヒーメーカーで温かいコーヒーを淹れ、MOREのメンソールの箱を懐から出して火を灯した。ライターは、不便なのだが、わざわざロンソンの古いタイプのオイルライターを使用している。昔は、人類は、唯単に煙草に火を点けるのにも、これ程の大袈裟な機械を必要としたのだ。今となっては、寧ろ、そんな時代の方が懐かしく慕わしく感じられるけれど……全く、本当に奇妙なもので……
兎に角、時代は変遷してゆくし、それを止める事は誰にも出来はない。川の流れの様なものだ……水の流れを、どう遣って食い止められるだろうか? わたしは、疲れ果てて、二本目のメンソール煙草を口に咥えた……
 
 
  2019年8月25日 日曜日
 
 殆ど毎日の様に、こうした非常に陰鬱な事ばかりを書き記さねばならない事に、わたしも一応は現生人類・ホモサピエンスの一員として真に遺憾に思う。
 モスクワ共同発……ロシア国防省は24日、北極圏に近いバレンツ海から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「シネワ」と「ブラワ」の発射実験を行い、成功したと発表した。予定されていた訓練の一環で、SLBMの技術的能力が確認されたとしている。シネワは戦略原子力潜水艦トゥーラから、ブラワは戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーから発射され、北部アルハンゲリスク州と極東カムチャツカ半島の目標をそれぞれ破壊したという。
 
 アリスは、もう完全に自力での歩行は困難で出来ない。だから、ダーチャの屋敷では、バスルームへはわたしかシンシアがアリスの車椅子を押して付き添ってゆく。
「ああ、嫌だわね。本当に忌々しいったらありゃあしないわ!」そう、悔しくて堪らないらしく、アリスは誰にともなく悪態を吐くのだが……「仕方がないでしょ、アリス。余り、そんな風にばかり言うんじゃないの!」と叱ると、アリスは酷く不満らしくぶうっと頬を膨らませ、貝の様に黙りこくった。勿論、可哀想なのだけれど……
 
 
  2019年8月27日 火曜日
 
 AFP通信に依れば、イスラエル軍は24・25日、シリアとレバノンで敵対するイラン関連の施設や武装組織への攻撃を行ったらしく、先進七ヶ国(G7)首脳会議が24日に開幕したのを踏まえ、イランの危険性を国際社会に対してアピールする狙いがあるものと見られる。イスラエル軍は24日夜、シリアの首都・ダマスカス近郊でイラン関連の複数の軍事拠点を空爆、在英の民間団体《シリア人権監視団》に依ると、イランから軍事支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員ら少なくとも五名が死亡した。
 又、ヒズボラは25日、レバノンの首都・ベイルートに在る施設がイスラエルの無人機の攻撃を受けたと発表した。無人機には爆発物が積まれ、施設に飛来して自爆し、複数の負傷者が出たそうなのだが……しかし、その無人機が外観など果たして如何なるものであったのか、記事を読んだだけでは分からない。
中国政府が発表した、仮想敵国(まあ、アメリカだろう)へ自動攻撃を加える、AI搭載型の致死性兵器であるドローン進化型の無人飛行機が沢山飛翔し都市などの目標物を爆撃するイメージ画像を見た時には、慄然としたけれど……
 
 アリスが、向日葵(ヒマワリ)の畑を見に行きたいと言うので、どうにか車椅子で大きなヴァンの車に乗せ連れて行く事にした。何時、容態が急変してどうなっても可笑しくはないし、兎に角、なるべくアリスの意向に沿う様にしてやりたい。シンシアとアーロンも、向日葵が何万本も植えられている広大な畑を是非見たいと言うので、一緒に車で連れてゆく。
「だけど、どうしてそんなに向日葵(ヒマワリ)の畑が見たいの?」とそう、わたしは、アリスや子供達に向かって訊いた……「逆に、向日葵が何万本も咲いている、素晴らしい光景を見たくはないんですか? メアリー先生? 寧ろ、そっちの方がずっと不思議だわ」アリスは、車の中ではごく上機嫌で、漫画雑誌の様なものを熱心に読み耽っていた。「ねえ、アリス? その漫画雑誌はなに?」そう、シンシアが尋ねると、アリスはペラペラと頁を開いてわたし達全員に見せてくれた。「これは、《ちゃお》という日本で出版されているローティーンの少女向けのMANGA雑誌よ。取り寄せて貰ったの」「ふうん。じゃあ、アリスは日本語も読めるの? 凄いわね」「まあ、簡単な単語なら分かる程度だけど……MANGAは、絵の方がメインだし、ただ眺めていてもある程度は意味が呑み込めるわよ」「どんな物語(ストーリー)?」「ローティーンの女の子達の、リアルな悩みだとか。十二歳くらいになって生理が始まったら、学校で無神経な男の子達に冷やかされて酷く腹を立てたり、女の子同士でスマートフォンも使って話し合ったり、保健の先生や家族に打ち明けて相談したりだとか。そんな感じ……」
 
 ユダヤ系の少年であるアーロンは、何時もの様に気まずげに黙ってアリスとシンシアとの遣り取りに耳を傾けて聴いており、わたしはTOYOTA製の4WDの大型ヴァンを運転するのに集中していた。NISSANの、前会長のカルロス=ゴーン氏の騒動は漸く静まったらしいが……それにしても、トランプ大統領は更に中国に厳しい関税を課する様だし、アメリカと中国との貿易戦争は今後どうなって仕舞うのだろうか? 
アリスは、インターネットのニュース記事で、向日葵(ヒマワリ)が無限に咲き誇っている様な畑の事を知ったらしい。ふと、わたしは、十九世紀オランダの画家・ファン=ゴッホが描いた太陽の様な向日葵の油絵(タブロー)を思い起こした。向日葵(ヒマワリ)の連作は、勿論、ゴッホの代表的な作品として世界中に広く知られているけれど。濃厚なマチエールの、黄色い大輪の花……高校時代の恩師である、美しいジュリア……
 
 
  2019年8月28日 水曜日
 
 フランス・ビアリッツでの先進七ヶ国(G7)に依る主要国首脳会議(サミット)は、26日に閉幕。1頁(ページ)の簡潔な首脳宣言を取り纏めたものの、イラン問題や世界経済・気候変動など重要課題の議論は深まらなかった。その一つの原因としては、トランプ大統領が環境問題に対しては無関心だった事が上げられる。
現代では、アマゾンと言えば《GAFA》(ガーファ)のアマゾンを真っ先に思い出す様になったが、その代わりに、南米・ブラジルの本物のアマゾンの密林(ジャングル)の方は、驚くべき速度で減少しつつ有り、この儘でゆけば本当に確実に永遠に地球上から消え去って仕舞うだろう。それが、一体何を意味するか? 余り、否定的(ネガティブ)な事は書きたくないのだが、嘗て第二次世界大戦に於いてナチスドイツを率いたA=ヒトラーは『人類の文明は、結局最後には荒涼たる砂漠しか地上に残さないだろう』との、不吉な予言を残したらしい。
 ローマ・ヴァチカンのフランシスコ法王は『アマゾンは地球の肺』で有るとして、憂慮を隠し切れない旨を表明。フランスのマクロン大統領も、アマゾン保護の為に協力を惜しまないと発表したものの、それがブラジル大統領には内政干渉で有るとして気に食わなかったらしい。だが、若しもアマゾンの森林がなくなって仕舞えば、生物に酸素を供給してくれる膨大な植物群が失われ、地球温暖化も更にどんどん悪化し続けるだろう。
 
「ねえ、トランプ大統領の就任式は見た?」アリスは、そうシンシアとアーロンに向かって訊いた。「ううん。難しい事は分からないわあ、あたし。アリスみたいに頭が良くはないから」と、シンシアは少し悲しそうに答えて首を振った。「僕は見たよ。最初、ユダヤ教の祝福を受けてから、次に、トランプ大統領はプロテスタントとカソリックの祝福を受けたんだよね。不思議だったな。トランプ氏自身は、長老(カルヴァン)派のプロテスタントなのに、順序が可笑しいなと思って……」「へえ。それに、トランプ氏の娘のイヴァンカはユダヤ教徒だから、即ち、彼女は在米のユダヤ人だという事になるのよね。ユダヤ人の定義は、ユダヤ人の母親から生まれたか、ユダ教徒であるという事だから。つまり、母系社会・民族なのよ」そう語ると、アリスは又、日本のMANGA少女雑誌の頁を繰った……「父系社会の場合、先祖を辿ってゆくのは比較的容易だけど、母系だと難しいのよね……」

 わたしは、TOYOTA製のハイブリッド(混血主)カーである大型ヴァンのステアリングを慎重に操作し続けた。今はまだ、こうして人間が運転(ドライブ)しているが、やがて車は殆ど自動運転になりその必要もなくなるのかも知れない。又、今では、嘗ては夢の様だった水素エンジンの車も実験段階ではなく市販車として売り出されているものの、水素を供給するスタンドが少ない為に水素エンジン車(カー)は余り売れないらしい。この車は、わたし個人の所有物ではなく、施設から所長のカイルの許可を得て借り出したものなのだけれど……
 一般人が使用する自家用車は勿論、兵器である戦闘機、アメリカ製F−35の進化も目覚しく、だが、日本の東北・太平洋沖で墜落し海中に沈んだF−35の操縦士(パイロット)は空間識失調の状態に陥っていたらしい。レコーダーの声を解析したところ、操縦士自身は正常に飛行している心算だったらしいのだが、実際には戦闘機は常識を超える挙動で太平洋の海面へと突っ込んで行った。もう、生身の人間は超高度なテクノロジーが満載された戦闘機を操る事は難しいのだろう。仮令、職業(プロの)軍人であっても……

「ああ、草原一杯に咲いている向日葵(ヒマワリ)の花は、さぞかし綺麗でしょうね!」そう言って、アリスは一同の顔を見回した……「草原じゃないわよ、アリス。畑で二万本位の向日葵が栽培されてるの。それとも三万本だったかしら? 忘れちゃった」と、シンシア……そのシンシアは、まだ自分がジョンベネの様な境遇なのだと頑なに信じ込んでいるが、実際には彼女の家族達はごく平凡で穏健なプロテスタントで、但し父親は共和党を熱心に支持しておりトランプ大統領の施政には全面的に賛同しているらしい。
或いは、その事がシンシアが抱く奇妙な妄想に関係しているのかも知れないが詳しくは不明。彼女の担当はジョナサンだ……しかし、メキシコ国境の《壁》(ウォール)が築かれ始めてから、シンシアの症状(異常心理)は目に見えて悪化したとの事で、恐らくそこには無意識裡の心理的な因果関係が存在するのは間違いないだろう。人間、特に多感なHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)である子供達の心・精神の仕組みは神秘に満ちている。
「なあんだ、普通の畑で向日葵は栽培されて、種子を採る訳?」「ええ、油を搾るんじゃない?」「ロマンが壊れたわあ。でも、いいけど」


  2019年8月30日 金曜日
 
 トランプ大統領は、娘婿のクシュナー大統領上級顧問を側近として重用。イヴァンカの夫であるクシュナー氏は、敬虔なユダヤ教徒で(超正統派のユダ教徒と呼ぶべきなのだろうか?)トランプ氏の意向を受けてアメリカ大使館のテルアビブから聖都・エルサレムへの移転を推し進めたと指摘されているそうなのだが……しかし、実際には話は全く逆ではないのか? トランプ氏が、家族を含めた超正統派のユダヤ教徒達に操り人形(マリオネット)の様に自在に動かされているのでは?
 例えば、記者会見等の際には、常にトランプ氏の背後に佇みながら機械(ロボット)の様に無表情でいながら心密かにほくそ笑んでいる風に見える、副大統領・ペンス氏。政治に疎いわたしは、ペンス氏の出自や経歴については全く知らないのだけれど……
 
 これが若しも、ルイス=キャロルが知人の幼い娘のアリスに即興で語り聴かせた《不思議の国のアリス》や、その続編である《鏡の国のアリス》のファンタジーの世界の中で催されるお茶会なら、トランプ大統領はさだめし王様(キング)でファーストレディの夫人は王女様(クイーン)、そしてペンス副大統領はジャックとでもいったところなのかも知れない。だが、それでは魔法使いに相当するジョーカーは?
 
「ねえ、アリス。今、世界で起こっている事、事象は、超正統派のユダヤ教とキリスト教右派、福音派・エヴァンジェリカルとが目的の為に手を組んだシオニズムと、中東・イラン等のイスラム教との闘いが根底にあるのかしらね?」と、わたしは、慣れない車のステアリングを操作し続けながら問うた……「まあ、ごく単純に簡略化をして言えばそうじゃないの? 実際は、もっと色んな勢力が複雑怪奇に絡み合ってるんでしょうけど。まるで、トルコ絨毯の模様みたいに。トルコのエルドアン大統領は、ロシアのプーチン大統領と……」
「シオニズムってなあに? アリス?」そう、シンシアは訳が分からず当惑した様子で尋ねた……「そうねえ。イエス=キリストの時代よりも遥かに古くから始まって、第二次世界大戦、ナチスドイツ支配下では一見大人しく潜伏していた様にも見えた、ユダヤ人勢力の企ての事よ。アーロンもユダヤ系だけど」「僕は、父がポーランド出身の修正主義者で、母はイスラエルのキブツで奉仕活動をしていたんだ。父は、アーリア系だったんだけれど」そう言えば、アーロンの瞳は青みがかった茶褐色だ……


  2019年8月31日 土曜日
 
 アリスは又、急激に血圧が低下して一時的に意識を失い危険な状態に陥った。しかし、わたしはどうすべきか分からず、車をガソリンスタンドに入れて兎に角なるべく涼しい日陰に停車させた。ボンネットの上で卵焼きが作れそうな、この異常な暑さ……
「大丈夫? アリス?」と、わたしは意識のないアリスに向かって、殆ど無意味な問い掛けをした。シンシアは泣いていたし、アーロンにも勿論どうにも出来はしない……それから、スマートフォンで付近に在るモーテルを調べ、その方角へと向かう……
 
「お母さん(ママ)! そんなにワインやお酒ばかり飲んじゃ駄目よ! 冷蔵庫に鍵を掛けても、直ぐに又それを壊しちゃうのよね」そう、アリスは譫言を言っていた……「お父さん(パパ)は、本当の血の繋がったあたしのパパじゃないんでしょう? それ位、本当はちゃんと知ってるのよ。小さな子供だと思って馬鹿にしないで!」「お母さん、中東で本当は何があったのよ? 唯単に、戦闘の後方活動をしていただけではないんでしょう? 南スーダンの内乱では、政府軍と人民解放軍、それにPKOの兵士達が入り混じって……現地の女性達は……」「兵士に強姦(レイプ)されたんだそうよね? それでも、殺されるよりはまだマシだからと、女性達は乱暴されながら目配せをし合って……」
 
 南スーダン……そうしたアリスの譫言を聴いて、わたしは以前に日本人女性のTomokoからメールで教えられた話を思い出した。
『日本では、南スーダンへの自衛隊(SDF)の派遣が大きな問題になっていました。防衛相は、曖昧な発言ばかりを繰り返し……自衛隊の、現地での日報の存在について……』『ところが、その後暫く経って書店へ行くと……首都圏の東京などの様な、大都市に在る様な立派な書店ではありません。東北・三陸の港町のショッピングセンター内の小さな書店です。そこで、或る時わたしは、南スーダンの日報が平積みにされて販売されているのを見掛けて、非常に驚きました。ショッキングで、手に取って見る事もしなかったので、中身については分かりませんが……』『大東亜戦争の敗戦後、アメリカGHQの統治下で作られた日本の所謂平和憲法は、確実に改憲が行われるのだろうと思います。自衛隊(SDF)が明記され、その事にも無感覚になり、大東亜戦争や広島・長崎両市への原爆投下も忘れさられて仕舞うでしょう。それが、奇妙な日本人達の国民性なんです。残念ながら……』

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