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アジアのお坊さん 番外編
ホームページ「アジアのお坊さん」の番外編です!!

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 同じテラワーダ仏教を奉じているとは言え、タイとスリランカのお坊さんでは全般に随分と印象が違う。人種や国民性とその国の仏教のあり方の関係というのは、興味深い人類学的的テーマだ。

 スリランカの仏教は仏教史的には大変重要で、紆余曲折はここでは省くが、インドで滅んだ仏教が現在、東南アジアで隆盛なのは、ひとえにスリランカに仏教が伝わったお蔭だと言える。

 そんなわけで、以下の話は私の個人的な知り合いについての、個人的な思い出以上のものではないので、念のため。

 私がタイでの修行中、同じお寺にS師という若いスリランカ人のお坊さんがいた。良家の子息といった感じのさわやかな青年僧だったが、どうしても日本に行きたいから日本語を教えてほしいと言う。外国人と知り合いになった日本人にはよくあることで、ビザを取るための招聘状が欲しいとか、領事館まで行ってくれとか、私もまだ経験の浅い頃で、言われるままにできるだけのことはしたものだ。

 どこから得た情報なのか、チェンマイの領事館は融通が利くからと言って、バス代を出すから一緒に行こうと言う。もう一人、英語の堪能なスリランカ僧をわざわざ本国から呼び寄せて、3人でチェンマイへの旅に出た。

 けれどS師は、お坊さんだからバスの2階席の一番前に座らせてもらったのに、こんな場所では席が狭いと不服を言う。それでチェンマイに着いて領事館へ行ってみたら、何かの都合で3日後まで休みと分かり、自分の下調べの甘さを棚に上げて、領事館の壁を激しく叩いていた。

 もっとも私自身はワット・ランポンという瞑想寺院に泊まり、モン族のお坊さんだけが暮らすお寺を訪ねたり、西洋人ツアーを引率するタイ人ガイドのタンブン(お供養)で、一緒にバスに乗せてもらったりと、見聞を広めさせてもらったから良いのだけれど。

 私が日本に帰国してからもしばらくはS師からの手紙が届いたが、がんばって日本語を勉強しているという拙い英文の最後にひらがなで「さまみん!!」と書いてある。ずっと意味が分からなかったのだが、最近になって「さよなら」の書き間違いだと気づいた頃には彼との連絡も途絶え、その手紙もいつしか失くしてしまっていた。

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