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アジアのお坊さん 番外編
ホームページ「アジアのお坊さん」の番外編です!!

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奇術師でありながらミステリも書いたクレイトン・ロースンの「首のない女」の中に奇術大会の場面があって、部屋も会場も奇術師だらけ、あちこちで奇術師同士が奇術を見せ合い、「不思議の国のアリス」のお茶会(A Mad Tea-Party)の方がよっぽど静かに思える程に、辺りは奇術師で賑やかに溢れ返っているという描写を、奇術師になりたいと思っていた子供の時に読んで、羨ましく思ったものだ。

さて、その後、私はどうしたものか奇術師ではなく、ご縁があってお坊さんになって、タイやインドでも修行させて頂いたのだけれど、今は娑婆世間とのお付き合いを最小限に控えているにも関わらず、先日、インドのブッダガヤ印度山日本寺関連の、何年かぶりの大きな集まりがあったので、柳田国男の「山の人生」に「山男が町に出で来たりしこと」とある如く、末席を汚させて頂いた。

そうしたら、会場受付の手前では、法衣に着替えるお坊さま、荷物を預けるお坊さま、あちこちにお坊さま方のお姿がたくさん見える。会合が始まり、日本寺駐在同期のH師と旧交を温める私のそばで、我々より少し後にブッダガヤに赴任されたB師が他の大先輩僧と熱く仏教談義を交わしている。また我々がお世話になった局長先生のご子息で、今は住職を継がれたお若いM師がその横で、温和な笑顔と共にB師たちのご様子に相槌を打っておられたり、或いは一方の局長で、インド、チベットに関しては博覧強記のD居士始め、老若男女僧俗取り混ぜて、無数の先達諸大徳が入り乱れるのを目にしながら、正にロースン描くところの奇術大会さながらだなあと、心ひそかに思ってみたりする。

お坊さんが好きでお坊さんになった私としては、大勢のお坊さんたちのお姿に嬉しいやら圧倒されるやら、今後こうした集まりに顔を出させて頂くことは、もう余りさせて頂かないつもりだったので、しっかりとその情景を心に留めつつ、リニューアルさせて頂いた「新版 アジアのお坊さん 僧院と僧坊… 庵あれこれ」を見てくださいねと私の思いを皆さまにお伝えさせて頂いて席を辞したその後は、また我が庵に引っ込んで、身を隠している次第です。


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                           おしまい。

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