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アジアのお坊さん 番外編
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「往生要集」の話

先日、「タイの地獄寺」という本を紹介がてら、「アジアの地獄」という記事を投稿させて頂いた時に、「中国天台山でも読まれたという、日本天台宗の大先輩・恵心僧都源信著「往生要集」の、微に入り細を穿った地獄描写も捨て難い」と書かせて頂いたのをご縁に、岩波文庫の「往生要集」上下巻を読んでみた。

天台宗祖師先徳鑚仰大法会事務局からは、平成28年の恵心僧都一千年ご遠忌に際し、恵心僧都の生涯を綴った絵本「源信さん 浄土教の祖」や、僧都ゆかりの「二十五三昧会 六道講式」という、地獄絵図も載っている冊子が刊行されたが、さて、恵心僧都の「往生要集」は、後世の日本浄土教に多大なる影響を与えたばかりか、宋でも絶賛された不朽の名著だ。

また、「恵心僧都横川法語(念佛法語)」という御文章が、現代天台宗の常用日常経典「台宗課誦」に収録されているが、かと思うと、「恵心僧都 止観坐禅記」という、僧都の作と伝えられる、坐禅の要諦を記した小文もあり、こちらは岩波文庫版の「天台小止観」に収録されている。念仏と坐禅という、一見、両極とも思える二つの修行法に僧都の造詣が深かったことは、摩訶止観なども引用しつつ極楽往生について述べる「往生要集」を併せ読むと、とても良く理解できる。

また、今昔物語集の仏法部には、恵心僧都が巻12、巻14、巻15、巻19と、何度も登場し、他の巻にもその名が散見する。どの話も恵心僧都がとても純粋で浮世離れした、良い意味でエキセントリックな清僧であることを伝えるエピソードばかりだ。

「源氏物語」における横川の僧都のモデルともなったことでも知られる恵心僧都だが、源氏における横川の僧都よりも、実在の恵心僧都源信の方が、遥かに魅力的だと私は思う。


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おしまい。




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