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緩やかに波を打っている土間の奥の座敷…そこには若かった頃のじいさんの肖像画があった…詰襟には神々しく刻まれた階級、そして胸元にはいくつもの勲章が飾られていた。
黒くすすけた柱と梁…障子から差し込む日差しが暖かで…父親はいつも“街の為だ”と言い朝は早くから出掛け、夜は遅くまで働いていた。
でも障子から差し込む日差しが暖かで…その暖かさの中で僕は育った。
そんな僕が幼かった頃、じいさんに連れられいつものように堤防を散歩した。
幼い僕の手を握るごつく骨太で大きな手…
堤防には桜の木が点々と植えられ…その先には石垣が組まれ見上げると白い城があった。じいさんと僕は見上げた…。
「和也…わしのじいさんのそのまたじいさんのすーっと先のじいさんはな〜この城の殿様に仕えていた格式ある家だぞ!」
そんなじいさんは毎晩のように酒を飲んだ…何かから逃れるように酩酊状態に陥るまで酒を飲んだ…そしていつものように戦争の話が始まる。
幼なかった僕にはじいさんは好きにはなれなかった…でも昼間のじいさんは好きだった。
「いいか、わしはお国の為に働いた、おまえの父さんは街の為に働いている、お前も頑張って人の為に役立つようになれよ!」
何かその言葉が誇らしく思え、僕はこっくり頷くと、ごつく大きな手で優しく頭を撫でられた。
それがとても心地良かった。
思えばあの頃、僕の心に何かが植え付けられたような気がする…。
「よく頑張った!その調子で頑張れば次はまだまだ上に行けるぞ!」
“普段見向きもしない父親もその時は無上に喜ぶ顔、母親…そしてじいさん…僕はそれだけで頑張れた…それだけで良かった…あの頃は…”
「おい!どうして大学を辞めた!お前は俺を裏切る気か!」
“両親の意思から反れ、大学を辞め僕の進むべき道を決意した日に浴びせられた言葉だった…。思えばそれが親との最後の会話だった…。
そして僕は僕が信じる道へと突き進んだ”
“努力すれば報われる…そして成功したら分かってくれる!”
“そんな自信に満ちていた、あの頃は…”
“どうして僕は道から反れてしまったのだろう…その前までは約束された未来があったはずじゃ…”
固く握られた拳は震えていた。気が付けば自分自身の今の姿がとても情けないものに感じた。
“僕はここで何をやっているんだ!上司から約束された上へ続く階段がまだ残っているじゃないか…こんな所で遊び呆けていたら階段が閉ざされてしまう…”
「みなみちゃん…帰らなきゃ…」
気が付くと店から僕は飛び出し、後ろから彼女が僕を呼び止める声が飛んでいた。
その声に止まる事無く歩き続けた。
“そうだ、僕は逃げているんだ。努力する事すら満足に出来ず、現実と向き合う事も出来ず。いまだに一発逆転を信じて…”
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小説 第九章
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みなみちゃんを置いてっちゃうんですか?
オイラが拾っちゃうかも。
2011/5/26(木) 午後 9:35 [ KR-1 ]
KR−1さ〜ん 栗っこくんはヒドイ奴ですね!(笑)
おいらもみなみちゃんを拾っちゃいます〜♪
2011/5/26(木) 午後 10:04 [ qaq*64 ]
同じみなみちゃんを広いますっ♪
うーん私は、高校中退、その後地元皮靴工場(リーガル)にバイトで入り1年後見習い社員、その1年後正社員、その数ヶ月後うつ病に…。半年後退社…。上司が開いてくれた、約束された道を進みつつ、まさかの大どんでん返しでした(^_^;)
2011/5/26(木) 午後 10:49 [ 機械小僧 ]
機械小僧さん おはようございます〜
おいらもまさかの大どんでん返し経験者です(汗)
現在はそんなに裕福でもないですけど、今がベストな生き方してすよ(多分)
さ〜て!栗っこくんのこれからに大どんでん返しがあるのかな〜??
2011/5/27(金) 午前 5:56 [ qaq*64 ]