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「なんか静かになっちゃうね…」
「えっ!そう?僕はもともと口数少ないから…」
「嘘ばっかし…」
さっきまで何気なく交わしていた会話が今じゃ重々しい。
だだ、駅舎の出入り口の方向からは外の光が差込み、その方向へ足を進めていた。するとその向かっている方向から、誰かがこちらに向かって歩いて来た。
それは白い巨体の男だった。
二人の間に緊張が走った。
僕の右手は臨戦に備えて拳を固く握り締め、徐々に巨体の男との距離が…。握り締めた手には汗がにじみ、もはや接触するまでに迫った。
「あのー」
“ドキッ!”
巨体の男に呼び止められ、飛び出しそうな心臓を抑えながら、決戦の覚悟は出来ていた。
「なっ、何か?」
「この先に新幹線 が停まる駅 があるのですか?」
「え…ええ、この先ですよ」
蛍光灯の灯りが輝く、ホームの方向を指差すと、巨体の男は一礼しホームのある駅舎の奥へと向かっていった。
振り返ると、巨体の男の背にはまだメモが貼り付けられたままで、それを見た僕と彼女はバイクまで一気に走り、辿り着くと大声で笑い合った。
「みなみちゃんって本当にいじわるー」
「でも、栗っこくんはもっと悪い事しようとしたでしょう!」
「ハハハ!そうかも、でもまだ嫌らしい笑いを浮かべていたよ!あいつ」
「えー!それって嫌だなー、もっと貼り付けちゃえば良かった!」
笑い声が途絶える事が無い二人は、その流れに乗ったままにヘルメットを被り、TWとセローのエンジンを始動させた。
「じゃあ行くよ」
「国道一三号にぶっかったところでお別れだね」
その言葉に僕は静かに頷き、TWを発進させた。
雨に濡れた峠の道、身体中に打ち付ける冷たい雨。このバックミラーに彼女の姿が映っているのもあとわずか。でも…今なら笑ってさよなら出来そうな気がしていた。
樹林が生い茂る道を抜け出すと、そこには大河のように横たわっている国道が現れた。右に行けば福島県に抜け、その先には東北自動車道。僕が立ち向かい、勝ち取らなければいけない現実がある。左へ行けば米沢へと戻り、まだ残されている彼女の夢が続いていた。
そして僕が描いていたシナリオが完結する時が来た。
“苦労して彼女を捜し出し…感動の再会”
“キャンパーの不思議な空間を二人きりで過ごす…”
“…そして別れの時、彼女の姿が見えなくなるまで見送る…いつまでも”
激しく交通が行き交う国道の手前で、二台のバイクが止まった。
「今度は僕が見送るから、みなみちゃんが先に行っていいよ!」
「私こそ、栗っこくんが視界から見えなくなるまで見送るから、先に行っていいよ!」
互いに見送りを主張し、収拾がつかなくなり。握った右手を上下に動かし、じゃんけんを誘うと、彼女も握り締めた右手を出して、見送り役を決める事になった。
その勝負の結果は、僕がチョキ…彼女はグー。
「しょうがない…僕が負けたから先に行っていいよ!」
「何言ってるの!私が見送り役でしょ!」
最後まで途切れることが無い笑顔。
「じゃあ!また!」
「じゃあ!また!」
別れの言葉を交わすと、雨の国道を福島に向かって走り出した。
バックミラーにはいつまでも彼女の姿…。
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小説 第十二章その8
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申し訳ないくらいブログ&小説を長々と休止してました〜
その間いろいろな方から励まされ、本当に涙が出る思いです〜
小説はウラで終了しましたが、qaqは一味変えてアップします♪
2012/1/9(月) 午後 8:08 [ qaq*64 ]
サイドストーリーへの展開ですか?
楽しみ〜^^
2012/1/9(月) 午後 8:24 [ KR-1 ]
KR−1さ〜ん!本当はここから第二部へ行こうかな〜なんて思ってましたが…一味変えただけで終っちゃいました(恥)
2012/1/9(月) 午後 9:11 [ qaq*64 ]