第五章 陸前高田へ…
本来なら海沿いの道から陸前高田へと向かうのが一番近いルートだが…震災の為に道路はあちらこちら遮断されていた…
寸断された道路…
とっちゃんに連絡を取りながら、通行出来るルートを指示されて陸前高田へ入る事になった。
そして陸前高田…
あまりに衝撃的な光景だった…
数週間前までこの場所で人が生活があった…なんて考えると…
涙が溢れてきた…
気持ちが折れそうだ…
でも気持ちを取り直した…おいら個人の思いだけじゃない…パパさん+とっちゃん思い=友人の安否 それがおいらの肩に掛かっている…
第六章 決意
友人宅近くの避難所に行ってみた…たくさんのボランティアの姿…仮設住居の建設…あちらこちらに報道関係者…そして避難した被災者の姿…
そんな中を捜索するが手がかりは無し…まるで雲を掴むような事だった…
友人宅のあった場所にも行ってみた…
なにか手掛かりがあるはずじゃ…
だが友人の家があった場所には瓦礫が…うずたかく積まれてあった…。
この光景に覚悟を決めた…今朝ネットで検索で引っ掛かった身元不明遺体をあたろう…
遺体安置所がある矢作小学校に向かった…
気持ちが重い…
第七章 遺体との対面
到着した矢作小学校…体育館が遺体安置所になっていた…線香の香りが充満した体育館内…そこに置かれた五つ置かれた棺…それは今朝発見された遺体だった。
友人と特徴が一致する身元不明遺体は…「別な場所に移動されました…」警官に告げられた。
遺体に移された場所へ…住田町生涯学習スポーツセンターへ向かった。
広々とした場所にたくさんの棺が並べられていた…
必死に身内を探す人たち…涙ぐむ人…
その中、ひとつひとつ棺の上に貼られた写真を探していった…
棺の上の写真は遺体発見が発見された時のものだった…
どの遺体も苦悶の表情で何かを訴えかけているようで、胸が痛くなった…
(あとで分かった事だが亡くなられた方のほとんどは溺死だった)
おいらの目が一つの棺に止まった。
似ている…なぜこんなに…棺の上に貼られた画像が…そして書かれた特徴は今朝見たものに違いなかった…
その画像の表情はとても安らかな表情をしていた。
第七章 所持品が…
近くにいた警官にお願いして、棺の中を見せてもらった。
中の遺体は変わり果てていた…
そして棺の中から所持品が現れた…衣類、キーホルダー、携帯ケース。
ライフル銃の弾丸のキーホルダー…心臓がバクバクした…
弾丸なんて…いかにも友人の趣味じゃないか…
キーホルダーに綴られたキーを見た…ダイハツのマークが入ったキー…住宅のキー…そして不明のスペアキー…
カワサキのキーが無い…もしかして…友人では無いかも…やはり友人なのか…でも…
頭の中は複雑に交差している…友人ではあって欲しくない…でも似ている、友人だったらあのまま放って置く訳にはいかない!!
警官に「バイク仲間の友人に似ている…」と一言告げて安置所を出た…
そして急いでとっちゃんに連絡した…友人が乗っている自動車の車種の確認しなきゃ…
受話器越しのとっちゃんの声が聞こえた…おいらから言葉が出ない…目から涙が溢れてきた…何も喋ることが出来ない…すぐに携帯を切った…
“どうしてライフル銃の弾丸のキーホルダーを持っている…どう考えても友人じゃないか…それに棺の画像”
悔しい…
第八章 心の中のもやもや
それから帰路へと向かった…運転しながら溢れる涙。
しばらく走り気持ちが落ち着いてきた…とっちゃんに連絡をして友人が乗っている車を確認した…「ん〜ダイハツ…だったような…」とっちゃんの記憶は定かではなみたいだ、ただ弾丸のキーホルダーに引っ掛かった。
「その手のキーホルダーを持っている人余りいないよ」とっちゃんの一言…
もっと情報を…すぐさま友人と同じようにK社2ストサークルとhentai同好会にダブル参加しているCさんに連絡した…
おいらが陸前高田の友人探しをしている事を知り、心痛な声になった…そして友人が乗っている車種を確認したが「分かりません…」心から申す訳なさそうな声が受話器に響いた…
そしてK社2ストサークル東北支部会長に(以下A氏)連絡した。彼はおいらよりも年上方で自ら熱い男と名乗るほどの熱血漢…な人のはずだった…が事の経緯を話しても「あっ!そう!」淡々と言葉が出た…
(おいらが知る人の中では友人とはA氏が一番付き合いが長いはず…)
おいら「友人の乗っている車知ってますか?」
A氏「分かりません」
淡々と話す口調…でもそれは人それぞれだろう…そう思い直し「今度の休み友人のバイクを一緒に捜索しませんか?」
東北支部会長ならやってくれる…そう思いA氏に頼んでみた…
「出来ません」A氏から淡々とした言葉がまたもでた…
この人にとって友人はどんな存在だったのだろう…
哀しい…そしておいらの心の中にもやもやが溜まっていた。
その日 パパさんとside7さんにその日あった事を報告した。
4月5日
A氏に連絡して友人の情報提供を呼びかけるチラシ作りをお願いした。
パパさんは必死に友人の情報を探した。そして宮城県多賀城に嫁いだ友人のお姉さん…友人のお父さんが仙台の病院に入院していた所まで詰めてきた…
もう少しだ…もしかしたら友人はお姉さんのところへ避難している可能性もある!!
まだ決まった訳じゃない…
第九章 悪夢再び
4月7日深夜
突如震度6強の地震を宮城県北部を襲った…
東日本大震災で片付けた自宅がまた振り出しに戻った…
でも負けちゃいられない…割れた窓ガラスを拾い、散らばった生活用品を元の場所へ戻した。
パパさんの思い+とっちゃんの思い+side7さんの思い+Cさんの沈痛な気持ち=友人の安否
おいらは立ち上がらなくては…
第十章 愕然…
4月9日
A氏が作成したチラシが届いた。
身長 172cm
体形 痩せ型
乗用車 ダイハツミラ 色ローズピンク
A氏は友人の情報を探し出していたのか?
それにしてもあの身元不明者の遺体と特徴が一致し過ぎる…それに車種や色まで調べていたのか…
すぐにA氏に連絡を入れて内容の確認をした…
だがA氏から出た言葉は愕然とさせられた…「身長は身元不明者の遺体リストを見て…」「車種もその身元不明者の遺体の所持品がダイハツのキーだからミラじゃないかと…色はとっちゃんのうろ覚えの記憶から…」
目が点になった…まだ確定してないのに…そんないい加減な情報で呼びかけるなんて…
A氏のチラシは家に置いたままにした…
あとで分かった事だが友人の車はダイハツムーブ、色は水色メタリック…だった。
4月10日
気持ちを建て直し…A氏に日曜に陸前高田への同行と遺体の確認をお願いした…
一人より二人の眼で見てもらったほうが確実だ…
だがA氏から返った返答は「仕事や家の修理のために遺体確認に行けません」
冷たくあっさりと断られた…自称熱い男のはずが…
でもその日 彼は仕事ではなく家の修理もせずに2ストバイクを乗り回していた…
おいらの心の中のもやもやがいっそうと溜まった…
忙しいのは同じだよ…でもこの状況でバイクに乗る余裕があったら…
A氏が2ストバイクを熱く語る光景が思い出された…
「もう2ストバイクなんか…ブログなんか…」
おいらの心の中のもやもやがはじけそうになった…
第十一章 急展開!!
そんな時だった、とっちゃんから連絡が入った…「友人のおねえさんと連絡が取れたよ!」
でかしたとっちゃん!!お前は口は悪いし、へそ曲がりだけど、やる時はやる奴だよ!!
じつはとっちゃんは陸前高田からおいらが友人と似ている遺体を発見して連絡したときから動いてくれていた。
遺体安置所への連絡、自動車ディーラに当たってみて…そしてグーグルの行方不明者捜索情報でやっと友人のおねえさんに辿り着いた!!
陸前高田に行ってからちょうど一週間目にここまで辿り着けるなんて…なんて偶然だ…
とっちゃん!!やった!!お前は情熱の男だよ!!
(後にとっちゃんを情熱の男と称したことで意外なトラブルに発展していった…)
つづく