Cross Life -赤い手帳-

引越しって、大変・・・ですね。

秋詩

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記憶

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知らぬ間に 咲きこぼれた花々が

わたしの感覚を麻痺させる


しなびた草のにおいと

湿り気を帯びた土のその

多少の重みを感じる空気の中



こするほどに震える羽の音(ね)に

混じって包む

キンモクセイ



見上げる花は 幾千に



甘ったるい香りの侵入は

胸の奥底に伝うようにして沈み落ち

吐き出そうと咳き込むと

少しの涙がにじんだ


山吹色の 小さな花の

甘ったるくて気だるい記憶



見上げる花は 幾千に・・・

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吹き溜まり

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時折 風の口笛の調べに合わせて

小さな乾いた木の葉たちが陽気に踊った


そんな中に突っ伏していると

身体中に数え切れないほどの

多量の微小な穴があき

さらさらと風化するように思えたが

そんな自由も与えられず

耳元の息遣いを ただただ

感覚的に捕らえるばかりであった


私にせき止められる木の葉たちは

くすぶったり 思い立ったように飛躍したり

生活の形に似ている気がして

愉快でもあり 空虚でもあったが

私を魅了させるには

充分な理由がそこにはあった

長夜

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きりりとした空に ぽつりと浮かび

うつむき加減のその表情に何となく

「今日はどうしたって言うんだい?」

そう問いかけてみせた。

「僕もそうだよ・・・大丈夫・・・」

何度かそんな事をしているうちに

朝がもうすぐそこまで来たもんだから

月は微笑みながら空に溶けていった。

僕もそのままタオルケットに滑り込み

「そうだよ・・・安心しておやすみ・・・」

と自分の声を遠くで聞いた。

地下鉄

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悲しみの叫びを落とす
あざらしの声が聞こえる・・・

壁だけが滑る窓の外の風景に
疲れた目を閉じる・・・

さぁ 帰ろう

どうどうと鈍く刺す様な
風の塊を鼓膜の手前に強く感じ
穴ぐらよりも暗い外へ出る

不安はもう川の向こう
夕焼けの橙(だいだい)と紅(べに)と紫の跡
不安はもう川の向こうに沈むだろう

さぁ 帰ろう

背筋を伸ばすほど 寒さは感じず
なぁんだ そういうことなんだと軽く微笑む

季節に関わりなく鳴り続ける頼りない風鈴
さぁ 帰ろう
我が家へと続く柿の木の幸せの道
さぁ 帰ろう

さぁ 帰ろう 帰ろうよ

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