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景気後退局面では異例…、長期金利、米欧で上昇、経済政策に制約も。2009/02/10, 日本経済新聞
米欧主要国で長期金利の上昇が目立ち始めた。大規模な金融・景気対策による財政負担の増大が懸念されているためで、米英やスペインなどは昨年末からの上昇幅が〇・七%程度に拡大した。世界的な景気悪化局面で長期金利が上昇するのは極めて異例だ。
長期金利の指標である十年物国債の利回りを昨年末と比べて分かった。米国ではなお三%を下回っており、足元ではデフレ懸念もあるとはいえ、長期金利上昇は財政面で悪影響が大きい。長期化すれば各国の経済運営の選択肢を制限し、不況を長引かせる恐れがある。
国債の利回りと価格は反比例するため、長期金利の上昇は国債価格の下落を意味する。不況期ならば信用度の高い国債に買いが集まり、長期金利は低下するのが普通だ。
だが、現在は金融危機で各国が大規模な金融・景気対策を余儀なくされ、その費用をまかなうために国債を増発。「需給悪化の懸念が強まっている」(JPモルガン・チェース)ことが原因とみられる。金融機関への公的支援により、各国政府が民間の損失リスクを抱えるようになったことも響いている。
米国では、二〇〇八年度の国債発行額が三兆ドル前後と前年度の約三倍にのぼるとの見方もある。十日から始まる米国債の四半期定例入札では、過去最高の六百七十億ドルが売り出され、順調に消化されるかが焦点だ。市場では「いつ長期金利が急上昇するかびくびくしている」(債券トレーダー)といった神経質な空気も表面化。住宅ローン金利が上昇するなど余波も広がってきた。
米国債は特に海外投資家への依存度が高く「米国離れ」が加速すれば、経済運営のカジ取りが極めて困難になる恐れがある。米連邦準備理事会(FRB)は対策として国債の買い切りに言及しているが、市場が「実質的な紙幣の増刷」と受け止めてドル安を招くリスクも指摘されている。
日本でも長期金利の上昇圧力はじわじわと強まっている。指標となる新発十年物国債の利回りが足もとでは一・三%を超え、昨年十二月の日銀の利下げ前の水準に戻っている。大型の景気対策などで国債発行額も増えているうえに「米国発の金利上昇が国内でも意識されるようになってきた」(BNPパリバ証券の島本幸治氏)という。
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