クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調

ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ダニエル・ガッティ
REC:1997 (CONIFER BMG 75605 51318 2)

 先月11月(2005年11月)にウィーンの国立歌劇場で再建50周年記念祝祭コンサートが開かれた。国立歌劇場は戦争により1945年に焼失してしまった。戦争後の1955年に再建され今年2005年に50周年ということになる。
 この演奏会では層々たる指揮者が面をそろえ小澤征爾をはじめティーレマン、メータ、オーストリア出身の若手の星ウェウルザー・メストなどが一晩で指揮を振り分けた。そして、もうひとりイタリアの指揮者でこれも若手の勇といえるダニエル・ガッティがこの演奏会で指揮を振った。イタリア系の指揮者であるジュリーニやアバドの後継者とも言っていいかもしれない。人気実力ともうなぎのぼりである。
 このガッティの最初期の録音がこのCDである。現在首席指揮者を務めるイギリスのロイヤル・フィルとの演奏であるが、演奏スタイルは先日聴いたシノーポリ、フィルハーモニア管の演奏の雰囲気に近いかもしれない(奇しくも同じイタリアの指揮者イギリスのオケだからであろうか?)。シノーポリのそれが切れ味はいいが繊細で抑制の効いた明晰な演奏であったものに対しこの演奏は切れ味のよい若々しく大変勢いのある演奏となっている。
 第1楽章は切れのあるリズム感で勢いよく鳴らすがテンポそのものは大変落ち着いたものとなってきて一定の節度を保ちながら切実ともいえる音楽で迫ってくる。
 第2楽章冒頭におけるテンポの速さとその演奏の正確さは素晴らしい。大音響で鳴ってはいるが各楽器のバランスが実に見事で大変クリアに聴こえる。
 白眉の演奏はこの第3楽章であろう。リズムの捉え方が実に独特。指揮者にイタリアの血が流れている為であろうか、細やかにはねるようなリ独自のリズム感に感心してしまう。このようなリズムをマーラーにぶつけるとは!オーケストラもよくこの細やかなニュアンスを見事に描き出す事に成功している。オペラかバレエを聴くような雰囲気は他のどの指揮者にもないリズム取りだ。ユニークで素晴らしい。面白い。
 第4楽章は澄み渡る清流のごとき透明な音色である。美しい響きにうっとりとする。終楽章に関しては、1〜4楽章までが極めて勢いのある瑞々しく若々しい演奏であったのに対しいくぶんあっさりとしすぎていてスケールが小さく感じる。
 マーラーはやはり難しいのだと思う。とにかく勢いがよくサウンド面においても申し分のない演奏であるが、残念なことにこの演奏には何か大切なものが欠落していると思う。
 全曲を通し、全楽章においてそれぞれを有機的に結合させる構造美を再現させる指揮とは何か?マーラーの激しくも憂いに似たあの(人間の感性に訴えるような、いやまさに人間の感性そのもののような)相対する感覚の一致を描く事の出来る、また聴く人に感じさせてくれる指揮者とは?
ガッティの演奏は表層的には超一流である。それはこの音楽のある一面を極端に表している。ある部分で楽譜に忠実に、そしてある部分で独特なニュアンス(指揮者であるガッティ自身の感性と才能によって浮き出るもの)により彩られた世界である。ただそれがマーラーの意図した雰囲気とは解釈とはまるで別の次元にあるような感覚に陥る。
 この若々しく確信に満ちた当時36歳の指揮者の演奏はこの時点における、ある種の限界と無限なる可能性を感じさせてくれ、教えてくれる。
 いろいろ言ってしまったが力演で秀演であることに間違いはない。

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そうなんですよね。でもかなりの秀演ですよね。手に入れてそんはないと思う盤です。コニファーが無くなって困ってたガッティですが、録音が他レーベルで再開して良かったです。

2006/1/3(火) 午後 10:09 陶郷の風・・・片岡誠

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makoto様>コメントありがとうございます。ガッティとロイヤル・フィルはHARMONIA MUNDI USAに新しく新譜を出しているようです。今後のますますの活躍が期待できる指揮者のひとりですよね。

2006/1/4(水) 午前 0:24 ちぇり


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