クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調

フィラデルフィア管弦楽団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
REC:1977 (RCA 74321 68011 2)

 チェリビダッケの後を継ぎ1999年から2004年までミュンヘン・フィルの主席指揮者に就任するなど、ますますの活躍を見せるアメリカ生まれのジェイムズ・レヴァイン。
 個人的にはレヴァインといえばメトロポリタン歌劇場の芸術監督としてワーグナーなどのオペラ作品を数多く演奏しておりどちらかといえばオペラ指揮者という印象が強くあった。本日は昨日のショルティ、シカゴ響からアメリカつながりでこのレヴァインとフィラデルフィア管弦楽団のコンビでの演奏。
 ディスコグラフィーなどによると実はこのレヴァインはシカゴ響やロンドン響、そしてこのフィラデルフィア管などをそれぞれ振り分け第2番を除くすべてのマーラーの交響曲を録音しているらしい。最近では冒頭に述べたミュンヘン・フィルとの第9番がCDとして出ていて話題になっている。
 
 さてこの演奏だが1977年の録音ということもあってか今ひとつ録音の状況が芳しくなく高音域の強いキンキンした録音になってしまっているのが残念だ。1977年当時このフィラデルフィア管はユージン・オーマンディが常任指揮者として君臨していたはずでオーマンディのゴージャスに鳴らすサウンドが随所に聴かれる。
 レヴァインはもとよりオーケストラの自主性を重んじてそこから最良のサウンドを引き出すというやり方に徹しているようである。第1楽章はゆったりとしたテンポで進められ強奏部における豪快なサウンドにフィラデルフィア管の特徴を改めて感じる事が出来る。
 オーケストラが豪華に鳴る第2楽章はややとげとげしくなる部分も感じられる。この第2楽章にしてもややテンポは遅めで弱音部の弦楽器によるフレーズなどは引きずるようなテンポで丁寧にかみ締めるように演奏される。
 第3楽章は味付けのないストレートなサウンド(この辺のニュアンスに私は強くアメリカ人を感じるのだが)でぐいぐいと音楽を進めていく。各楽器が各個にそれぞれなるさまは音楽全体としてややまとまりを欠く結果になっていると思う。弦楽器のサウンドも高音が強調されておりやや落ち着きに乏しいか。とにかくよく鳴るオケである。
 第4楽章は非常に遅いテンポで進められる。やはり弦楽器に艶やかさがなくどこか乾いたサウンドでこの楽章の持つ良さが発揮されないまま終わってしまい残念だ。
 終楽章も豪快なサウンドに包まれながら底抜けに明るい演奏となっている。弦も管もとにかく楽観的ともいえる雰囲気を漂わせたサウンドとなっていてそれぞれが自由に溌剌と演奏しているようで(それはそれで勢いもありいいのだが)今ひとつまとまりに欠ける。とにかくこの楽章におけるフィナーレのなり方は尋常じゃない。すさまじい。これぞ俗にいわれる「フィラデルフィア・サウンド」ということになるだろう。圧倒的な勢いとサウンドのシャワーに火傷しそうだ。
 
 とにかく豪快に鳴るフィラデルフィア・サウンドを堪能できる一枚。ただ陰影のあるマーラーの音楽にはこのサウンドはやや不向きかなとも感じる。とにかく常に楽天的で明るい演奏なのだ。レヴァインもこのオーケストラの持つサウンドを十二分に引き出すことに成功しているがやや、指揮者自身の色を出すまでには至っていないのが残念。ミュンヘン・フィルとの一連の演奏を聴いてみたくなった。
 
 余談になるがミュンヘンを離れたレヴァインは2004年から小澤の後を継ぎボストン響の音楽監督に就任した。さてボストンではどんなサウンドを聴かせてくれるのであろうか。このフィラデルフィア管とのマーラーの演奏は録音状態もあまりよくなかったということもあり残念であったが今後の活躍が楽しみな指揮者のひとりである。


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