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マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮:リッカルド・シャイー
REC:1997 (DECCA 458 860-2)
1988年から2004年までオランダの名門、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者として活躍したイタリアの俊英。2005年からはドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の主席指揮者に就任してますます将来を嘱望されている指揮者のひとりである。
今日のマーラーの演奏は1986年から2004年というおよそ20年をかけて完成された全集からの一枚である。この第5交響曲は1997年の録音。
第1楽章から若々しく溌剌としたテンポ感の中に情感豊かにたっぷりと豊穣の音楽を聴かせてくれる。演奏のスタイルそのものは強いて言うなればバーンスタインに似たような(それほど過度ではないが)感じでテンポを揺らし伸縮のある演奏である。このテンポの伸び縮みがまったく恣意的でなく大変説得力をもって演奏されている。
第2楽章はややテンポを弛めて意外にも落ち着いた演奏になっている。そのサウンドは芯がはっきりとしていながらも弾力のある繊細なものだ。低音部が強調された部分もあり大変ユニークな演奏となっている点も聴き逃せないであろう。
第3楽章もしなやかで上品な演奏で上手くまとめられている。ただ所々で木管楽器が無機的で機械的になってしまう点やリズムがやや弛んでしまってまったりとしてしまう部分もこの辺が今一であり残念な点もある。
静かに情感を持ってゆったりと演奏される第4楽章はさながら「夜想曲」を思わせるような静寂さと美しさを持って演奏される。
第5楽章の冒頭のホルンと木管楽器の掛け合いはまるで森の夜明けを告げるような印象的な出だしである。私はこの演奏に自然を感じる事が出来た。
深い精神性や機能性や構造美などあらゆる視点からまた角度からアプローチされた様々な第5交響曲を聴いてきたがこのシャイーとコンセルトヘボウ管の演奏からはそのどれにも当てはまらない。先にバーンスタイン風かなとも述べたがそれともやはり違う。
溌剌として情感溢れ豊かな音楽に満ちた演奏に違いない。ただこの演奏を聴いていえること、感じた事は非常に客観的に演奏されているということだ。指揮者や演奏者は決してマーラーの音楽の中に自分を埋没させていない。非常に遠くからこの音楽を見て捉えて確信的に非常に冷静に音楽と演奏のその距離感を常に確かめながら演奏しているように感じた。これもひとつの音楽のやり方であろう。この演奏の感覚が特に感じさせられたのは第4,5楽章であった。
この演奏全集としても出ているようであるがもし全集を購入するのであれば一枚一枚バラで購入される事をお勧めしたい。カップリングされている音楽が実にユニークなので。
ちなみにいくつか紹介すると(この第5交響曲にはカップリングの音楽はないのだが)第10番にはシェーンベルクの音楽、第7番にはアルフォンス・ディーペンブロックというオランダの作曲家の作品がそれぞれカップリングされていたりする。これらの現代作曲家はマーラーと大変深い関係にあるなど選曲もよく考えられていて興味深い。
最近発売されたシャイーのマーラー全集にはこれらのカップリングの音楽が確か入っていないはず。実に残念。こつこつバラで収集しようと考えています。
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ばら買いしました。僕はこのCDわりと気に入ってます。すべての交響曲において録音が素晴らしく、オーケストラも凄くいい。今後のゲヴァ管も楽しみです。
2006/1/4(水) 午前 9:38
makoto様>コメントありがとうございます。絶対ばら買いのほうがいいです。なぜ全集にしたときカップリングの曲をカットしてしまったのでしょうかね?
2006/1/4(水) 午後 8:10