クラシック音楽とうさぎの日常

久々に。秋が深まるのでしばらくブラームスで。

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マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調

フランス国立放送管弦楽団
指揮:ヘルマン・シェルヘン
REC:1965 (harmonia mundi HMA 1955179)

 昨日に続きシェルヘンによる演奏を。今日は伝説的な1965年のライヴ録音。演奏はフランス国立管弦楽団の全身であるフランス国立放送管弦楽団。この演奏一部の人々には有名な録音であるらしい。聴くまではなぜ「有名」なのかよくわからなかったが聴いて納得。今まで様々なマーラーの第5交響曲を聴いてきたがこの演奏は非常に特異な演奏である。爆演、珍演、なんといったらよいのであろうか・・・。
 昨日のウィーン国立歌劇場管との演奏がうそのような凄まじいテンポの揺れ、炸裂する音。叩きつけるリズム。このような演奏には出会ったことがない。これぞシェルヘンの本質なのか?ライヴ録音ならではの怒涛の怪演奏である。演奏は気違いの沙汰といっていいかもしれないが録音は打楽器のバランスがよくない意外はなかなか優秀だ。この狂気に満ちた演奏の熱気が生々しく伝わってくるようである。具体的には簡潔に述べよう。別の意味で言葉はこの演奏の前にはいかにも無力だ。
 第1楽章のうねるような演奏で異常とも言えるアッチェルランドを連発する。第2楽章も狂気にも似た驚異的なスピードで文字通り「嵐のように」突き進む。大幅なカットを施して通常18分ほどかかる演奏をたったの5分で切り上げる異様な速さと遅さが混在する第3楽章。唯一といっていいだろう素晴らしいのは第4楽章。その美しさには言葉がない。ゆったりと非常に濃厚に演奏される。「アダージェット」という題名がぴったりとくる。終楽章の指揮者も、オーケストラも何かに取り付かれたように突っ走る演奏はもはやマーラーではない。ちなみにこの楽章にもカットが施されている。
 シェルヘンよ。何をそこまで急ぐ?この熱気と狂乱の演奏に正直度肝を抜かれた。以前にニコライ・ゴロワノフというロシアの怪人指揮者の演奏を紹介した事があるがそれ以来の衝撃だ。
終演後、観客の拍手も収録されているのだが「ブラボー!」とブーイングの「ブー!」が入り混じった観客の反応がまた面白い。この演奏が観客に賛否両論を呼んだ事がよく伺える。

 いろいろ申し上げたが一点だけ強調しておきたい事がある。先ほども申し上げたが第4楽章の事である。この第4楽章は今までのどの演奏よりも人間臭く同時に耽美で恍惚な演奏であった。私の思う第4楽章のイメージに限りなく近い。名演であった。この楽章を聴くだけの為だけにもこの演奏はその存在意義があると思う。

 さて皆さんはこの演奏を聴いて「ブラボー!」と叫ぶでしょうか?「ブー!」とブーイングの意思を示すでしょうか?私は思わず「ブラボー!」と叫びそうになりました・・・。
 ちなみにこのシェルヘン、他にも怪演があります。ベートーヴェンの全集です。このマーラーの演奏と同じ1965年に放送用に録音されたルガーノ放送管弦楽団との世にも恐ろしい演奏です。シェルヘンの叫び声や唸り声と共に凄まじい演奏が繰り広げられます。私は数曲聴きましたがシェルヘンのうなり声が気になって仕方がありませんでした。最近はネット販売などで意外に手ごろな価格で手に入れられるはず。寒さ厳しき今日この頃、熱気に溢れヒートアップしそうなロック系クラシックの旗手であるシェルヘンとともに熱くなってはいかが?そのかわりこれらシェルヘンの演奏を聴いて体調を崩しても一切責任は負いません。自己責任でどうぞ。

閉じる コメント(6)

同じ楽曲でも演奏者や指揮者によってかわったりするのでしょうか? 迷った場合何で決めればはずれはないですか?

2006/1/6(金) 午前 1:27 [ muz*o1*0* ]

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これは現代では絶対不可能な演奏ですね。あまりの強引なテンポ設定にオケがついていけません。シェルヘンのマーラーといえば、ライプツィヒ放送響との6番(TAHRA)もこれと同等かそれ以上かというくらいの無茶苦茶な演奏で唖然としました。ベートーヴェンの全集はオケがあまりに下手なので荒れていますが、私はこのテンポとリズムの切れは現代の演奏の先取りだと感心したくらいです。ガーディナーやノリントンはあのテンポできちんと演奏していますから、上手いオケなら大分様相が違っていたのではないかと・・・。

2006/1/6(金) 午前 2:28 BAZ

記事を読んでいると1度聴いてみたくなります。怖いもの見たさですが(笑) 私はマーラーは得意ではないので、ベートーヴェンでも聴いてみようかな。

2006/1/7(土) 午前 0:44 brahms2

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BAZ様>大変含蓄のあるコメントありがとうございます。確かにそうかもしれませんね。ガーディナーやノリントンの演奏は紳士的です。でもこのシェルヘンの演奏はなんだか狂気じみた、ただ事ならぬ雰囲気に満ちています。 確かにオケがもう少しうまければ雰囲気はまったく違うものになっていたに違いありませんよね。

2006/1/7(土) 午後 0:17 ちぇり

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muzeo様>コメントありがとうございます。同じ楽曲でも指揮者や演奏家によってその表現やテンポなど千差万別です。ですからある人がある楽曲と最初に出会って聴いた演奏というものはその人に対しその楽曲のイメージを圧倒的な影響をもってその人の記憶に植え付けることになるでしょう。それは巡り合わせですね。ですから迷った場合、私は勘で決めます。どうしても迷ったら私を含めこの記事を読んでくださる皆様に気軽に尋ねてみてはいかがでしょう。演奏の印象も聴く人によってさまざまですから。

2006/1/7(土) 午後 0:27 ちぇり

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brahms2様>後悔を覚悟で購入してください。そしてやはり後悔を覚悟で聴いてください。ひとつの資料としての価値は十分かなと思います。ああ、それから思い切り笑ってください。

2006/1/7(土) 午後 0:31 ちぇり

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