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マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ピエール・ブーレーズ
REC:1996 (DG 453 416-2)
現代における「現代音楽」のスペシャリスト、ピエール・ブーレーズの指揮によるマーラーの第5交響曲。ストラヴィンスキーやベルク、シェーンベルクなどの現代作曲家の音楽に新風を送り込んだブーレーズがウィーン・フィルというマーラーゆかりのオケを使いどのような演奏をしてくれるのか興味が湧く。
とにかく懇切丁寧な演奏になっている。音色は実に柔らかく美しい。細かい部分でもまさに楽譜どおりきちんと見通しよく演奏されていて仕事が丁寧で細かい。ただ私にはそれがあだとなっている様に感じた。このスタイルの演奏が結果としてマイナスに作用してしまう部分が随所に聴かれ少々残念。
第1〜第3楽章においては音楽をきれいにまとめようとしすぎてマーラー特有の感情の爆発するような場面でのインパクトが欠けていてどうも平坦な音楽に聞こえてしまう。
細かな部分に固執しているような感じにも見受けられて大きな意味での音楽の流れを聴き手に感じさせることができていないようになってしまっている。オーケストラもいまいち感情がこもっていない感じで冷めた演奏だ。
第4楽章はさすがウィーン・フィル。非常に美しい音色だ。ハープとの絶妙なサウンドの交わりがこの演奏をさらに引き立てている。ただ、やはり感情をもっと込めて欲しいところで気持ちが抜けてしまうあたり残念。やや音楽が単調かなと思う。
この演奏において白眉の演奏は終楽章にある。今までの冷めた演奏は吹き飛び指揮者もオーケストラも熱のこもった演奏を聴かせてくれる。それでいて音楽の構造がはっきりと聴きとることができる演奏でテクニカル的にもメンタル的にももちろん音色、サウンド的にも最良の音楽を作ることに成功している。この終楽章は本当にどの演奏のCDよりもすばらしいと感じる。特にフィナーレは圧巻である。
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う〜ん。。こう言う角度からの見方もあるんですね、なるほど。とっても勉強になります。私はバーンスタインVPOやアバドBPOよりこの盤が気に入っています。それは批評にも有りましたが、パワーが有るのに音色が柔らかく美しいとこ。力があっても濁ってしまうのは嫌いなんです。私の趣味というか嗜好というか。。
2006/1/7(土) 午後 5:30
makoto様>コメントありがとうございます。私はマーラーの音楽には相反する2つの性格が常に潜んでいると思うのです。非常に叙情的で柔和な部分と狂乱したような攻撃性と。この躁鬱病ともとれる雰囲気を生々しく感じたいのですね。ブーレーズによるこのディスクの第5楽章はまさにそんな感じでした。
2006/1/7(土) 午後 6:50
良くも悪くもDG移籍後のブーレーズらしい端整な演奏だと思います。彼自身の曲を彷彿とさせ、こういう情念の欠片も無いようなマーラーもある意味貴重かとは思いますが。ただ、来日公演でのマーラー・ユーゲント管との6番はもっと覇気に溢れた推進力のある演奏だったので、オケの特性とスタジオ録音であることの影響も大きいように思います。あと、この曲では熱気に満ちたクーベリックのライヴ盤も印象的でした。
2006/1/7(土) 午後 10:06
BAZ様>コメントありがとうございます。ライヴでブーレーズ聴いてみたいものです。さぞすごいのでしょう。クーベリックは聴いた事ないのですよ。いつか聴きます。
2006/1/8(日) 午前 1:54