|
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
指揮:ヴァーツラフ・ノイマン
REC:1965 (Brilliant 99549-6)
NAXOS、Arte Nova、に引き続き廉価盤の王者、Brilliantレーベルからの一枚を。この演奏は旧東独のベルリン・クラシックのライセンス録音によるものらしい。様々な演奏家の録音を寄せ集めて全集にしたもののなかからの一枚。
1968年から1990年まで激動のチェコにあってチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めた名指揮者ヴァーツラフ・ノイマン。彼がチェコ・フィルの指揮者に就任する前にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者を務めていたとき(1964〜68年)の録音。ノイマンはチェコ・フィルとも全集を完成させている。この録音はその前の録音でドイツの老舗ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との録音である。最近のBrilliantレーベルには結構きちんと録音日が明記されている場合が多いがこれには明記されていない。ベルリン・クラシックのCDのクレジットには1965年6月録音とあるようだ。
ここで繰り広げられる音楽は大変すばらしい。濃厚でにこくのあるサウンド。演奏も実に内容の濃い示唆に富んだ名演だ。やはりこの演奏も(シェルヘン同様)一部の愛好家にはかなりの支持を受けているらしい。Brilliantレーベルによって廉価で販売される事がなければ少なくとも私はきっと出会う事のなかった名演だ。
第1楽章からしてとにかくサウンドに関しては最高のもので質が高い。1965年の録音とは思えないほどきれいな音だ。とにかく音がクリアに聴こえる。いぶし銀の心に響く説得力のあるサウンド。
第2楽章にしても派手さはないが内声部がきちんと聴こえてきてマーラーの複雑なオーケストレーションを実に自然な形で細かい部分に関して再現している事に成功している。
某サイトによるとこの第3楽章の演奏のホルンは有名なペーター・ダムであるらしい。音楽そのものは大変チャーミングで遊びに溢れた素晴らしいものだ。ヨーロッパ特有の引きずったようなワルツといい、その明晰かつ心のこもった熱くも優しく温かなサウンドが非常に印象的で最高の音楽を奏でてくれる。木管楽器の音程のずれがやや耳につくが全体を取り巻く音楽の流れは素晴らしい。
第4楽章。大変真面目な演奏である。音楽の豊かさとか艶やかさとは別の音色が聴ける。大変実直でストレートな表現だ。極めて男性的なアダージェット。演奏、録音とも極めて優秀。
終楽章。やはり管楽器の音程が気になる意外は全く素晴らしい演奏。紳士的で端整。硬派で細かい部分でのウィットに富んだアゴーギグの効かせ方には脱帽だ。弦楽器のざらついた音質もかえってこの音楽を引き立てている感がある。大迫力で迫ってくるフィナーレは圧巻。
地味ながらも素晴らしい演奏。実直に音楽を展開するところ素直に共感できる。微妙なテンポの揺らし加減など自然でさりげなく聴き手を喜ばしてくれる。
ちなみにノイマンによるマーラーの録音はこのゲヴァントハウス管弦楽団と5〜7,9番を、チェコ・フィルと1976〜82年までに録音した全集、最晩年にチェコ・フィルと再録音したものがある(これは未完に終わり7,8,10番がない)。
このゲヴァントハウス管とのマーラーの第5交響曲を聴いて改めてヴァーツラフ・ノイマンをマーラー指揮者として再認識できる素晴らしい録音であった。チェく・フィルとの録音も大変興味がわく。聴いてみたい。
|
凄いですね、まだ続いてる・・・。私はこのコンビの9番を所有していますが(ちなみにチェコ・フィルとの録音も持っています)ドヴォルザークの時とは、また違った顔のノイマンに惚れています。オケの音色としては随分違う(正反対と言えるかも)のですが、どちらもオケの音色・能力を十分考慮した無理のない指揮ぶりです。「地味ながらも素晴らしい演奏」共感します。
2006/1/10(火) 午前 11:53 [ shinsaqu ]
shinsaqu様>コメントありがとうございます。予定ではこのシリーズも今週で終われそうです。ノイマンはとてもよかったです。1960年代にすでにこの交響曲の演奏でここまで高品質な録音があったとは意外でした。チェコ・フィルとの演奏はいかがですか?興味津々です。
2006/1/11(水) 午前 0:01
私が持っているのは82年の録音です。まずオケの響きに違いがあります。チェコ・フィル盤は高音が目立ちます(特にフルート、トランペット)。木管、金管の幅の大きなヴィブラートが美しい(場合によっては曲者ですが)と思います。他にはリズムの音形が土臭く感じるのは私の先入観によるものかもしれません。ノイマン自身の加齢による若干のくどさが感じられますが、総じて自然な流れで心地良いものだと思います。
2006/1/11(水) 午前 10:41 [ shinsaqu ]
shinsaqu様>コメントありがとうございます。なるほど。結構話題になっている全集からの一枚ですね。聴きたいです。非常に。ノイマンはベルティーニやバーンスタインに並ぶマーラー指揮者といっていいですね。
2006/1/12(木) 午前 0:17
この盤Berlin Classicsで聴きましたが、40年前の古い録音ながらよい音で、管弦楽は「こう録音するべき」って感じがとってもします。演奏も中々によいですね。僕も好きな1枚です。
2006/1/14(土) 午前 10:18
makoto様>コメントありがとうございます。本当にこのCDは録音状態が良く管や弦のバランスが大変にすばらしいものでした。チェコ・フィルとの演奏もあるようなのでこちらも聴いてみたいものです。
2006/1/14(土) 午前 11:51