|
マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
バイエルン放送放送交響楽団
指揮:ラファエル・クーベリック
REC:1981 (audite 95.465)
クーベリックのマーラーの録音はドイツ・グラムフォンに1967年から71年の間に録音されたスタジオ録音のものと1999年頃からドイツ・アウディテ・レーベルによって発売された1970年〜80年代に演奏されたライヴ録音の2種類がある。
DG盤のスタジオ録音の方は大地の歌が入っておらず、アウディテ盤のライヴ録音のほうは第4と第10番がまだ出ていないはず。
この他、ウィーン・フィル(1954年)、トリノRAI響(1956年)との第1番とアムステルダム・コンセルトヘボウ管との第5番(1951年)があるようだ。
今日聴くのはアウディテ・レーベルによるもので1981年にライヴ収録された第5番である。この録音はアウディテ・レーベルによるクーベリックのマーラー・シリーズの第一作目になったCDである。
大変硬派な演奏でどことなくぎこちなく聴こえるところもある非常に男性的な音楽だ。一本気で頑固な親父を思わせるよなイメージだ。スタイルで言うなれば一番近いのがショルティの演奏であろう。ただ決定的に異なるのはショルティの演奏が非常に機能的で都会的、システマティックであったのに対しクーベリックの演奏はヒューマニズムを感じファジーで自然な音色と流れを感じる。「作られた」音楽というよりも「手作りの」音楽といった感じだ。様々な場面でこの演奏からは「ぬくもり」を感じる。
第1、2楽章に関してテンポは中庸で安定した速度でじっくりと粛々と進められる。録音のせいかもしれないがはっきりとした、やや硬めな音色でてきぱきと進められる。ただし、弦楽器の深みのある実直な音色が大変特徴的でこの辺がシカゴ響との決定的な違いなのかもしれない。
第3楽章はマゼール(もしくはインバルやバルビローリ)とショルティを足して2で割ったような刺激的でしっかりとした構築性があってかつ音楽の深みを持ち合わせたストレートで大変わかり易い演奏だ。速めのテンポで進めつつもテンポを大胆に揺らすところはライヴならではの所業か?
無用な感傷を排して純粋に音楽の美しさを追求したようなアダージェット。続く終楽章も実に自然に音楽が流れていく。フィナーレの豪快な直線的な音楽も大変特徴的。「オヤジ」を感じさせずにいられない。
一切の無駄を省いた(ニュアンスや響きなど)どこまでも頑固一徹な父権的な演奏がここで聴く事が出来る。まさに「侍」、「武士道」的演奏だ。
|