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追記
さて、マーラーの交響曲第5番の聴き比べも終わりましたが、保有はしておりませんが聴く機会を得たものが数枚ありますので「追記」として簡単に感想を記しておきます。
ハイティンク、アムステルダム・コンセルトヘボウ管
REC:1970 (PHILIPS 416 469-2)
シャイーを聴いたときにも感じたがこのアムステルダム・コンセルトヘボウ管(現ロイヤル・コンセルトヘボウ管)の音色は一種独特だ。イギリスのオケのようなスタイリッシュで切れ味のあるサウンドとアメリカのパワフルなブラスの直線的に抜けて聴こえてくるパワー溢れるサウンド、そして独墺系の粘り気のある美しい弦の音。そのすべてが存在する最高のオケといっていいだろう。
ハイティンクもこの最高のオケが最高の音色で鳴る微妙なバランスを見事に「指揮」している。どの楽章もこれらの魅力に溢れている。ハイティンクにはベルリン・フィルを振った録音もあるようだが(こちらは未聴だが)このこのコンセルトヘボウ管とハイティンクの蜜月ぶりが良く聴く事ができる充実の一枚。
ワルター、ニューヨーク・フィルハーモニック
REC:1947 (SONY CBS 32DC 579)
マーラーの愛弟子、ブルーノ・ワルターの指揮による第5交響曲はこのCDが唯一である。もっとも第4楽章だけはウィーン・フィルとのものがあるようだが。
この演奏はあくまで資料的な域を脱しない演奏かなと思っていたが録音は古くて良いとはいえないがそれなりに聴こえはいい。さらに演奏は大変上手い。晩年のステレオ録音で聴かれるよなワルターとは思えない思い切りの良い快速なテンポと切れ味のある躍動するリズムで音楽を進める。
決して情感に流される事のないストレートな表現と演奏スタイルには意外な感じもしたがこれがとても好感が持てる。第4楽章のあまりにもそっけなく速いテンポでの演奏スタイルは実はこれこそがマーラーにとっての「アダージェット」であったのではないかと思ってしまう。最近の録音には感情移入の強い演奏が多い中でこれは意外であった。
いずれにしてもひとつの指標となるようなきわめて質の高い演奏で、マーラーの愛弟子であり、マーラーに近いところにいた人間のひとつの演奏の結果としての資料的価値はきわめて高いといえよう。
最後に重ねて申し上げたいのだがこの演奏、思いの他録音状態はいい
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