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ベートーヴェン:1.交響曲第2番ニ長調作品36
2.交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
エンシェント室内管弦楽団
指揮:クリストファー・ホグウッド
REC:1984[1],1987[2] (L'OISEAU-LYRE 452 551-2)
上記CDより1を。
この交響曲第2番はベートーヴェンの交響曲の中でもおそらく一番マイナーな音楽で演奏される頻度も少ないであろう。ベートーヴェンはこの音楽を1801年から1802年にかけて作曲しているのだが、この曲を完成した年(1802年)の秋に有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いている。作曲家としては致命的ともいえる耳の疾患が進み、聴力を失うという深刻な状況に直面した時期に当たる。ベートーヴェンにとっては悲劇的で絶望的な大変な時に作曲されたわけであるがこの音楽に「悲劇」や「絶望」は微塵にも感じる事は出来ない。
むしろ生命感に溢れた豊かな音楽でありまた力強い音楽になっていてたくましさすら感じる。交響曲としてはじめて第3楽章にスケルツォと明記し構造的にも一歩内容を深めた音楽になっている。
生命感、生への喜び、たくましさ、力強さ、などおよそ「ハイリゲンシュタットの遺書」にかかれたような悲愴に満ちた深刻なものなど感じさせない。まるで自分の悲劇的な運命に打ち勝ち喜びを勝ち取ったかのような音楽になっている。なるほど第2交響曲を聴くとこのあとに作曲された有名な「英雄交響曲」が登場する事に強く納得するものである。第2交響曲なくして「英雄交響曲」なしである。
ホグウッド、エンシェント室内管弦楽団は第1交響曲に続きここでもオリジナル楽器特有の実に細やかではっきりとした音色をコンセプトにしながらも決して音色が乾かずに潤いを持って奏でられる。タイトでありながら実に瑞々しい優しげなサウンドに「生命力」を感じる事が出来る。このベートーヴェンの第2交響曲の最高の演奏のひとつといっていいだろう。
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