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エネスコ
1.交響組曲「ルーマニア詩曲」作品1
2.交響詩「海の声」作品31
3.「自然の声」〜森の上に漂う秋の雲
フロリン・ディアコネスク(T)[2]
“ジョルジュ・エネスコ”ブカレスト・フィルハーモニー合唱団
“ジョルジュ・エネスコ”ブカレスト・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:クリスティアン・マンデール
REC:1997 (Art Nova 74321 65425 2)
再びエネスコの音楽を聴いていきましょう。
交響組曲「ルーマニア詩曲」作品1
1898年、エネスコ17歳のときの作品。このときエネスコはパリで勉強中であった。祖国であるルーマニアの民族音楽と西ヨーロッパの伝統的な交響曲のスタイルを融合させた名曲だ。音楽は2つの部分からなっている。
第1楽章はエネスコ自身の、ある夏の夜の思い出をイメージしたものといわれている。ある夏の夕暮れ、教会から聴こえてくる鐘の音と祈りの声、夜の帳が落ちると聴こえてくる羊飼いの笛の音。まさに写実的であり後半で聴くことの出来る妖艶なフルートの音色に心を奪われる。
第2楽章は第1楽章の穏やかさは吹き飛び一転して嵐の音楽だ。嵐が過ぎ去ると田舎のお祭りの様子となる。終盤ではルーマニアの古い聖歌もとにしたテーマが聴かれまさにルーマニア賛歌になっている。途中では第1楽章で聴かれたあの妖艶な羊飼いの笛の音が聴かれ第1楽章との統一性を感じる事が出来る。大変激しく楽しい音楽だ。
このルーマニア詩曲、エネスコの若書きの作品であるが第1楽章第2楽章と異なった性格の音楽を並列させルーマニアの民族音楽がふんだんに使われ素晴らしい。大変聴きやすく合唱が入るなどオーケストレーションも規模の大きいもので音楽のスケールも大きい。とにかく素晴らしい音楽だ。17歳の作品とは思えない。天才のなせる業なのだろう。
交響詩「海の声」作品31
1929年の作品。独唱テノールや合唱も入り特殊な効果音も多数聞かれさながら劇音楽である。演奏時間も27分程度ということで単一の作品としては大作だ。
激しい嵐の中の荒波に漂う船員を描いたもののようでこちらも大変写実的、劇的な作品となっている。音楽そのものは不協和音のような腰のすわりの悪い和音が多用されており波間に漂う船員の不安な心理と激しい嵐の様子が表現されている。英国の作曲家ヴォーン・ウィリアムズの南極交響曲に聴かれたような雰囲気がここにある。しっかりと聴き込むには少し難しく疲れるかもしれない。
「自然の声」〜森の上に漂う秋の雲
「自然の声」と題した未完の作品の一曲。ここで聴くことの出来る「森の上に漂う秋の雲」という部分しか作曲されなかった。音楽は小オーケストラのために書かれた作品。哀愁漂う作品だ。
演奏は前回同様、マンデール指揮によるブカレスト・フィルによるもの。「ルーマニア詩曲」での圧倒的な雰囲気と熱の入った演奏に手に汗を感じる。「海の歌」や「自然の声」などにおける複雑なオーケストレーションとその美妙な音色に少々荒削りな部分はあるかもしれないが誠実で正面からこの音楽に取り組んでいる様子が感じる事ができて大変好感が持てる。特に素晴らしいのは「ルーマニア詩曲」の第2楽章の演奏。その圧倒的な迫力に興奮覚めやまらずであった。
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